第9話 ギルド受付嬢ケリー視点
フードを深くかぶった子供が冒険者登録にきた。10歳から登録ができるから珍しくはないのだけど、身なりのよい子供が1人でくることはない。
仕立ての良さそうなフードに少し変わったズボン。大きなリュックを背負い受付にきた。髪色も瞳も緑。珍しいな。そういえば、隣の領地で行方不明の公爵令嬢の瞳も緑だったな。髪色は金髪だったそう。別荘で療養中の公爵夫人が亡くなり、公爵が王都での仕事が忙しく、信頼のできるメイドたちに娘を任せていたはずが、家令の謀反により虐げられ、行方不明になったらしい。
確か5歳で行方不明になったから、生きていれば10歳。この子供と同じくらいだ。
登録に必要なことを確認していたら、アウロの森で暮らしてたらしい。アウロの森は浅いところは比較的安全だが、奥は強力な魔物がいる。服装は男の子のようだか、名前がフィリア、女の子だろう。安全の為に男装する子供も珍しくはない。
『出身?アウロの森?それと従魔はどこかしら。』
「はい。森で祖父と暮らしてましたが、祖父が亡くなったので街へでてきました。従魔はシャインスパイダーのシャスとファイアハムスターのファハです。従魔登録もお願いします。」
ポケットからシャインスパイダーとファイアハムスターが出てきた。どちらも珍しい魔物だ。この子供の祖父はある程度の実力者だったのだろう。10歳にしてはきちんと受け答えができるし、教育もされているのだろう。
『従魔登録ね。隣のカウンターに後で行ってね。少し踏み込んだ話になるけど、どこで住むのかしら。冒険者は10歳になるから登録はできるけど、孤児院を紹介しましょうか??』
「1人で宿には泊まれませんか?売る物を売れば、森の家に帰ります。」
『泊まるのは大丈夫よ。ギルドの隣が初心者用の宿で格安に泊まれるわ。』
森に帰るの???従魔がいるとはいえ、あまり強そうではなさそう。とりあえずギルドの宿を勧めた。Hランクは1泊10銅貨で泊まれる。薬草採取とかだと知識がなければ1日30銅貨くらいしか稼げない。
買い取りでシルバーウルフの皮、牙、魔石を出してる。シルバーウルフは単体ではCランクだが、群れで襲ってくるので、ベテラン冒険者でも討伐に苦戦することもある。
キレイに解体もされてるし、傷もほとんどない。
シャインスパイダーの糸の買い取りも話してる。シャインスパイダーの糸はとても人気があり、回収依頼が常時でている。
買い取り担当は、商業ギルドを勧めてる。もったいないが、従魔で定期的に納品できるなら、商業ギルドがいいわよね。
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