第5話 ready?

「は、話が早い少年だな。では、頼む」


 憧れであった巨大ロボットの搭乗口へと軍人によって案内される。俺はそのエレベーターの様なものに乗って搭乗口へと進んでいく。


「この機体は『ヴレインズ号』と呼ばれている、ロボットだ。とある研究者が開発した、最強のロボットだ。君には適性があるから乗る事が出来る。」


「適性が無い状態で乗るとどうなるんです?」


「まあ、まず動かないね。適性の無いものが乗った所で、ただのオブジェとなるのさ。」


「なるほど」


 しかし、何故俺に適性があったのだろうか。ただの一般的な男子高校生だった筈の俺だ。特に名家生まれな訳でも無く、辺鄙な奴でもない。

 俺は、俺でしかなく、俺である。それ以外のことはありえない筈だ。

 では、何故?


 なーんてね。


 まあ、いいや。考えても無駄な事だ。

 そもそもの話、適性がある事を知っただけでも満足の域を行っているのではないか。別に、何故そうなったかの説明をされたとしても、されなかったとしてもこの出来事は完全に事実なわけで、揺らぎない真実な訳であって、別に変わりゆくものでもない。

 それなら、素直に応じるしかないだろ。


 そして、軍人共にエレベーターの前まで着き、軍人がエレベーターのボタンを押す。そして、乗り込んだのちエレベーターも、最上階まで登り扉がゆっくり開く。

 そして、俺の目の前に広がった光景に思わず感服した。

 なんと、そこには巨大なロボットの顔があり、想像していたものよりも、もの凄い迫力であった。


「わあ、凄い。これには感服した」


「このロボットはこう言う時の為に、国総出で作り上げた代物なんだ。時間と、お金はかなりかかったけれどね」


「なるほど。これは本物だ。」


「さあ、こっちだよ。」


 またもや軍人について行き、ロボットの後頭部へと移動する。


「此処がこのロボットの搭乗口だ」


 そう軍人が言うと、煙と共にロボットの後頭部から階段が伸びていく。

 それはまるで、プレジデントが飛行機から降りてくるアレみたいな感じであった。


「急なお願いで申し訳ないが、此処からは私たちは君に任務を託す。敵軍を殲滅し、我が国を取り戻してくれ。」


 こんなお願い、普通の人が頼まれたら速攻の勢いで断るのが普通であろう。しかし、俺はそんな勿体無い事はしない。


「はい、任せてください!!」


 俺は何の躊躇もなくすんなり、謎のロボットとやらに乗り込んだ。それほど単純ではあったが好奇心には抵抗出来なかったししようとも思わなかったね。

 中に入ると其処には如何にもなコックピットが搭載されており、早速其処に座った。

 最新型ディスプレイを搭載していて、空中に操作画面が浮き出てきた。

【パイロット登録を行いますか?】

 俺は勿論そんな問いにYESを押した。

 しかし、押したその瞬間鼓動が早くなる。目の前が霞み、意識が朦朧としている。すかさず次の問い掛けの、

【適性はありますか?】(適性が無い場合にこのロボットに乗った場合、責任は取れません。自己責任でお願いします。)

の欄にYESを押した。そして、その瞬間さっき感じた痛みは全て消え去り、新たな血の巡りを感じる。

【新パイロット登録中】(loading......Now)

 謎の感覚に襲われ、全身に高揚感が抱き寄せる。なんだ、この感覚は......

 見知らぬ高揚感が体全体を駆け巡り、脳へと衝撃が届く、全身の血が巡る様な感覚に襲われた。

 そして、暫くするとその感覚も収まり、いつも通りの感覚へと戻っていた。

【登録成功......New prayer......】

 アナウンスの後、ロボットからとてつもない程の蒸気が抜ける音がする。それはまるで、出発直前の電車の様に。多く含まれた熱を解き放つ瞬間であった。

 そして、機械内の全光がひかり青と緑のデジタルな光に包まれた。


「おお、綺麗だ」


 その光はまるで、ウランの様に蛍光色の淡い光を放っていた。不思議だ。全五感を刺激する。

 何だこの高揚感は。

 そして、液晶の画面にはこう映し出された。

【ready?】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

駄目戦記〜handling warning This robot is the strongest but it has a handicap Air @yachirigi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ