第28話 料理とは、レシピとは
「今から陽菜に教えてもらったレシピで料理するから、悠莉と私のどっちがその料理を美味しく作れたか審査してよ!」
などと、自前の巨乳をぶるんと揺らしながら宣言したのは桃花ちゃんだ。
現在、俺はW巨乳JKたちに我が家で料理を作らせろと迫られていた。
現役の巨乳JKに手作りしてもらうとかご褒美でしょ、と思ったそこのあなた、その料理で気絶してからもう一度言ってごらん。
絶対同じこと言えなくなるから。
事実、そのW巨乳JKのうち一人、悠莉ちゃんは、以前の陽菜との料理対決で、互角に勝負するどころか、査定者である俺を気絶させたからな。
美味い不味いの話ではなく失神。
故に、
「いや〜先輩も果報者ですねぇ」
「ねー。こんな可愛いJKに作ってもらうなんて、お金払っても無理だよ」
「帰ってくれ」
俺は二人の肩を掴んで言った。
二人はきょとんとした顔つきで、何を言ってるんだこいつ、と言わんばかりの視線を俺に向けてくる。
「いや、もう散々なんだ。陽菜のレシピ通りに作る? 信用できるか」
「ひっど! JKの料理食べたくないの?!」
「JK、JKうっせぇんだよ! 自分でプレミア感出して言うな!」
「今日は真面目に作るかーらー!」
「“今日は”っつってる時点で信用ならねぇわ!!」
今日は真面目に料理する、とか絶対嘘だろ。そう言って、いつもいつも酷い目に合わされる和馬さんだぞ。
俺が桃花ちゃんと言い争っていると、横から悠莉ちゃんが割り込んで来た。
「まぁまぁ、お二人共落ち着いてください。先輩、ここは私に免じて許可してください」
「お前はさっきからどの面下げて料理チャレンジできると思ってんだ」
俺がそう言うも、悠莉ちゃんは『こいつわかってないな』みたいな顔つきで、首を左右に振った。
「先輩、元カノの手料理が食べられる機会、そう多くないと思いますよ?」
俺はその一言を聞いて、彼女の胸倉を掴み、釣り上げた。
「好き勝手言わせておけばぁ!!」
「ぼ、暴力反対ッ!!」
「お前いっかい痛い目に合わないとわかんないみたいだな?! ああ? 和馬さんは神や仏じゃないんだぞ?! 出すとこ出すぞ! おっきするとこおっきさせんぞ!」
「そ、そこは『出るとこ出る』では......」
などと、俺らがやり合っている間に、
『カシャ』
と、どこかから不穏なシャッター音が耳に届いた。
後ろを振り向けば、桃花ちゃんがスマホのカメラレンズをこちらに向けている姿を目にする。
「『元カレが元カノに暴力中。やはり未練か』......と。で、お兄さん、私、あとワンクリックで今の内容をSNS上に拡散できるけど、どうする?」
「......。」
俺はもう反対することができなかった。
******
料理というのは、食材の量を適切に守って、手順通り作ればそれなりの物が完成するもんだ。
おにぎりを作るには、まずお米を研いでから炊く。炊いてから、お米を適量よそって型を整える。整えてから塩をまぶすなどして味付けを行う。
カレーを作るには、まず煮込むのに必要な食材を全て食べやすい大きさに切ってから。切った後に火が通りにくい物から鍋に入れて炒めたり煮込んだりする。手軽に作るのであれば、ここで市販のカレーのルーを投入するはずだ。
だから料理はレシピを守って作らなければならない。
「あ、私これ作りたい! ハンバーグ! チーズがインしちゃってるやつ!」
「では私はミートソーススパゲッティを作ります。チーズがオンしちゃってるやつ」
「......。」
W巨乳JKがこれから作る料理、マジで大丈夫なのかな。
具体的には俺がちゃんと食べられるのかとか、気絶しないとか、そういう美味しいかどうかを決める以前のレベルで。
桃花ちゃんと悠莉ちゃんは、陽菜が用意してくれたレシピが記載された紙を見て、キャッキャウフフと燥ぎながら何を作るか話し合っている。
俺はその光景を白い目で見ていた。
そんな俺に、桃花ちゃんが自前の巨乳をぶるんと揺らしながら宣言してきた。
「お兄さん、作る料理決めた! 私、ハンバーグ! それもチーズがインしちゃってるやつ!」
チーズ・イン・ハンバーグね。
ちょっと難易度的に心配だけど、それ依然に問い質したい。
“チーズがインしちゃってるやつ”って、なに。
チーズをインするんだろうが、おめーが。
なに、自分は関与してないみたいに言ってんだ。インさせなくても普通ので良いんだよ、こっちは。
そんな内心でツッコむ俺に、今度は悠莉ちゃんが桃花ちゃんに負けない大きさの乳房を揺らしながら宣言してくる。
「先輩、私はミートソーススパゲティにします。それもチーズがオンしちゃってるやつです」
お前もいったい何を言ってんだ。
“チーズがオンしちゃってるやつ”って、なに。
もしかしてパルメザンチーズをまぶすこと? だとしたら、それは俺が任意でオンすることだろーが。
なんだ、チーズがオンしちゃってるって。誰がまぶすんだよ。怖ぇよ。
俺が内心で不安になっていると、二人はさっそく料理に取り掛かった。
桃花ちゃんはまずハンバーグに欠かせないご飯を炊くところから。
悠莉ちゃんはスパゲッティを茹でるために、水を沸騰させるところから。
俺はそんな二人を他所に、陽菜に向けて遺言を書き残すのであった。
―――――――――――――――
次回、和馬さん死す?!
ども、おてんと です。
次回続きになります。料理にすら入らず、今回を終えてしまってごめんなさい。グダグダすぎました。
それでは、ハブ ア ナイス デー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます