アサルトガール

南極ぱらだいす

第1話 プロローグ

セックス。


どいつもこいつも頭の中はセックスのことばかり。


チキンレースばりのスカートを短くすることに熱心なアホギャル連中。


これみよがしに、制服の胸元を大きく開け、「パパかつ」で買ってもらったネックレスを男どもに見せつけて悦にいる巨乳バカ。


どいつもこいつも自分の若さと身体を餌にして男どもを吊り上げるこで自分自身の価値を証明しようと必死だ。


思わず笑いがこみ上げる。


そういう私もつい一週間ほど前まではこいつらと同類だった。


私は今、夜の繁華街を雨が降る中、右肩と左手にギターケースを抱えて歩いている。


雨合羽を着ているが、隙間から雨水が入り込み、じわりじわり私の身体を犯していく。


その不快さは、まるで本物のセックスと同じだ。


目指す音楽スタジオはもうすぐだ。


私はギターケースの中のレミントンのポンプ式のショットガンと自衛隊の正式小銃、89式アサルトライフルのことを考える。


これから数分後に私の二丁の銃が火を噴き、大勢の人間が死ぬことになるなど誰も想像さえしていないだろう。


私は音楽スタジオの前で自分の手を見る。


震えていない。


覚悟はできている。


さあ、行こう。


私は顔を上げ、まっすぐ店の中に自動ドアをくぐり、中へと入っていった。





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