第5話 現実

 

 「脳科学は既にして意識や見ている夢を映像化できる水準に達しています…」アスク氏はベールを被った「ドリームシアター」の試作機を前にして、イルージョニストの前口上よろしく語り始めた。

 「”見ている夢”を詳細に分析することは可能…ok,ok。では”見たい夢”を捏造することは?…それがクリティカルなポイントでした。そこでそうした脳科学やサイコイメージング技術の知見を応用して、様々なイメージや音声、におい、手触り、そういう感覚器官経由の情報を、数値化して、分類して、自由自在に脳内の意識野に再現し得る”夢の素材”として用いることを可能にして、われわれは”見たい夢”を自由自在に作り上げる一種のオートシナリオ製造システムを構築したのです!…」プレゼンは小一時間続き、熱っぽく語り続けるアスク氏のとめどのない饒舌に、やがて司会者も聴衆も辟易し始めたころに、やっとくだんの「ドリームシアター」試作第一号機のベールがさっと取り払われた!


そ、そこにあったのは?!誰もが驚愕した!


<続く>

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