第26話 公爵令嬢はアウロの森から旅立つ

『いらっしゃい、フィリアちゃん。』


ダミアさんが迎えてくれた。


ダミアさんの奥にペンダントよりだいぶ老けたお父様がいる。


『フィリスティア…すまない…すまない。』


ボロボロ泣いてるお父様…キャラ違いすぎない?仕事ばかりでほとんど話さなかったけれど、いつも無口で無関心な姿しか思い出さない。


どうしたらいいのか。キッドさんを見上げてしまう。とりあえずフードを外す。髪は染めてしまったので、当分は緑のまま。デビュータントの頃には金髪に戻っているだろう。


『リトラーゼ公爵。』

『ライトキッド殿。連れてきてくれてありがとう。フィリスティア、すまない。私がフィリスティアを置いて王都に行ったばかりにあんな人間が入りこんだ。』

「後妻ではなかったのですか?」

『もちろんだ。私が愛したのは、お前の母だけだ。あんな親子みたこともない。家令が嘘をついていた。』

「私は、今さら貴族令嬢には戻れないと思います。キッドさんに色々聞いてますよね。」

『ああ、それでいい。帰ってきてくれればそれでいい。フィリスティア、抱きしめてもいいだろうか?』

「はい。お父様。」


物語がどうなるかわからないけれど、寂しくてワガママな公爵令嬢にはならない。


大好きなアウロの森。物語から逃げ出した悪役令嬢の私、フリィアとシャインスパイダーのシャスとファイアハムスターのファハの3人での暮らしが終わる。


私は、私らしく。


_______________幼少期編 完


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