第4曲目 アナタの為ならいくらでも!

〜3ヶ月と少し前〜


「ミユきゅん!今日のライブ凄く素敵でした!のどにいい飴差し入れに買ってきたんで良かったら食べてください!」


今日も僕「柏木かしわぎ遊馬あすま」はお気に入りの地下アイドルのライブ兼 握手会に足を運んでいた。自分で言うのもなんだが、僕はユニット発足時ほっそくじから足繁あししげく通い詰めた大古参だいこさんである。


当然のこと大の推しであるミユきゅんも僕のことを認知しているはずで…


「わぁ!ありがとう!あんまり見ない顔だけど…もしかして初見さんかな?この味私スっごく好きなの。大事に食べるね♪」


遊馬アスマハ心ニ致死級チシキュウ精神攻撃ダメージケタ!]


心凍こころいてつく、絶句ぜっくする、雷に打たれるとはまさにこの事!


「私たちのライブ楽しかった?」


1年…1年と約9ヶ月…遊馬あすまが少ない小遣こづかいやお年玉をはたいてミユきゅんに捧げてきたこの日々は無駄だったのか!?


「最近はお客さんも増えてきて嬉しいんだ♪」


いや…いな!月日にともなって着々と増えてゆくファンの波に飲み込まれ存在感を放てなかった自分が悪い!100パー悪い!なんなら5億パーぐらい悪い!


「ん?もしかして恥ずかしがり屋さん?ゴメンねこんなに一方的に話しちゃって」


思わずだンまりしてしまった自分のせいでミユきゅんに心配をかけてしまった!やっぱり自分が100億パー悪い!


「そ、そんな事ないです!ミユきゅんが喋ってるのが可愛すぎて固まってただけなんで大丈夫です!」


「良かったァ、あっ、もう時間だね次のお客さんも待ってるからまたね♪」


「ハイ!」


大丈夫…推しは可愛い、推しが歌を歌ってる、推しが生きている!推しが息をしている!!


もうこれだけで十分幸せじゃないか。推しに認知して貰おうとは、なんて烏滸おこがましい事を考えていたのだろう。磔獄門級はりつけごくもんきゅうの大罪じゃないか。


うンうン、大丈夫だいじょうぶ大丈夫だいじょうぶ、、大丈だいじょう


「“ぶ”じゃないッ!」


やっぱり推し認知欲しいよォ…


「ん?」


自室で寝る前の日課「ミユきゅんのPwitterチェック」をしながら哀しみの涙でそでを濡らす僕の目にあるプイートが目に入った…


『今日のライブも楽しかったなァ♪でも…私ってあんまり女性ファンが付かないんんだよね(・ω・`)ルナちゃんみたいに私も女性ファン来てくれないかなァ〜』


これだ…


決めたぞ…僕…いやワタシは、


「ミユきゅんの為なら女装なんて、いくらでもやってやらァァ!!!」


これが、ぼ…ワタシのミユきゅんに捧げられる最大限のの形だった。


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