第2曲目 キラキラにくびったけ!

鶯色うぐいすいろのとっくりセーターに焦茶こげちゃのロングスカート、腰回りにはベルト代わりにスカートと同じ色のリボンを巻いて、男性用トイレに駆け込もうとするワタシこと柏木かしわぎアスマは、所謂いわゆる「女装男子」というものだ。


「し、失礼しました!」


あわてて持ち場に戻る店員を他所よそにアスマはトイレに駆け込む。


「はァ、メイクし直しするんじゃゆっくりする時間は無いな。」


いきを漏らしながらもセッセとメイクを進める。今日は絶対に遅刻が許されない用事イベントが有るのだ。




「みんなァ!準備はイイ?」


「「「「「いぇぇえええええええええァ!!!!」」」」」


「それじゃァいくよ。聞いてください私たちの新曲」

「「最高機密トップシークレット‼︎」」


「「「「「うをぉぉぉぉおおおおおおォ!!!!」」」」」


       〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜


ここは先程さっきのカフェーの隣に位置する小さなライブハウス「桜ヶ丘さくらがおかMagic Room」。


そして目の前のキラキラ光るライブステージに立っているのは二年前に発足ほっそくした、ワタシが追っかけをする地下アイドル「ANIMA」だ。


メンバーは


水倉みずくらルナ、通称ルナ様。「ANIMA」のお姉さま担当。

枢木くるるぎミユキ、通称ミユきゅん。「ANIMA」のお茶目ちゃめ担当。

の二人。


そんな彼女らのミユきゅんにワタシは今、くび丈状態たけじょうたいな訳だ。


地下アイドルとはテレビなんかに出てくる地上アイドルたちと違い、ファンとの交流が多いことが売りのアイドルたちのこと。


ワタシも勿論ライブ後の握手会のチケットはすでに入手済みだ。


でも今は、


「〜たどりついたこのTOPステージ〜♪」

「〜植えつけたPOPイメージ〜♪」

「「ホントの私は見せないわTOPシークレット〜♪」」


「「「「「イェええええええ!!!!!」」」」」


目の前の2人に夢中だ!

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