第6話 リトラーぜ公爵視点/キッド視点

あれから5年たった。フリィスティアは見つからない。


王子との婚約はなかったことになった。私は官僚の仕事を辞め、領地へ戻った。時間を作っては、別荘地へ探しにいくが見つからない。


あの屋敷で閉じ込められていた使用人たちは体が回復したのち、公爵家を離れていった。フリィスティアを守れなかったことを謝罪しながら、辞めていった。


居座っていた使用人たちを調べ、横領したものを取り返した。別荘だからあまり置いてなかったが、所在不明なものがかなりある。


居座っていた使用人は、魔道具の知識がなかったらしく、使えなかった魔道具は壊れたと思い、まとめて処分するため倉庫に入れたと言ってるが、倉庫にそんな魔道具はない。

使用人を厳しく問い詰めたが、嘘は言ってない。フリィスティアのいつもつけてるロケットペンダントも見つからない。


ペンダントはともかく、5歳のフリィスティアに魔道具たちを持っていくことは不可能だろう。倉庫は鍵もかかっていなかったから、誰かが持っていったのか…魔道具には公爵家の家紋があるので転売はできないはずだ。


味方は回りに誰もいなく、5歳のフリィスティアだけでは遠くまでいけないだろう。


どこにいるんだ。フリィスティア。



(キッド視点)


最近、アウロの森でいつもの湖へ行くと視線を感じる。視線の主は、あの子供だ。


あれから2年が経った。

最初は警戒していたようだが、最近は俺たちがいても気にならなくなったのか、どこからか移動してきて、あの網のようなもので寝ることもある。


アウロの森の奥から来ることもあるから、そっちにも拠点があるのかもしれない。


『レオン、最近視線感じるよな。』

『キッド、お前もか。どうする。話しかけるか?』

『話しかけたら逃げそうな雰囲気は、まだあるよな。』


この湖の空気は気にいってる。危険なアウロの森の水場なのに魔物を見ない。


魔物避けの結界があるのだろう。

結界を張ったのは、あの子供だろう。

子供が高価な結界の魔道具をなぜ持って居る。アウロの森の奥から来るから、そっちで誰かと暮らしているのかもしれない。

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