Track07 これが私の猫パンチです

#猫だまりにて


SE 猫たちの鳴き声


「猫島の猫ちゃんは人懐っこい子が多いですね。たまに通学路で首輪のついた猫ちゃんを見かけますが、近づくとすぐに逃げちゃうんです」


「こうやって……」


#ヒロインが猫の両脇を抱えるように抱っこする


「うんしょ、っと。抱っこなんて絶対にさせてくれません。……逃げられるかと思いましたが全然嫌がらないですね」


#ヒロインが抱っこしている猫の顔を覗き込んで囁く


「君は本当に野良猫なのかにゃ? 飼い猫よりも警戒心が薄いんじゃにゃい?」


「せっかくなので肉球を触ってみますか? 猫の肉球ってぷにぷになんですよね。ほらほら、私が抱っこしているので先に触ってみていいですよ? 握手しようにゃー」


#ヒロインが抱っこしている猫の前足を主人公が触ろうとする


「どうですか? ……って、わわっ!」


SE 猫が嫌がって「ウニャア!」と鳴く


#ヒロインが抱っこしていた猫が暴れて逃げていく


「あ、ちょっと待って! うにゃあ! ……猫パンチをして逃げていっちゃいました。私も肉球、触ってみたかったなぁ。猫を飼っている友達がいないので、猫の肉球って触ったことがないんです」


「ペットショップに行けば触らせてもらえるかもしれませんが、飼うつもりがないのに触らせてもらうのは申し訳なくて。その……私の家はペットが飼えないマンションなので……」


「それで、肉球はどんな感触でしたか? ぷにぷにでしたか?」


#主人公は触れなかったようだ


「触れませんでしたか。すみません、私がしっかりと抱っこをしておけば……。でも、肉球を触られるのが嫌だったようなので、これでよかったのかもしれませんね」


「うーん、さっきの子が嫌がるのなら他の子も嫌がりそうですね。……あっ、そうだ! 少しだけ目を閉じていてください」


#主人公が目を閉じる


「目、ちゃんと閉じましたか? 絶対に開けちゃだめですよ? 右手を失礼しますね」


#右手からぷにぷにとした感触を感じる


「ど、どうですか? 肉球くらい柔らかいといいのですが。自慢じゃないですが、ぷにぷにだって友達に評判なんですよ」


「この前の体育の授業なんて、着替えている時に友達が触ってきて大変でした。くすぐったいからやめてって言っても……(全然やめてくれなくて)」


#ヒロインが話している途中で触っているのが胸だと誤解して、主人公が慌てて目を開ける


「あっ! すぐに目を開けないでください!」


#主人公が目を開けた理由を説明


「え、あうっ。む、胸なんて外で触らせたりしません! そんな恥ずかしいことっ……。触っていたのは私のほっぺた! ほっぺたですよ、ほっぺたっ!」


#ヒロインが話している途中で主人公がほっぺたをむにむにする


「うにゃあ。ほっぺらひっぱらにゃいれくらはい……ひぇんがおにもしないれ。にくきゅうをさわっれいるらけって……。これはわらしのほっぺられすよぉ」

(訳:うにゃあ。ほっぺたを引っ張らないでください、変顔にもしないで。肉球を触っているだけって。これは私のほっぺたですよ)


「もうっ、私のほっぺたで遊ばないでください! ……外でほっぺたを触られるのって、すごく恥ずかしいですね。なんだか顔が熱いです」


「私の変顔、猫ちゃんたちに見られちゃいました。他の人にも見られていないといいな」


#少し間を開けてから恥ずかしそうに


「……少しだけ、胸を借りてもいいですか?」


SE ヒロインが主人公の胸にぼふっと顔を埋める音


「ダメって言われてもしちゃいます、えいっ! 恥ずかしいので少しだけ顔を隠させてください」


#主人公が恥ずかしいからやめて欲しいと頼む


「……外で抱きつくの、恥ずかしいですか? わ、私は別に恥ずかしくないですよ? だって、ほっぺたが猫ちゃんの肉球なら、これが私の猫パンチです」


「うにゃあ!」(逃げていった猫の鳴き真似)


SE ヒロインが主人公の胸にぼふっと顔を埋める音


「えへへ、さっきの猫ちゃんの真似です。似ていますか? ……変顔にされて恥ずかしかったので、これはその仕返しですにゃ」

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