第3話 ~気の利くヤツ~

後輩からアドバイスをもらった日の夜。

自宅のパソコンで、教えてもらったロボット掃除機を探してみた。


「あれ、もう在庫がない」

「他の探すか」


検索サイトに「ロボット掃除機 小型 安価」と打ち込んで、次々と現れる掃除機に目を通して比較する。

特に値段。


しばらく探すと、とある家電通販サイトで新型機種のモニター募集があるのを見つけた。

モニター利用が終わったら、アンケートに答えると、そのままタダでくれるらしい。


「お、いいじゃん」

「でも抽選か」

「ひとまず、応募してみるか」


あまり期待はせず、約1か月が経ったある日の夜。


「ピン、ポーン」

「はい」

「あ、宅配です」

「はい、今行きます」


「精密機械」のステッカーが貼られた段ボールが運ばれてきた。

抽選で応募したロボット掃除機がどうやら当たったようだ。


少し散らかったリビングで箱を開け、ロボット本体と付属品を取り出してみた。

マニュアル通りに、ブラシやらマットやらを取り付け、ダストボックスをセットして、電源ケーブルをコンセントに差し込み、充電台に本体をセットする。


「・・・・」


「あれ?」


マニュアルを読み返すと、本体の電源スイッチを入れないといけないらしい。


「あ、これ」


改めて充電台に本体をセットする。


「ピー、ピー、ピー」


3回音がして、WiFiのランプが点灯し、しばらくすると赤から緑に代わって、点滅し始めた。


「よし、マニュアル通り」


あとは、自分のスマホに専用アプリを入れて、本体との接続設定をすれば使えるようになる。

はずだった。

周りを見渡すと、床には脱ぎっぱなしの服、靴下、それにタオル、缶やペットボトル、コンビニ弁当の容器。


ロボット掃除機を使うには、掃除機が動けるように、部屋をそれなりに片づけておかなくてはならいことに、今、気が付いた。


「あいつは本当に気の利く奴だ」


心底、後輩の気配りには感心する。

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