第10話 初めての宿

冒険者ギルドで登録が終わったので、隣の宿に宿泊予約をしに行く。


G、Hランクは、一日10銅貨らしい。Hランクからランクを上げるには、5回依頼をこなさないといけない。常時依頼の薬草採取や街中の雑用。


シルバーウルフの討伐は、冒険者になる前で祖父と討伐ということで、今回ポイントには入らなかった。シルバーウルフは、CランクでHランク冒険者が討伐できる魔物ではなかったらしい。


他にクマやトラ、イノシシっぽいものも持ってるけど、今のレベルで出すと目立つ。アイテムボックスは、時間停止で無制限に収納ができるから、当分はしまっておこう。


「先ほどギルドで初心者登録をしたのですが、10日分宿の予約をお願いします。」

『10日で銀貨1枚になりますが、大丈夫ですか?』

「はい。」


10日もあれば、ランクアップと買い物もできるだろう。部屋へ行き、リュックを下ろす。リュックの中の銅貨をウエストポーチへ移動する。

リュックはウエストポーチにしまい、シャスの糸で作ったエコバッグを出す。


久しぶりにたくさんの人と会い、疲れたので、マジックバッグからサンドウィッチをだして食べる。汗も流したいが宿に風呂はない。タオルを水魔法で適温に濡らし、身体を拭く。


公爵家の倉庫から持ってきた中にマジックバッグがあった。中身は本と魔道具。

錬金術の本や魔法の本もあり、なんで倉庫にあったのか不思議だ。


ハンモックに揺られながら、たくさんの本を読んだ。水魔法は、温度を変えれるようになったし、身体を洗うアクアウォッシュから圧力で切るウォーターカッター。風魔法は、ドライヤー、圧縮して空気を飛ばすエアーコンプレッサー、圧縮した空気を細くしたエアーカッター。

あの倉庫から見つけた日本語で書かれていた魔法たち。


逃げ出した私を勇気づけてくれたもの。

シャスやファハと逃げたけど、よくいう強制力が働いたらどうしようと夜中に何度も起きた。この本を抱きしめ、泣きながら寝た。


もっと離れたほうがいいのか、国外に出たほうがいいのか、5歳の子供ではどうしようもなかった。


もう冒険者のフィリアだ。フリィスティアじゃない。作ったギルドカードにミサンガをつけて願いを込める。シャスとファハとアウロの森でスローライフをするんだ。シャスの糸だから切れることはないのだけれど願掛けして。

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