第5話 蜜ちゃんにとって事故の目撃がトラウマ
『すいちゃん、私ね忘れられないことがあるの。
それはね、母親の言葉でも誰かからの言葉でもないの。事故の目撃だった』
すいちゃんと私は楽しいピクニックの途中で代々木公園に来ていた。
青空の望めるそんな幸せさを感じながらも、蜜ちゃんは思い出したように話し始めた。
すいちゃんは蜜ちゃんの話をただただ聞いていた。
蜜ちゃんはその記憶を話し始めた。
『小学2年生の頃に、家の近くの道路でタクシーと老婦人が事故に遭った現場を見たの。老婦人は即死だった。救急車が車で老婦人は血だまりの中でピクリとも動かなかった。タクシーのフロントガラスは大破して、周りは野次馬だらけ。みんな写真を撮ってた。私はその場所に友達と学校の帰り道居合わせたの。これは忘れるべき記憶だけど、忘れられなかった』
すいちゃんは蜜ちゃんの悲痛な苦しみを和らげたくて蜜ちゃんに言った。
『蜜ちゃん、今度原宿でデートしよう。その時は、蜜ちゃんの好きな双子コーデで一緒に歩こう。蜜ちゃんはいっぱい辛い思いした分だけ幸せになって良いんだよ。蜜ちゃんは幸せにならなきゃ良い思い出いっぱいこれからつくろうよ』
蜜ちゃんはどこか安心したように笑っていた。
初めてのピクニックは私たちにとって青空の元、言いたいことが言えた日になった。
すいちゃんにとっては蜜ちゃんの悩みがまたひとつ知れて、蜜ちゃんのことを守ろうと心から思った瞬間だった。
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