Track05 おやつは勝手にあげちゃだめですよ?

#外で歩いて猫島を散歩


SE 主人公が歩く音

SE ヒロインが歩く音


「猫島というだけあって、歩くだけで猫ちゃんをみかけますね。ほらほら、あの子なんてベンチの上で丸くなって寝ています。あれ、香箱座りって言うんですよね。ちょっと近づいてみませんか?」


SE 主人公が歩く音

SE ヒロインが歩く音


#香箱座り猫に近づく


「近づいても逃げませんね。ちょっと撫でるにゃー?」


#ヒロインが香箱座り猫を撫でる


「なでなで〜」


SE 香箱座り猫がごろごろと鳴く


「ごろごろって! ごろごろって鳴いていますよ! かわいいにゃあ。あごもごろごろ〜」


「そういえば香箱座りって言いますけど、なんで香箱なんですかね?」


#主人公が少し悩む


SE 主人公がスマホを出す音


「スマホで検索するんですか? それなら私がやりたいです」


#主人公がヒロインにスマホの画面を向ける


「おっけー、ふーぐる。香箱座り!」


#foogle「香箱座り」検索

#スマホのAI音声はヒロイン役が合成音声風に話す


スマホ「香箱座りとは、猫の座り方の一種です。箱座りとも呼ばれています。猫が背中を丸めている姿が、蓋に丸みがある香箱に似ていることからつけられました」


「なるほど、香箱という箱に似ているからなんですか……」


スマホ「英語圏では、パンの塊に似ていることからキャットローフと呼ばれています」


「パンの塊……食パンのことでしょうか? たしかに食パンに似ていますね。もちもちしていておいしそうです。外国だとパンなら、日本だと鏡餅になるのかな? この丸い背中の上に、みかんを乗せたくなりませんか?」


「背中がもちもちふわふわだにゃー。支度に時間がかかっていましたが何を持ってきたんですか?」


SE 主人公が手荷物を漁る音


#主人公が猫のおやつを取り出す


「おやつのみゃ〜るを持ってきたんですか。でもそれ、あげちゃだめですよ?」


#ヒロインが自慢気に話す


「猫島に住んでいる猫は、おやつの時間に決まったものをあげるルールなんです。猫島に来た人がみんなで好きなだけおやつをあげたら、住んでいる猫ちゃんたちが太っちゃいますからね」


#主人公が悲しむ


「そんなに悲しそうな顔をしないでください。そうだ、ここにいつでもおやつをあげてもいい子がいますよ! 私には何かおやつを持ってきていないんですか?」


#主人公はヒロインにあげるおやつを持ってきていないようだ


「……えっと……飴とかでも」


#ヒロインが小声になる


「……そうですか。私にはおやつ、持ってきていないんですね」

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