閑話 私の彼氏は・・・ 2

 「え? 最近、彼氏とどう?......ですか?」


 私、中村 千沙は、お母さんのそんな質問に、思わず聞き返してしまいました。


 私は今年の春で高校三年生になります。付き合っている交際相手も高校三年生です。


 お互い、進学を目指す私たちは共に受験生になります。


 まぁ、私の場合、受験生だからといって、勉強を頑張らないといけないとかありませんが。


 私、頭良いですし。


 「普通......ですかね」


 でも私の彼氏は違います。


 別に頭は悪くないですし、むしろいつも成績は学年トップを維持しているので、比較的良い方と言えるでしょう。


 ですが、今年は受験生。


 進学を目指している以上、きっと今までより勉強を頑張ることでしょう。


 そう考えると、私と一緒に遊んでくれる機会は減っていくような気がします。


 はぁ......。


 「の魂を鎧かなんかに定着させれば、睡眠させずにずっと遊べるのに......」


 などと、どこかに鎧があれば錬成を試したくなった私は、冗談交じりにそんなことを呟きました。


 ちなみに私が口にした“兄さん”とは、私の彼氏のことです。


 “彼氏” = “私の兄” です。


 安心してください。私と彼に血の繋がりはありません。赤の他人です。


 私が交際相手を兄と呼ぶに至った経緯は......まぁ、割愛しますが、一言で言ってしまえば、私は昔から兄が欲しくて、その兄になりそうな人物が交際相手だったというだけの話です。


 それでもちゃんとカップルらしく、キスの一つや二つはしますが。


 「はい? 今なんと?」


 私がそんなことを考えていると、お母さんが私にまた別の質問をしてきました。


 うまく聞き取れなかった私が聞き返すと、お母さんはまた言葉にしてくれました。


 彼氏のどこを好きになったの?と。


 「そうですね......面倒見の良いところでしょうか」


 私の兄は、やはり兄と任命するくらいには面倒見が良いです。


 私が甘えたくなったときは、どんな時でも甘やかしてくれます。


 いきなりハグしても嫌な顔ひとつしませんし、兄さんが寝ているところを叩き起こして、一緒にゲームしようと誘っても付き合ってくれます。渋々ですけど。


 私はそんな兄さんが好きで好きで仕方ありません。


 「あとはアレですね、アレ」


 そして最後に、私は兄さんの好きなところを、声を大にして答えました。


 「極太ち〇ぽです!」


 お母さんは、どこで育て方を間違えたのだろう、と溜息を吐いていました。

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