第一章 バイト先は農家
閑話 私の彼氏は・・・ 1
「え? 最近、彼氏とどう?って?」
私、中村 陽菜は友人の唐突な質問に戸惑った。
どうって言われても、ねぇ......。
私は今年の春で高校二年生になる。一方の交際相手は私より一つ年上で、高校三年生。
進学を目指している彼は受験生になるわけで、そうなると必然的に、私と彼が一緒に過ごせる時間は少なくなると思うのよね。
仕方のないことだけど、それでも彼のやりたいことは全力で応援したいから、私は我儘を言わないようにと決めていた。
「普通よ、普通」
だから我慢していると他人に思われたくなくて、私はそう返答した。
なんでそう思ったのかは、はっきりと言えない。
なんかこう、いつも私と彼がイチャイチャしているというか、熱々なカップルと思わたくて......冷めた関係と思われたくなくて、しょうもない強がりを言っちゃった。
そんなことを私が考えていると、友人は「ふーん?」とつまらなそうに相槌を打って、次の質問をしてきた。
彼氏のどこを好きになったの?って。
友人も今を生きる花の女子高生だ。恋バナに興味があるのはわかるけど、なんでまた急にそんな質問を......。
とりあえず、私は答えることにした。
「真面目なところ......かしら?」
私がそう言うと、友人はさっきよりもつまらないと言わんばかりの顔つきになる。
な、なによ、別にいいじゃない。
「あのね。何を期待していたのかわからないけど、これってすっごい大切なことよ? 私の長所も短所も全て受け入れてくれるの。ほんっと“くそ”が付くほど真面目だわ」
私にはあまり人様に言えない悪い癖がある。
“
私は彼に惚れてしまってから、ずっと自分のものにしたいと思っているわ。
それは付き合ってから月日が経っても変わらない。できれば、朝から晩までずっと一緒に居たい。ずっと触れ合っていたい。
もっと言えば、彼の全てを管理したい。
プライベートなところも含めて全部。
そんな“重たい女”と自覚がある私でも、彼は笑って受け入れてくれた。
受け入れて、どんとこいと言ってくれた。
だから私は彼が大好き。
好きすぎて―――
「......。」
またやってしまったわ......。
付き合っている彼氏が好きすぎて濡れちゃった......。
とりあえず、帰ったら彼とイチャつかないと昂った気持ちが収まりそうにないわね。
などと、今年から受験生の彼氏に、さっそく迷惑をかける私である。
「あ、それともう一つあったわ。彼の好きなとこ」
私は言い忘れてたと言わんばかりに、友人に付け加えるようにして、彼氏の好きなところを言った。
「カリ高ち〇ぽ!!」
それを聞いた友人はジト目で私を見つめていた。
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