Track03 私のすりすりはダメなんですね……。

SE 主人公が歩く音

SE ヒロインが歩く音

SE しましま猫の鈴の音


「しましまの猫ちゃん、まだついてきますね。他の猫ちゃんもみかけますが着いてくることはないです。この子が人懐っこいだけなのかな?」


SE 足元でしましま猫の鈴の音


「懐かれちゃっていますね。歩くの大変じゃないですか?」


「ふふっ。いえ、ちょっと待ってくださいね」


SE ヒロインが鞄の中を探る音


「ありました。鏡で自分の顔を見てください。すごく嬉しそうな顔をしていますよ。口では『大変だー』なんて言っているのに、おかしいです」


#ヒロインがしましま猫をじっとみつめる


「……いいなー。私もすりすり……い、いえ、なんでもないです」


#ヒロインがひとり言を誤魔化すために大きな声になる


「あっ、泊まるのってあの場所じゃないですか? えーっと、看板は……旅館たまき。ここで合っています!」


SE しましま猫が短く鳴く

SE しましま猫が離れていき鈴の音が小さくなる


「ご、ごめんなさい。私が大きい声を出したから逃げちゃったのかな……」


#ヒロインがしゅんとして小声になる


「……い、今なら猫ちゃんがいません」


SE ヒロインが主人公の腕に抱きつく音


「そ、その、私が代わりにすりすりします。足元は難しいので腕ですが。すりすり、すりすり……。ど、どうですか、嬉しいですか? すりすり、すりすり……」


「え? 歩くのが大変だから、しなくていい?」


#ヒロインが拗ねる


「そうですか。さっきの猫ちゃんはいいのに、私のすりすりはダメなんですね……」

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