Track09 猫はキスが挨拶なのにゃあ

#就寝前


SE 主人公が旅館の廊下を歩く音

SE ヒロインが旅館の廊下を歩く音


「ご飯おいしかったですね。それに、お風呂も家のより大きかったです」


SE 客室の引き戸を開ける音


「もう布団が敷かれています。家だとベッドなので敷布団なんて初めてです」


SE ヒロインが小走りする音

SE 敷布団にバタッと倒れる音


「知らない天井……それにすごく高いです。なんだか変な感じですね」


SE 引き戸を閉める音

SE 主人公が歩く音

SE ヒロインがうつ伏せになる音


#ヒロインがうつ伏せになり主人公を見上げる


「今日出会った猫ちゃんたちは、この目線で私たちを見ていたんですよね。頑張って見上げないと顔が見えません。……人と猫ではこんなにも身長差があるんですね。人間を見て逃げていく子の気持ちがわかった気がします」


「そういえば、今日会った猫ちゃんたちが匂いを嗅いできましたが、あれは猫の挨拶なんですよ。鼻キスって言うみたいです。今日だけで猫ちゃんからキス、いっぱいされちゃいましたね。キスとは言っても指と鼻でですが……あっ、そうだ」


SE ヒロインが起き上がる音

SE ヒロインが移動する音

SE カバンを漁る音


「えっと、確かここに入っていたはず……あった! これでよし」


#ヒロインが猫耳カチューシャを頭につける


「えへへ、猫耳カチューシャをつけたので今の私は猫ですにゃ。だからその……私にも挨拶、してほしいにゃあ」


#主人公が「こんばんは」と挨拶する


「あ、はい。こんばんは……って、そうじゃなくて猫の挨拶です。猫はキスが挨拶なのにゃあ」


#ヒロインが目を閉じる

#主人公がヒロインの鼻に指をあてる


「んっ……もうっ。してほしいのは鼻キスじゃないのに。たしかに今日、猫ちゃんたちにしたのは鼻キスだけですけど。それに、今の私は猫って言いましたけど……そうなんですけど、そうじゃなくて……」


#ヒロインが小声で


「……キス、してほしかったのに」

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