第2話 大江双葉

私の名前は大江双葉。


都内の名門女子校に通う普通の16歳のJK。


他の人と違うのは祖父が会長の日本でも屈指の大企業大江グループの孫であり、グループの唯一の後継者であるということだろう。


ここの生徒はほとんどがセレブの子弟だから、ボッチというわけではないのだが、やはりほとんどの生徒は私から距離をとっている。ただし一人だけ例外の娘がいる。


幼馴染の香我美藍だ。


「ねえ双葉、部活どうするか決まった?」


「うーん、まだ考慮中」


「あいかわらず呑気ね。みんなもう決めてるよ」


「でもせっかく高校デビューするんだから、ここは慎重に」


「もう、そんなこと言ってるとまた3年間図書館で本を読むことになっちゃうよ」


もともと人見知りだったうえに、中等部の3年間文学部だったため、すっかり陰キャラが定着してしまった。


亜美は私の机の上に、沢山「陽キャラ」向けの各種クラブのチラシをばらまいた。


「やっぱ一押しはチア部かな」


「無理無理、人前で大足を開くなんて死んでも無理!」


「じゃあ、テニス部とか」


「私が運動音痴なの知ってるよね」


「注文が多いのよ。それじゃ軽音部とか」


「軽音部か・・・昔ピアノやってたから、なんとかなるかも」


「じゃあ早速見学に行こう」


亜美は私の腕を掴むと、強引に私を教室から連れ出した。





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