第5曲目 サイドミーサイト!

「でも好きでしょ あざとくカワイイ mimicryした ワタシ〜♪」


私、枢木くるるぎミユキこと楠木くすのき深雪みゆきはライブステージでルナちゃんといっしょに歌っている。ステージの上はライトのせいで冬でもとっても暑い。それでも私たちはお客さんのために一生懸命に頑張る。


「「完ペキでなくちゃ そんな努力もラヴじゃん〜♪」」


歌いながらミユキはある人を探し客席に目を走らせている。


(あ、アスマさんいた。やっぱり今日も来てくれたんだ♪)


探していた人を見つけてつい嬉しくて振り付けに入っていないのに手を振ってしまった。


「「「「イェえええエエエエ!!!」」」」


舞台袖からマネージャーの真木まきさんにきっと睨まれてしまって舌を出す。


「日進月歩なテンポで〜♪」「一進一退 何度でも〜♪」


再び客席に目を走らせもう一人のを探す。


「たどり着いたこのTOPステージ〜♪」

「植えつけたこのPOPイメージ〜♪」

「「ホントの私は見せないわTOPシークレット〜♪」」


…今日もあの人は居なかった。


************************************


握手会、アスマさんの番が回ってきた。


「あ!アスマさん。今日も来てくれたの!」


アスマさんはケータイを開きタタタッと文字を打ち込む。


『はい、今日も来ちゃいました。今日のライブも最高でしたね(^^)』


アスマさんは声にコンプレックを持っているらしくて握手会やチェキ会の時はいつも筆談で感想を伝えてくれる。


「私ホントに女性層のファンが少ないから、アスマさんが来てくれるととても嬉しいんだ♪」


アスマさんが目をキュムッとつむって身悶みもだえる。か、可愛い♡


『そんな風に言って貰えてワタシもとても嬉しいです♪ミユきゅんに会えるだけで幸せなのに、ワタシのこと覚えてくれるなんて、可愛い!』


可愛いのはアスマさんの方だよォ。


「それは、いつもアスマさんが私に会いに来てくれるからだよ。ここ3ヶ月のライブいっつも来てくれてありがとうね」


『ファンとしてミユきゅんの可愛いを見逃みのがすわけにはいきませんから』


アスマさんは人を喜ばせる天才かもしれない。いや、きっとそうなのだ。現に私は彼女に会うだけで口元が勝手にニヤけてしまう。


「ありがとう。でも無理しないでね?アスマさん高校生でしょ。私は中卒だから高校がどんな所かわからないけど大変?なんだよね。ルナちゃんが言ってたもん「忙しい!」って」


私のメイク用品はいつも真木さんが買ってきてくれる。この前その値段を聞いてビックリしてしまった。とてもそこんじょそこらの一般高校生に手の出せる代物しろものでは無かった。アスマさんもどこかでバイトをしてたりするのかもしれない。しかし彼女は私と違って高校にも通っている。忙しく無いはずがない。


『確かに忙しいわね(´・ω・`)』


やっぱり…


「もゥ、ホント無理しないでね!私アスマさんの事心配なんだから」


『心配してくれてありがとう(^-^)』


「えへへ、だってアスマさんは私の大事な数少ない“女性ファン”なんだもん♪」


彼女の為なら私は暑いステージもキツい踊りの練習も全く苦じゃないのだ。





************************************


新しい挿絵を近況ノートに投稿してます!

今回はルナ様も描いてるのでもし良かったら見てください。

皆さんからのメッセージや☆とても励みになっています。

これからも宜しくお願いします(^^)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る