カクヨムコン9参加作
【短編】化け物魔道士様と斑の猫
化け物魔道士様と斑の私の裏話
さて、カクヨムコン9短編部門1作目のこちら、『化け物魔道士と斑の私』についてつらつらと語らせていただきます。
エッセイやらノートやらでさんざん書きましたけども、こちらはですね、『世界を変える運命の恋コンテスト』に出したくて書き始めたお話です。宇部さんはたまにこの手の『大人向けの童話』的世界観の異世界ファンタジー(と思ってるやつ)を書きたくなるのです。
ちなみにこれ系の他の作品は
『テナ&プーヴァと厄介な客人(長編)』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883420258
『魔女とかつて捨てられた子(短編)』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885219866
こんな感じです。
宇部作品は現在公開しているのが151(連載中含む)あるんですけど、そう考えるとこの手のやつはかなり少ないわけです。好きなんですけどね、書けるかどうかはまた別なんでしょうね。
というわけでこちらの作品、最初のタイトルは『ゲテモノ好きのトーマス様は』でした。
当初考えていたのは、とにかくゲテモノ好きの魔道士様が、その世界ではゲテモノ……とまではいかないまでもとにかく『汚い』とか『みすぼらしい』とか、そんな感じで蔑まれている種族の少女をそれはそれは大切にしている、という話にしよう、というものでした。
最初にパッと浮かんだのは、枯れ枝みたいにガリガリヒョロヒョロの身体にヤギとかそれ系の動物の頭骨が乗っかった感じの魔道士でした。完全にアレですね、『魔法使いの嫁』のエリアスに引っ張られましたね。とにかくああいうビジュアルが凄く好きなので、自キャラにもぜひ欲しいなと思ったわけです。
とにかく魔道士が決まりましたので、お次はお供というか、相棒というか、パートナー的な少女です。これがその、『汚い』とか『みすぼらしい』とか、そんな感じで蔑まれている種族の少女です。汚いとかみすぼらしいって何だろうと考えた結果、使い古したモップが浮かんだので、『モップ猫』というのを作ることにしました。
この『モップ猫』、体毛の柄によって二種類に分けられまして、どこもかしこも真っ白な『純白種』と、斑模様の『斑種』があるわけですが、字数の関係でごそっとカットしたのが、人間側の彼らの呼び方です。
純白種は『未使用』とか『新品』、そして斑種は『使用済』あるいは『廃棄寸前』と呼ばれているわけです。純白のモップ猫はそれはそれは美しいんですけど、これが斑になるともう、いきなり差別の対象になるという。またとんでもねぇ話を書くつもりだったな私はよぉ。
だけど、ゲテモノ好きのトーマス様は酷い斑模様のルラベルをいたく気に入って助手にしちゃうんですね。もう好き好き大好き。だけど、彼らが住む国はとにかく見た目重視、外見至上主義なものですから、二人は厄介者です。トーマス様は世界一の力を持つ魔道士なのに、見た目もグロいわ、お供も何かみすぼらしいわで、王様はカンカンなわけです。
けれども、実はトーマス様はもともとはそれはそれはもうイケメンなのです。イケメンなんて陳腐な言葉で片付けられないほどのイケメンだったわけです。だけど中身はゲテモノ好きの変人という設定で、みすぼらしい斑種のモップ猫をウキウキで連れて歩いていたら王様が汚いから捨てろとか言うものですから、それにブチ切れて自分に呪いをかけちゃう、っていう。
もうね、その時の私に解呪ブームが来てたものですから。
もうとにかく呪いで酷い姿にしちゃいたくて。むしろ個人的には解呪しないでも良いんですけど、異形の方が好きだし。だけど、真実の愛がどうたらこうたらして、愛する人からのキスで元のイケメンに――っていうのが、やっぱり良いわけじゃないですか。
なので、『イケメン→呪い→異形→キス→イケメン』という流れにすることにしたわけです。
本当はもう少しコメディ色が強かったんですけど、どうにか10000字に収めようと思ったら、コメディ部分を削るしかなくてですね、それであんな仕上がりになりました。
トーマス様の本名がそこそこ長いのもですね、そのコメディ部分でちょっと遊ぼうと思ってそうしたんですけど、結局削っちゃったからね。意味ねぇ。
それで、斑種のモップ猫、トーマス様のカワイコちゃんであるルラベルですよ。この子の名前は『美女と野獣』のヒロイン、ベルから取ってます。原作の方では『ラ・ベル』らしくて、それで『ルラベル』にしました。だってカワイコちゃんだし。彼女はもともと純白種なのですが、たまたまトーマス様と会った時はドロッドロに汚れておりまして、その姿を気に入られたと思って、一生懸命わざと汚く染めていたという。
純白種は斑種同時の交配からしか生まれない突然変異と言う設定なので、スラムで生まれます。なので、生まれた時は真っ白でも生活しているうちに毛皮はどんどん汚れていくわけです。ただ、それによって斑種になるかというと、当然そんなことはありません。きれいに洗えば真っ白! 驚きの白さになるわけです。
人間に見つかると捕まって王城に売り飛ばされるので、スラムの奥でひっそりと身体を汚しながら暮らすという。
モップ猫は基本的に人間を憎んで暮らしていますので、スラムに人間が足を踏み入れることはないんですけども、トーマス様は別です。彼は人(人じゃないけど)を見た目で判断しないからです。手土産片手にふらっと立ち寄っては、お召し物をドロドロに汚して(もともと汚いけど)子ども達と一緒に遊んだりするわけです。
っていうのとかも全部書きたかったんですが、10000字じゃ無理よ。いつかいじくって中編か長編にしたいですね。
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