続々・後輩と子供の頃遊んだことがあるとか気づくわけがない

 それから30分ほど進むと目的の出口が見えてきた。


 高速道路に上がったばかりの頃には見えていたビルやマンションなどの高い建物は消え、明かりも少なくなっている。

 街頭の間隔もあいてきた。


 遠くには影でしか確認のできない山々が並んでいる。


 深夜とは言え都心から一時間ほど車を走らせるとこんな場所へついてしまう事にシオンは少し驚く。


 昨日の朝、同じ場所まで来るのには早い時間に出たというのに二時間近くかかっていたが、深夜に出ると一時間足らずだ。


 法事からの帰り道では後部座席に寝るレイジのいびきをBGMに眠気と戦いながら運転していたシオンだが今は隣に話し相手がいるため余計にあっという間にここまで来てしまったと感じている。


 明け方の5時くらいに寝て昼過ぎまで寝ていたのだから眠気もない。


 《カッチカッチ》



 シオンは差し掛かった出口の方に向かってウィンカーを出した。


 「降りたらどっち行けばいいかわかるか?」


 運転をするようになってからも何度かこの辺りまで来ているシオンだが行きはレイジが運転で、助手席にはいつも母がいていつも後部座席だ。

 たまに疲れきったり酒を飲んだレイジの代わりに帰り道で運転することはあったシオンは行きの道は覚えておらず、帰りも車のナビゲーションを使うため土地勘はない。


 ミサキが運転免許を持っているかは知らないがまだ19歳だ。

 普段電車で移動しているであろうミサキは高速道路の出口から家までの道のりはわからないだろうと聞いた。


 「うーん…あっそうだ。」


 ミサキが動くのが視界の端に見えたのでアクセルから足を離してブレーキを構えるとちらりと横を見る。

 後部座席に身を乗り出そうとしている。


 「危ないからやめなさい。」


 妹に諭すようにシオンは言った。


 「もう高速降りるから、なんか取りたいものあるならその辺停めるからそん時取ればいいだろ。」


 「はい。すみません。」


 いつものことであるがシオンがミサキを注意すると大げさに落ち込んでしまう。

 そのことがわかっているシオンは注意する際は優しく諭すように言おうとするがどこかぶっきらぼうで悪く言えば乱暴になってしまう。


 妹に接するようにしているが妹はあくまでも身内である。

 年の離れている妹であるから優しくは言っているが身内であるから外向きの話し方ではないので結局ミサキはその態度に落ち込んでしまう。


 高速道路から降りるとすぐに少し広めの国道に出る。


 いつもレイジは右に出ているし昨晩の帰りを思い出しそちらで間違いないと思ったシオンは右折すると少し走らせ車を停めてハザードを点けた。


 「ほら、今のうちに探しちゃえ何ほしかったんだ?」


 「んーっと…」


 バッグの中から何かを取り出そうしたのはすぐわかった。

 移動中の動く車で後部座席に身を乗り出すのは危ないと一度降りて探したらいいという意味で車を停めたが、その性格から以外ではあるが横着をしたミサキはシートベルトも外さずに後部座席に身を乗り出した。


 シオンは注意しようと思ったが今更面倒だと、何も言わずに室内灯をつける。


 ミサキの方を見ると一生懸命に手をのばしてバッグを取ろうとしている。


 体を捩っているのでタイトなスキニーパンツの尻の部分が協調されていて、体をシートベルトの伸びる方向とは反対にひいているから首筋を沿うようにピンと張っている。

 隙間から覗かせる白い肌が見え、うなじがなまめかしい。

 

 片方の胸はシートに押し付けられているがもう片方の胸はシートベルトで強調されその形があらわになっている。

 無理な体制をとっているのでブラウスの形は崩れボタンとボタンの間からは白いインナーが見える。


 そのすべてがシオンの目に映っていたわけではないが、室内灯に薄く照らされた密室空間である車内では、ミサキのそんな姿がいやらしく見えてしまう。


 「取れましたっ!」


 ミサキはバッグを手につかむとそれを膝に乗せバッグを漁る。

 スマートフォンを取り出しバッグを足元に置いたミサキはスマートフォンを操作している。


 「地図アプリに入力したのでわたしがナビしちゃいますよ~」


 ミサキは助手席で道の案内役をやってみたかったのか「ふっふっふっ」と楽しそうにスマートフォンを見ている。


 シオンにいやらしい目…女性として見られていた事には気が付いていない。

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