第24話 キッドさんの正体と逃げた後の公爵家
『あの移動は??』
『あれがここを説明できない理由だよ。』
『あんな移動もできるのですね。うまくつかえば、荷運びが楽になりそうですね。』
みんなを迎える準備をする。アイテムボックスからブルーバードの羽で作った人をダメにするクッションを人数分炬燵のまわりに置く。
あ、ハシゴ出さなきゃ。
「登れますか〜?」
『大丈夫。』『…』
1人、返事がないけどいいかな〜
『しっかり家なんだな。』
「そうですよ~快適です。」
『このクッション、いいわ~』
「ブルーグースの羽です。人をダメにするクッションが作りたかったんです。」
『ブルーグース…高級素材にシャインスパイダーの布で作ったわね。あ、私の用事先にいいかしら?さあ、コレよ。着てきて。』
キグルミパーカー!楽しみ。ふわふわだね。クマにしよう。
『きゃあ、可愛いわ。素敵よ~』
『似合ってる。』
『似合ってますよ~このツリーハウス、色々特許とって欲しいものはたくさんありますが、キッドさん。話を先にしましょう。』
本題とは?やっぱりあの視線は逃げて正解だったのかな。
『まずちゃんと名乗ろう。ライトキッド・グリードだ。グリード候爵家の三男だ。こっちは、従者のレオン。』
所作がキレイだから貴族だと思っていたけど、候爵家かぁ。物語にはいなかったよね…
私のこともバレているんだよね…仕方ない。ちゃんと名乗ろう。
「フィリアことフィリスティア・リトラーゼです。」
『やはりか…その瞳でもっと早く気がつけばよかった。』
「瞳ですか??」
『ああ、その瞳はリトラーゼ公爵家を継ぐもの。』
「しっかり隠さないといけなかったんですね。髪色だけでなんとかなると思っていました。」
『今回、リトラーゼ公爵から冒険者ギルドに依頼があった。行方不明だった娘の手掛かりを見つけた。その森へ案内してほしいそうだ。』
「公爵が探してるのですか??」
後妻の追手ではなかったのか。あの後妻が何年も探すわけないか。なぜ公爵が探してる?王子と婚約させる為か。公爵の記憶はほとんどない。物語でもお金だけ与えて放置だった。
キッドさんは、私が逃げ出したあとの話をした。小屋の裏口は、あの庭師さんだったのか。野菜に果物、ときには干し肉まであった。あれがなければ、餓死していただろう。
『公爵に会うか?』
「選べるの?」
『冒険者は自由だ。案内しないと言えばいい。フィリアが会いたくないと言ってるとオレが伝えれば、公爵も迂闊に動けない。』
公爵が悪いわけではなかった。でも、戻れば王子の婚約者にさせられる可能性がある。
「あんなことがあって、公爵家の為に生きるつもりはないの。政略結婚もいやなの。だから逃げ出した。」
『フィリアの好きにすればいい。政略結婚か…もし、フィリアが戻って政略結婚をさせられるのが嫌なら、オレの婚約者にでもなるか?好きな人が出来れば破棄すればいい。』
「キッドさんの婚約者?でも、キッドさんに迷惑がかかる。」
『大丈夫だ。婚約者を決めろってうるさいんだ。冒険者を辞めるつもりはないし、貴族令嬢と合わない。』
キッドさんなら大丈夫な気がする。任せてみようか。ダメならまた逃げればいい。
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