第18話 フィオとドラゴン。

#2024/07/01 誤字脱字の訂正、文章の編集を行いました。


「ごめんね。今キャンプ中でしばらく、ここに滞在するんだけど大丈夫?」


レナ「自分は、どこでも寝れますので大丈夫っす。依頼もないので問題ないっす」


フィオが俺に気付くと駆け寄ってきて抱き着いてきた。


「あ、この子をよろしくね」


フィオの頭を撫でながらフィオを紹介した。


レナ「え!?この可愛い女の子をっすかぁ……?私が教えられるのは剣術っすけど?」


「なんか剣の筋が良いって言われてさ」


レナ「そうなんっすか?じゃあ……少し見てみるっすか……」


レナが剣を抜くと目つきが変わった。


レナ「ちょっと私に打ち込んできてくださいっす」


フィオ「うん」


フィオが剣を抜くと……フィオから溢れ出るドラゴンの威圧のオーラ。


フィオがレナと向かい合い構えるとレナが怯えた表情で震えだした。


レナ「ちょっと待って!!無理っす。なんなんすか!?」


レナが、その場に座り込んだ。


「フィオその剣を収めてくれるかな。剣はボクが預かるよ。それで取り敢えず、この剣を使ってみて」


フィオ「うん。わかったぁ」


普通の剣をフィオに渡して、もう一度仕切り直した。


フィオが何度も打ち込むが全部レナに弾かれた。


レナ「もう分かったっす。うん、筋が良いっすね」


これで明日からフィオの面倒を見てくれる人が出来て訓練もしてくれて良いね。


「明日から本格的にお願いね。今日は、ゆっくりしてね」


レナ「……さっきの剣は、なんなんすか?あれは、ちょうヤバそうな感じだったんですけど……」


「遺跡から出てきた秘宝って感じかな?」


適当に誤魔化してみた。


レナ「……そうっすか。聞いちゃ不味い感じなら聞かないっす」


レナは当然、納得してなさそうだけど……ティナと同じで空気が読めるらしく詳しくは聞いてこなくて助かった。預かっていた剣をフィオに剣を返した。


「これは大事にしまっておいてね。練習で使わないようにね!」


フィオ「はぁい。わかったぁー」


「テントの周りを案内するよ」


露天風呂、トイレ、キッチンを案内をしたが驚いた表情をしていた。


レナ「なんなんすか?ここ……」


「キャンプ場かな?」


レナ「ぜったい違うと思うっす!」



レナは俺と話しながら露天風呂の方をチラチラと見ていた。


「お風呂入ちゃえば?」


レナ「え?良いんっすか!?わぁっ。やったー」


レナが脱衣場に向かいお風呂に入りだした。


あぁ……この人も恥じらいがない系の人だ。


ティナより胸は少し小さいけど年相応って感じで剣士と言うだけあって体が引き締まっていてスタイルがいいなぁ……


レナ「外でお風呂に入れるなんて思ってもいなかったっすよー」


「フィオをお風呂に入れてくれるかな」


レナ「あ、良いっすよ。姉妹多いんでなれてるっす」


フィオをレナに任せてティナと寛いでいるとエルとアリアが来たので紹介をしておく。


しばらくして、レナとフィオがお風呂から出てきて、こちらに向かってくる。


「ちょっと早いけど夕飯にしようか」


用意が出来るまで時間があるのでレナが自己紹介をした。


料理をみたレナが嬉しそうにしていた。


レナ「肉、肉っす。肉っすよ!わぁー!」


つられてエルも真似をしだした。


エル「肉だぁー!」


アリア「肉なのです!」


フィオ「おにくー」


肉、肉と、うるさい……けど、文句を言ってる訳じゃないし喜んでるんだから良いけどね。


レナ「自分、食事と言えば味の薄いスープに固いパンばっかりで……かなり前に魔物の討伐で活躍できて報酬を多めに貰った時に食べた以来っすよー」


ティナ「わかります!!私も同じでしたから……」



ティナも懐かしそうな顔をして頷いていた。


ステフ「いっぱい作りましたから、いっぱい食べてくださいね」


レナ「ありがとっす」


ずいぶんと賑やかな食事になったなぁ。


レナ「これ何っすか?」「うまいっす」「もっと欲しいっす」


と良く喋り良く食べる。


食事も終わり皆、疲れたのか寝るのも早くなった。


翌朝……



起きるとレナが朝から真面目に外で素振りをしていた。そう言えば冒険者登録の時に受付で剣士は毎日の練習が大事だって言ってたな。


その隣でフィオも真似をして素振りをしている姿が可愛い。


ステフも、もう起きて朝の準備をしていた。


ステフは真面目だなぁ。


エルとアリアとティナは……まだ寝ていた。


レナの実力を知りたかったので声を掛けた。


「レナ朝の練習付き合ってくれるかな」


と剣を構えた。


レナ「もちろん良いっすよ」


とレナも剣を構え目付きが変わるとレナから素早く距離を詰められ打ち込まれた。


俺は後ろに飛び間合いをとると同時にフェイントを入れ距離を縮め打ち込むと……レナの剣が折れたのではなく切れた。


……


レナ「じ、じ、自分の相棒がぁ……わぁぁぁ……」


ヤバイ!!癖で剣に魔力を流してた!


「ごめん!!すぐに直すから!」


レナ「え?大丈夫なんすか……?」


当然疑いの目で見られるよな……鍛冶職人じゃなければ武器職人でもないし。


切れた剣を繋ぎ合わせてるイメージをして剣の素材を再構成して強度上昇、切れ味上昇、耐久性上昇を付与した。


謝罪の意味も込めて、見た目もピカピカにしておいた。


レナ「スゴイ!スゴイっす!!ありがとっす。新品じゃないっすかー。わぁ……っ♪」


素振りをして違いを確かめているので切れ味を確かめて貰うために人型の的を出した。


レナ「なんすかコレ?どっから出てきたんすか?」


「試し切りしてみれば?」


レナ「はいっす!試してみたかったっす」


レナが剣を構え剣を振り下ろすと的が斜めにスッパッ!と斬れた。


レナ「バランスも切れ味も最高っすね」


「もう邪魔しないからフィオと練習を続けて」


テントに戻り、寝ていたティナの頬をぷにぷにと触り起こした。


ティナ「きゃぁ……」


ティナは、まだ馴れていないようで体をビクッとさせて飛び起きた。


「朝ですよー。罠の見回り行くけど一緒にくる?」


ティナ「え、あっ……はい。行きます。行きます!ちょ、ちょっと待ってください!」


慌てたティナが目の前でパジャマを脱ぎだし着替えだした。


あれ?良いモノを見られたけど……恥じらいを無くした?ティナさん


最近は魔道士の服装ではなく、動きやすい服装のワンピースで少しお洒落になっているが魔道士の杖は持っていて服装に合っていない。


着替えが終わったのでティナと森に入り罠を仕掛けた場所に向かった。


鳥が捕れてれば良いなーと期待してワクワクする。


罠に向かう途中で足場が悪くなるのでティナと手を繋いだ。


ティナ「今日も、いっぱい捕れていれば良いですねッ」


「鳥が、いっぱい捕れてたら嬉しいなー」


罠に着くと荒らされていた。


ティナ「え?なに」


ティナがムスッとした表情に変わった。


「罠に掛かった鳥を食べたんだよきっと、ゴブリン臭いし」


他の罠も荒らされていてムスッ表情から明らかに怒っている表情になっていた。


ティナ「え、ここもですか!?むぅ……ヒドイですね」


今回は罠が全滅だった。結界の外だしね……


ティナ「ゴブリンの討伐するべきですね、これは!」


珍しくティナが好戦的な発言をしてきたので探索魔法で辺りを探ってみると実際に少し離れた場所にゴブリンの巣があった。


チート能力を使うか考えた……せっかくティナがやる気を出してるしと思うけど……今回は使おう。臭いし、汚いしゴブリンの数が多いので面倒だし。


いつも通りゴブリンの魔石を転移で回収してゴブリンの死体を地下に転移させて片付けた。


「討伐は完了したよ」


ティナ「え?えっと……何もしていませんよ?動いてもいませんし」


ティナに300個くらいのゴブリンの魔石を見せた。


ティナ「ま、またですか!またなんですか!?規格外能力を使ったのですか!」


「ゴブリン退治って臭いじゃん?汚いし数多いじゃん?面倒じゃない?」


ティナ「…今回は……仕方ないですよね。ゴブリンですし……今回は、ですからね」


え?何で怒られてるの?ゴブリンを討伐したかったのかな?


「鳥を捕りに行こっか?ティナはロックバレット使えるでしょ?」


ティナ「はい。大丈夫です!使えますよ」


さっそく鳥を探してティナに場所を教えた。


「ティナ。あそこにいるよ」


ティナがロックバレットを打ち込むと見事に当たったが……鳥が大破した。それじゃ食べられないよ……討伐じゃなくて狩りなんですけど。


ティナ「……難しいです……」


「命中の精度は完璧だね……でも威力が強すぎだし弾が大きいね……」


ティナ「分かってますけど……調整が難しいのですよ。魔物に魔獣の討伐しかした事しかありませんし……」


弾の大きさと威力の調整が難しいらしいので小さい弾が撃てるライフルを渡して、的を出しティナに練習をしてもらった。


「これを使えば狩りの楽しさが分かるんじゃないかな」


ティナ「なんですか……これは?」


「狩りが簡単に出来る魔道具かな……」


ティナ「どうやって使うのですか?」


「的を出すから練習をしてみようか」


ティナ「はい」


ライフルと言っても火薬を使った弾ではなくて魔力を使った弾で音が出ないので鳥が逃げていく事はないので練習をしても問題ない。


命中率も上がって上手くなってきたので鳥を撃つと見事に鳥に当たった。


8匹見つけて6匹捕れたので、なかなか上手いと思う。


6匹捕れたので帰ることにした。


獣も捕ろうかと思ったけどまだ肉の在庫があるので止めておいた。


鳥を持って帰るとレナが近寄ってきたので鳥を見せた。


レナ「鳥ですか!食べるんですよね?今日も肉っすかー!?」


レナさんは、そうとう肉に飢えてるらしくピョンピョン跳んで可愛らしい。レナさん


ニワトリと味が違って美味しいんだけど小さいので食べごたえがないんだよね。


少し遅れてフィオが来た。


フィオ「れんしゅう、おわりー?」


レナ「少し休憩にするっす」


フィオ「わかったぁ。きゅうけいするー」


フィオが何かを探していた。


また、ウサギでも追い回して遊ぶのかな?


しばらくするとウサギを2匹捕って持ってきた。


フィオ「ウサギとれた。いえに、つれてってー」


「良いけど、家に用事あるの?」


フィオ「うん。ぺっとに、えさあげるのー」


「そっか、分かった。レナも一緒に来てね」


レナ「分かったっす」


ティナ、フィオ、レナと家に転移をして、俺とティナは家で獲れた鳥の処理をしてフィオとレナの帰りを待つことにした。


「レナ、フィオを宜しくね」


レナ「分かったっす」


フィオ「えさ。あげてくるー」


レナ「それじゃ一緒に行くっす」


フィオ「いいけど、いじめないでね?」


レナ「分かってるっすよ」


フィオを先頭に森に入って行き、しばらく歩いていると……何かの巨体のシルエットが見えてきた。


レナ「……え?あれは不味いんじゃ……」


フィオを止めようとするが先に歩いて行ってしまった。


後を追いかけて行くと巨体のシルエットが何か分かって呆然として恐怖で体が動かなくなった。


レナ「ド、ドラゴン……?フィオ逃げて!!」


フィオとドラゴンは、近距離にいてフィオが危険だがレナは恐くて近付けなく剣を抜くが恐くて震えた。


フィオ「なんで?」


レナ「ドラゴンが見えないっすか?!!殺されるっすよ!」


フィオ「わたしの、ぺっとだよ」


フィオがレナを無視してドラゴンが頭を下げ口を開けフィオが躊躇いもなく口の中にウサギを入れた。


ウサギを全部与え終わるとドラゴンの前足からよじ登り頭に乗り頭を撫でていた。


レナは混乱する…え?何してるっすか?ドラゴンっすよ?ペットになるものなんすか?ウサギがエサって足りるの?ドラゴンに乗れるの?フィオはドラゴン使いなんすか?自分はどうするべきっすか?


レナ「……」


混乱してる間にフィオがドラコンから降りてレナの元へ来た。


フィオ「いじめないでね」


ドラゴンは剣を構えたレナを気にもしてない様子で動かなかった。


レナ「なんすか……あれ?ドラゴンっすよね?危ないっすよ。早くもどるっす」


フィオの手を引き家へ連れ戻した。


そらに、さっきの事を報告するが慌てた素振りもなく平然と答えた。


「あぁ、ドラキンね。大丈夫だよペットだから」


レナ「そらさんまで、ペットってドラゴンですよ?暴れだしたらどうするんですか!?」


「暴れだしたら、ちゃんとしつけをするかな?だから大丈夫です」


レナ「ティナさんも聞いてました?!ドラゴンが近くに居るんすよ!大変なんすよ!一大事っすよ!!」


ティナ「あぁ……はい。一大事ですよね……普通は。でも普通じゃないので大丈夫なのですよ」


レナ「あ~誰も分かってくれないっす!自分、おかしいんすかね?恐がりなんっすかね……?」


フィオ「ちゃんといったーペットってー」


「分かったよ。じゃあドラキンにレナを紹介するから大丈夫だよ」


面倒だったのでティナ、フィオ、レナと転移でドラキンの元へやってきた。


ティナ「え?私も?ドラゴン苦手なんですけれど」


「近くに居たから、つい……」


レナ「ギャァーー!ドラゴンが近い近いっす!!」


ドラキン「どう致しましたか?我が主」


レナ「ドラゴンがしゃべった!!しかも主って言ったぁっ!?」


「新しく来たレナを紹介しに来ただけだよ。フィオがさっき来てたの?仲良くしてるみたいで、ありがとね」


ドラキン「いつもフィオ殿が来てくださいます」


フィオ「うん。めんどう、みてるー」



ペットってドラキンだったのね。


「偉いね、フィオ」


フィオ「わたし、えらい。剣のれんしゅうもしてたー」


「ドラキンと剣の練習?」


ドラキン「とうばつごっこ、というやつです」


「ドラキン、遊んでくれて助かるよ。レナも落ち着いた?」


レナ「……は、はいっす。ヤサシソウで……ヨカッタッス……」


今の所は危険はなさそうかと……納得して棒読みで答えた。


「じゃ、またくるよ」


転移で家に戻ってきた。


「まだドラキンの配下のドラゴンがいっぱい居るらしいけど大人しいから安心してね」


レナ「え!?まだドラゴンがいっぱい居るんっすか?!そんな危ない場所に連れてこないでほしいっす。どこなんすかここ……」


「ここは普段住んでる家で竜の谷って所の近くだよ」


レナ「何で、そんな危険な場所に家を建てるんっすか。人が近付いて良い場所じゃないっすよ」


俺が家を建てたわけじゃないし……知らないけど、気が付いたらここに居たんだよね。


「だから良いんだよ。おかしな人間も近付いてこないからさ」


レナ「早くキャンプしてる場所に戻るっすよ!」


「分かったよ。戻るけど良い?フィオ」


フィオ「うん。だいじょうぶ、えさあげおわったー」


レナが、うるさいのでキャンプをしてる場所に戻り


さっき獲れた鳥をステフに渡しに行く事にした。


「まだ、練習するの?ボクはテントに戻るけど」


レナ「もう疲れたっす。練習は午後からにするっす」


アリア「どこに行ってたのです?」


「アリア達こそ、どこに行ってたの?」


アリア「エルと一緒に探検してたのです」


エル「探検が終わったから午後から魔法の練習するよ」


「あまり遠くに行くと危ないからね」


アリア「はい。なのです」


エル「分かったぁ」


昼頃だったので皆で昼食をとり午後にボクとティナは川の上流に行く事にした。


レナ達に川の上流に探検しに行くと伝えるとエルとアリアにも聞こえたらしく。


アリア「ズルいのです!わたしも行くのです」


エル「一緒に行くー。練習はおやすみにする〜♪」


川沿いに上流に、しばらく歩いた所に5メートルくらいある滝があった。


ティナ「キレイな場所ですね」


「遊んでいく?」


アリア「遊んでいくのです」


エル「泳ぐー!」


ティナ「また泳ぐのですか?」


エルとアリアが服を脱ぎ下着姿で走って川に飛び込んだ。


深さがあって慌てて上昇したためアリアのパンツが脱げ流された……


アリア「わたしのぱんつ……」


アリアが呆然として流されていくパンツを見つめていたので転移で取り戻した。


「ここに取り戻したから大丈夫だよ〜」


アリア「良かったのです!そらさん持っててなのです!」


え!?ノーパンで泳ぐ気ですか!?


滝にうたれたり、飛び込んだり大喜びの2人を更に喜ばせいようと滝にウォータースライダーを作ってみた。


崖を登って行くのは大変なので転移で移動させてあげて二人はキャーキャーと言って楽しんでいた。


アリアが滑って着水すると今度は大きめだったTシャツが脱げた……何をやっているのですか。アリアさん


真っ裸じゃないですか!?別に……お風呂で見慣れてるし……


アリア「わたしのTシャツが……そらさん持っててなのです」


転移でTシャツを回収したけど……真っ裸で遊び続けるのね。


最近は少し胸があるので目のやり場に困るのですが!と思いながらも見ているとティナがジト目で見てきた。


ティナ「ああいうのが好みなんですね……」


と呟いてきた。


仕方ないので上に転移させる時にTシャツとパンツも着せた。


アリア「ありがとうなのですー」


しばらく楽しんでいたが、夕方になってきたので上流の調査は今日は終了して帰ることにした。


もちろんウォータースライダーは帰る時に撤去した。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る