Track04 猫のふりをしてみただけです……。

#旅館たまきの客室で荷ほどき


SE 荷物をガサガサと整理する音


「あれ? なんで猫耳カチューシャなんて入っているんだろう? カナちゃんが入れたのかな? もうっ、使わないのに入れて……。うんしょ、私は終わりましたよ。荷ほどきが済んだら、さっそく猫島を散歩に行きましょう」


「そうだ。夜は冷えるので上着を着ていったほうがいいですよ」


SE ヒロインが隣に座る音


「これとかいいんじゃないですか? ここに置いておきますね」


SE ヒロインが主人公の上着を置く音

SE しましま猫の鳴き声


「あっ、さっきの猫ちゃんです。着いてきたのかな?」


SE しましま猫が歩いて鈴の音が鳴る


「お部屋の中を探検しているみたいです。ニャルソックですかね? ……あれ? 首輪になにかついています。えーっと、たまき……って書かれています。この子の名前でしょうか?」


「そういえば、この旅館の名前もたまきですよね。もしかして看板猫なのかな?」


SE 看板猫が主人公の上着をふみふみして鈴の音が鳴る


「あっ、置いていた上着の上に乗りました。……あはは、そのままふみふみして丸くなっちゃいましたね。猫はこうしてよく邪魔をするって聞きますよね、どうしてふみふみするんだろう?」


#主人公がふみふみをマーキングやストレス発散、愛情表現だと説明。


「へえ、これって愛情表現やマーキング……自分の匂いをつけるためなんですか」


#ヒロインが看板猫を抱っこする


「これはすぐに着るからちょっとごめんにゃー。抱っこってこれでいいのかな? たまきちゃん、痛くないかにゃ? ……たまきくんかな?」


「うーん、お腹にはなにもついてないから、たぶん女の子です。たまきちゃん、ここにいる間お世話になりますにゃー」


SE 看板猫が相槌を打つようにニャアと鳴く


#ヒロインが抱っこしていた看板猫を床に降ろす


SE 看板猫が離れていき鈴の音が小さくなる


「たまきちゃん、かわいいですねー」


#看板猫を見ていて主人公の手が止まっているのに気づきヒロインが拗ねる


「……ずっとたまきちゃんを見ていないで、早く支度してください」


SE 主人公が荷物を整理する音


#ヒロインが小声で


「……私の匂いもつけておこうかな、よいしょ。ふみふみしたほうが匂いつくのかな? ふみふみ……」


SE 後ろで布が擦れる音


#主人公が荷物の整理を終えて振り返るとヒロインが上着の上に座っている


「ふみふ……あっ! これはその、上着に座っているのは違うんです! 邪魔をしようとしていたわけじゃなくて。えっとえーっと、猫のふりを……してみただけです……」

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