第4話 ~どこへ行った?~

毎週月曜日と木曜日の昼間休み。

コンビニのおにぎりをかじりながら、スマホを開いて、掃除機君のアイコンを開く。

そして、通信で繋がった掃除機君の様子を伺う。


「充電満タンよし」


自動というボタンをそっと押すと「確認中」とでて、しばらくすると「清掃中」と表示される。

掃除機君が自動的に作成した部屋の平面図がグレーで描かれて、掃除が終わったところから白く塗りつぶされていく。

掃除機君の現在地は、画面上に動く青い点で表示され、僕の留守中に、部屋の隅から隅まで掃除してくれている様子を確認できる。

共に暮らし、けなげに働く機械にも情が沸く。


「今日もよろしく、いつもがんばってくれてありがとう」


そういってスマホを閉じ、僕は午後の始業まで、いつも仮眠をとっている。


今日、午前中に片づけようとおもっていた、上司への進捗報告資料が間に合わず、いつもの仮眠はおあずけ。


たいした量ではなかったので、始業5分間にはなんとか片付いた。


「やれやれ」

「掃除機君はいまどのあたりかな?」


スマホで確認を取ると、ベッドの下あたりで青い点が止まっている。


「おや?」

「何かにひっかかったか?」


そう思った次の瞬間、青い点が消えた。


「なんだ?、どうした?どこ行った。。。」


しばらくしても、青い点が戻らない。

でも、もう始業の時間。


行方知れずの掃除機君に気をもみながらも、またスマホを閉じて、午後一番の打ち合わせがある会議室へ急いだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る