第3話 崩れたアスファルト
【食堂】
「.....いや、それにしても。久しぶりにうどんなんて食べたけどやはり美味いな。」
昼になったにも関わらず、人がそれほどいない食堂の目の前には0円で手に入った、熱々の食堂のうどんが置かれてた。うどんからはユラユラと温かさみ満ち溢れた湯気が立ち、恐ろしい程美しい見た目をしていた。
朝ご飯を抜いている為、いつもよりも美味しく見えるのだ。
「くそぅ、こっちが金欠だからって少しばかり手加減してくれないのか。財布からほぼほぼ、お金が消えたのだが......」
クライシスは少ない手持ちを無くしたから、下を向いて、ぶつぶつ呟いている。
「運も実力のうちだって言うだろ。残念だったな、クラなんとか。まあ、お前のお陰で俺は無事に昼食を食べる事が出来た。人助けだと思えば、安いとは思わないか?」
「思うか......このままだと明日からパンの耳しか食べれない......」
「まあ、ペンは結局貸したからいいんじゃないか。最悪、ナメクジでも食べてたら餓死する事はないだろ。もしくは雑草でも食え。」
「ナメクジを食べるくらいなら、私はバラの香りで十分だ。」
相変わらず、頭が少しイカれてる。だが、そんな事はどうでも良い。俺はうどんを食べるだけだからな。
俺が勝負に勝ち、栄光のうどんを食べていたその時であった。本校舎から爆発音が聞こえて来た。それもとてつも無いほどの。
衝撃波でひっくり返った俺たちは同時に起き上がり、目を合わせる。
「今のはなんだい。」
「とんでもない音がしたぞ。本校舎の方からじゃないか?」
「なんで?まさか、テロか?」
『テロ』と、言う単語を聞いた瞬間嫌な予感がする。とにかくよからぬ事が起こっている事に変わり無いからだ。
「そんな、何故こんな時に」
「と、取り敢えず、外に出ようじゃないか。」
「ああ。急ごう。」
俺たちは散乱していた食堂から抜け出し、急いで外へと駆け出した。うどんは飛び散っていた為、グッバイする他無かったのであった。
ああ、勿体無い。
そして、そこで目にしたのは、俺たちの想像を絶する物であった。大量のヘリコプター。武装した軍人。数台の戦車。コレはもうテロと言うよりかは「戦争」に近い規模であった。
「何故、軍隊がこんな所に居るんだい。」
「アレは?何処の軍隊だ?あんな服の軍隊なんて見た事ないぞ。」
俺たちはそんな光景に思わず立ち尽くしてしまった。すると背後から声がした。割りかし、聞き慣れた声だ。
「お前ら、早くコッチにこい!!」
その声の主は体育教師の声であった。俺たちは即座に先生の方へと駆け寄った。三人が並走して、本校舎から遠ざけている。
「あれは何が、始まっているんだい?」
「戦争だ。アレはもう。」
戦争だと。それはマズイ。
「何処の軍人なんです?」
「連邦軍の連中だろうな。それにしても停戦条約はどうしたんだよ」
体育教師はため息を吐きながら走っている。そして、走った先には白い軍服を来た自国の軍人が救助に来ていた。
「はやくこのトラックに乗りなさい。」
そして、軍人が運転するトラックの荷台に俺達3人の男は無事飛び乗る事に成功した。その後トラックの近くで爆発が起きる。
「あそこはもう駄目だ。避難するぞ。」
軍人がそう言い車を走らせる。
周りを見てみると学校は戦火の炎に包まれ、それは俺たちの知っているものでは無かった。
「おーい」
背後からりみの声が聞こえる。そう思い、振り向くとリミが全速力でトラックに追いつこうとして、疾風の如く走っていた。
「待ってよー!!」
その声を聞いた瞬間ハッとした。
「掴まれ、リミ!!」
手を差し伸べるものの、僅か数センチが届かない。
「あとちょっとだ、頑張れ!!」
そして、ようやく俺の手がりみの手を掴んだ。男三人で思いっきり引っ張りそのまま引きづられる様にして、彼女をトラックに載せることが出来た。
「うー、死ぬかと思った。」
リミはホッとした様子で、力を抜いて寝転がっていた。
「全くだよ、生きてるのが奇跡だよ。正に、私のクライシスの魔法のお陰ですよ。」
「あー、体育教師で良かった。」
「はぁ、俺のテリトリーが。」
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