第22話 キッド視点

森から帰ってきて、ケビンのところで戦利品を出す。


『疾風に伝言が3件あります。』

「伝言??」

『はい。3件ともフィリアさん絡みなのです。すみませんが、2階へきてもらえませんか?』


伝言?フィリア絡みとはどういうことだ?2階ということはギルドマスターの部屋なのか?


「かまわないが」

『では、こちらです。』


『ギルドマスター、例の件で疾風がいらっしゃいました。』

『入れ。』


『キッド、レオン。帰ってきたところすまないな。』

「いえ、大丈夫ですが、フィリアの件とはどういうことですか?」

『3件ある。まず問題でないほうからだ。ケビン頼む。』

『はい。フィリアさんから伝言です。依頼のハンモックなのですが、出来れば森に来たときに渡したい。』

「森?かまわないが森へ帰ったのか?」

『はい。数日前に10日間予約していた宿を途中でキャンセルして帰られました。』

「了解したが何かあったのか?」


今回は会わなかったが、まあすぐ会えるだろう。ハンモック楽しみだ。


『多分、この依頼が関係していると思われます。フィリアさんについて何か思われたことはありませんか?』

「どういうことだ?」

『所作や身なり、能力についてです。』

「貴族らしいということか?」

『やはりそう思われましたか。』

「まあ、不自然だとは思っていたが、森では警戒していたし、逃げているのではと思ったことはある。」


ケビンの話は、想像を超えていた。確かにリトラーゼ公爵の娘が行方不明で、奥方の実家と揉めたという話は有名だ。家臣の謀反、気がつかなかった公爵は責任をとって官僚を辞め、社交界にほぼでてこなくなった。

降爵の話もあったが、今までの功績と奥方が亡くなってすぐだったことも考慮され、公爵のままだ。

まさか、フィリアがその行方不明の令嬢だとは思わなかった。確かに言われてみれば、緑の瞳はリトラーゼ公爵家だ。


『リトラーゼ公爵がギルドにいらっしゃって、お前たちと話がしたいそうだ。出来ればフィリアさんのところへ案内してほしいそうです。』

「それは…」


フィリアは会いたいのだろうか?慌てて森へ帰ったのなら、会いたくないのではないのか。いなくなったときの経緯も詳しく聞いた。公爵に同情する気持ちはあるが、フィリアは公爵が味方だと思ってはないかもしれない。


「とりあえず会ってみるのはかまわないが、案内するかはわからない。」

『はい。それで大丈夫です。強制は出来ないと伝えてあります。』

「ああ、もう1件はなんだ。」

『ダミアさんと商業ギルドからです。』

「俺たちにか?」

『はい。商業ギルドのセイルがハンモックの件で護衛のダミアさんと森へ案内してほしいそうです。こちらは、フィリアさんが森の位置が説明できなかったそうで、疾風のお2人が場所がわかると伝えていたようです。』

「ああ、確かにあの移動では説明は難しいな。まあ、いいだろう。商業ギルドへ向かってから、公爵のもとへ行く。公爵を案内するかフィリアに確認をしないと案内するつもりはない。経緯を聞いて、フィリアが構わなければ、ギルドに連れてこよう。森は知られなくないかもしれないしな。」

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