旅で気を付けること

 旅の用意を整えた翌日、冒険者ギルドに向かった。


「護衛依頼、護衛依頼、……あった」


 冒険者ギルドで受ける依頼の中には護衛依頼という物がある。これは荷馬車などを街まで守りながら送る任務だ。

 この任務の良いところはタダで町まで行けること。目的の町があれば護衛任務を受けるのもいいと思う。


 という訳で、


「遊佐勇魔です。よろしくお願いします」


 魔王の元に向かうべく護衛依頼を引き受けた。この依頼で行く町はかなり魔族領域に近い場所だ。


「あぁよろしく頼むよ。じゃあ早速行こうか」


 町までは大体二日ほどかかる。その間平和に馬車の旅が出来る、わけがない。


「ま、魔物だ!」


 馬車の前を塞ぐように巨大な蛇の魔物が現れた。


「早速お出ましか。ライ、行くぞ」


『はい!』


 聖剣ライを抜き、蛇に向かって剣を構える。


「気をつけろ!その魔物の牙には毒があるぞ!」


 毒か。あの巨体に毒の牙、かなり上位の魔物だろうな。

 けど僕にとっては無意味なんだよな。


「大丈夫ですよ。もう終わったので」


「え?」


 その瞬間、蛇の体真っ二つに割れた。

 何が起こったかと言えば、一瞬で剣を振るい、その風圧で蛇の体を斬った。


「さぁ、先を急ぎましょう」


「あ、あぁ」


 馬車に乗り先に進む。


 旅には色んな危険が付き物だ。

 先ほどの魔物もそうだが、他にも盗賊、時には天候なんかも行く手を阻むものとなる。

 今回は魔物が出ただけで済んだ。盗賊、人間相手は少し面倒なんだよな。

 と、そんなこんなで街に着いた。


「いやー本当にありがとう!途中で魔物が出た時はどうなるかと思ったけど、君のおかげで本当に助かったよ。ありがとう!」


「いえいえ。それでは、またどこかで」


 馬車の人と別れ、街の中に入る。

 魔王の元までにはここからは歩いていくしかない。なのでここで一度休息をとる。

 敵地に挑むのだから体調は万全にしなければならない。



 _____


 休息を取った翌日、魔王の元に向かう。

 ただ魔王の元に向かうと言っても地図では大雑把な場所しか分からない。

 だが、ここで活躍するのが聖剣だ。


「ライ、頼むぞ」


『お任せください』


 聖剣は魔、悪、邪と言った物に対する力がある。それと共にそれらを探知する力もある。

 なのでライに魔王までの道案内をしてもらう。

 ただ徒歩という訳にもいかない。ここで一つ旅に便利な魔法を教えよう。


「【クリエイト・ゴーレム】」


 土魔法【クリエイト・ゴーレム】

 この魔法はゴーレムを作り出すことが出来る魔法。ゴーレムは自分の思うがままに動かすことが出来る。こいつに乗って、魔王の元に向かう。


 ちなみにこの街に来るのに使わなかった理由は、ゴーレムに乗って移動してる人が少ないく警戒を与えてしまう可能性があるから。だが魔族領域ならばそのことを気にせずに移動できる。さらに言えばゴーレムは戦闘にも役立つ。


 僕たちは魔王の元に向かった。

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