第5話 予約の意味は分かったけど
「どうした、コータ?」
「いや、ちょっとね。でもな……ん~」
「な~にな~に、悩み事ならお姉さんに話してみなさい」
「じゃ……」
「え? 本気なの! ちょ、ちょっと待って! まだ、心の準備が……スゥ~ハァ~スゥ~ハァ~スゥスゥ……プハァ……はい、いいわよ。バッチコォイ!」
「「「……」」」
俺はさっきのふとした思いつきに対し流れた『肯定します』のメッセージにマジかと一人驚愕していたのをアオイが気遣ってくれ、カリナは相談事なら任せてと薄い胸を叩く。なので、ならばと本人に確かめるのが一番だなとカリナに話そうとすれば、カリナもまさか本当に俺が悩みを打ち明けると思っていなかったのか、急にジタバタとしだした。ようやっと落ち着いたみたいで深呼吸を繰り返した後に言った言葉で急に萎えてしまう。
「あれ? もしかして間違ってた? あれ? でも、コータの知識の中にあったのを参考にしたつもりなんだけど……ダメだった?」
「いや、どんな知識だよ!」
「ん~えっとね、確か……学校という施設の中で……」
「あ~もう色々と間違っているから。で、カリナというか、カリナ達に確かめたいことがあるんだけど」
「え? 私……達? は! まさか、家に挨拶に来るってパターンね。確か、そういうのもコータの知識の中にあったわね。あれ……え、ウソ! ま、待って! まだ、私にも心の準備というものがあるから!」
「コータ、カリナはまた盛大な勘違いをしているようだが……叩けば治るか試すか?」
「アオイ、俺もそうしたいけど今は止めとこうね。それにもしするなら
「ふふふ、そうか、そうだったな。『顔は止めときな。
「そ、そういうこと」
一人悶絶するカリナを見ながら俺とアオイでそんな話をしているとガイルさんに「どうでもいいが、回りの目もあるからな」と苦情を言われたのでカリナを現実に引き戻し、確かめたいことを話す。
「え? 私の姉妹?」
「うん、上か下かは分からないけど、俺が最初に会ったエルフの少女……じゃないんだよな。多分だけどさ。名前は……確かケリー……だったかな。キンバリー領で洋品店を開いている……ってカリナ、聞いてる?」
「コータ……」
俺がカリナに「ケリーって知ってる?」と聞いたらカリナの様子がおかしい。なぜか俺の両肩をガシッと掴み「まさか、予約されてないよね?」と聞いて来た。
「予約? 予約……予約……あ!」
「されたの?」
「あ、うん。ほっぺたにキスされて、その時に『予約したから』って言われたけど?」
「あ~そんなぁ……」
「はい?」
俺がケリーさんに予約されたかどうかを聞かれたので、そう言えばとカリナに店でされたことを話すとカリナはその場で項垂れてしまう。俺はそんなことよりも確かめたいことがあったからカリナに対し「もしかして、姉妹だったりする?」と聞いてみればカリナはコクリと頷く。
「あ~やっぱりか……」
「そんなことよりも、なんで予約されちゃったのよぉ~」
「いや、なんでって言われても……いきなりだったし……大体、予約の意味も知らないし」
「……知らないの? ホントに?」
「うん、知らないよ。だって言わなかったし、聞かなかったし。で、なんなの予約って?」
「ん~なんて言ったらいいのかなぁ~私もその意味をちゃんと理解したのはつい最近だし。ってかコータの知識を貰ってから初めて知ったことなんだけどね」
「え、ナニソレ。怖いんだけど……っていうか俺の
「えっとね、私が知ったのは予約の本当の意味なの」
「だから、それってなんのこと?」
「……言っとくけど、私がそうだからとかそんなんじゃないからね! ケリー姉さんがしてきたコトなんだからね。それだけは誤解しないで欲しいの!」
「分かったから。で、なんなの。その予約って」
「あのね……」
カリナが話してくれた予約の内容は俺には衝撃的な内容だった。でも、街を離れたのだから、関係ないだろうと思ったけど、そんなに甘い話じゃなかった。
ケリーさんが俺にした予約はいわゆる占有だった。じゃあ、何が占有されたのかとカリナに確認すれば「それは
「へ?」
「だからね、私もケリー姉さんが『チェリー・キラー』って呼ばれていたのは知っていたけど、その意味が分かったのはコータに知識を貰ってからでそれまではそんな意味だと知らずに音の響きから『なんか格好いい!』と思って私も『チェリー・キラーになる!』って胸張って言ってたの……あ~昔の私を殴ってやりたい!」
「はぁ……それはなんていうか……ご愁傷様です」
「コータ、ちゃんと慰めてよぉ~」
「はい、そこまでぇ~」
「サンキュ、アオイ」
「……」
カリナに聞かされた内容は確かに驚きだが、そんなケリーさんに憧れて「チェリー・キラーになりたい!」って連呼していたカリナは気の毒としか言えないが過去のことだと割切って忘れて前を向いて欲しい。
そしてカリナが言うにはこの予約は一種の呪いであり、ケリーによって
「え、呪いなの?」
「うん、詳しくは知らないけど闇魔法の一種みたい」
「はい? ちょっと待って……うん、大丈夫みたい」
「え?」
俺は呪いと聞いて慌てて自分を調べてみたが、俺の体には呪いはかかっていなかったことが分かりホッと安堵する。
「うん、大丈夫だよ。俺にはその呪いは掛かってないみたい」
「え? ホントなの?」
「うん、ホントだよ。ちゃんと確かめたし。で、ちょっと確認だけど……答えづらかったから答えなくてもいいんだけどさ」
「うん、なに?」
「もし、予約状態だったら、どうなるのかなって思ってさ」
「あ~気になる?」
「そりゃあ……ね」
「そっか。えっとね、日常生活を送る場合には問題ないんだけどね」
「だけど?」
「もし、ケリー姉さん以外の女性とそういうコトになった場合にはね……その……なんというか……」
「役に……立たない?」
「うん、そう。勃たないの。アレが」
「アレ……って、コレ?」
「……うん」
俺は自分の股間を指差して「コレのこと」とカリナに聞けば、カリナは恥ずかしそうに頷く。
「呪いはないから、使えるんだよね」
『肯定します』
「よかったぁ~」
「今、使うか?」
「アオイ、女の子がそういうことは言わないの!」
「コータよ、色々と言いたいが、今自分達がどこにいるのかを思い出してくれ」
「……ごめんなさい」
俺は一応、大丈夫だよねと確認してみたら脳内メッセージが流れたのに安堵すると、アオイが自分の胸を持ち上げながら「使うか」と聞いて来たので、それをやんわりと止めればガイルさんから場所を考えて欲しいと言われてしまう。
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