第2話 リトラーゼ公爵視点
「これはどうなっているのだ!」
リトラーゼ公爵が家令に問いかけた。
妻を亡くし、絶望のなかひたすら仕事をしてきた。かわいい一人娘がいるが、そばにいてあげることもできず、信頼できるメイド達に預けるしかなかった。妻が療養していた別荘へ戻り、やっと娘と暮らせると帰ってきた公爵は様変わりした別荘に愕然とした。
屋敷の中には、見知らぬ使用人ばかり。その上、派手な女と子供がいる。
「フリィスティアはどこだ。貴様らは誰だ。」
『私はここの女主人よ!フリィスティアなんて知らないわ。』
「なんだと!おい、コイツらを捕らえよ。」
真っ青になった家令は動かない。王都から来た騎士が捕らえたが、大暴れする女達は暴言を吐き続ける。
「家令!どういうことか説明しろ!」
動けなかった家令が逃げだそうとしたため捕らえる。他にも逃げだそうとした使用人も捕らえる。
『旦那様、フリィスティア様が見つかりません。フリィスティア様のお部屋は様変わりしております。』
『私の部屋にはいらないでよ。あんた、誰よ!』
「どういうことだ。家令!フリィスティアはどこだ!マーサはなにをやってる。」
『旦那様、マーサ殿を地下室で発見しました。他にも何人も地下室におります。皆、衰弱しております。』
「至急、手当をしてフリィスティアを探せ。」
フリィスティアがいない。一体いつからこんなことに。どうしてなのだ。
『旦那様、家令が白状しました。女が旦那様の愛人であると半年前にやってきて、公爵家の奥様の指輪をもっている。日々、横暴になっていくが、言うことを聞かなければお嬢様やマーサを殺す、逃げても無駄だと。』
「それを信じろとでも言うのか。拷問しても構わない。真実を語らせろ。そこの女や使用人たちもだ。」
ありえない…ありえなすぎる。フリィスティア…どこにいるんだ。
でてきた証言は、酷いものだった。マーサたちが捕らえられ、使用人が入れ替えられ、フリィスティアは小屋に押し込められた。一日一回食料が運ばれていたらしいが、2ヶ月程前からいなくなった。メイドは話すと面倒に巻き込まれるので、誰にも話さなかった。
拷問の結果、仕組んだのは、家令とその女。
領地ならこんなことにはならなかったのに療養に来ていた別荘だったため、こんな暴挙を許してしまった。
「フリィスティアを探せ。探すんだ!」
手掛かりがみつからない…妻の実家にもいない。何をやっているのかと、義弟にも責められる。
みつからないまま、時間だけが過ぎていく。
あの子が幸せになるように、王子と婚約できるようにやっと迎えにこれたのに。
あの子がいない…
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