第2話 ~アドバイス~

「先輩、大変だったすね」


忌引き休暇の間、僕の仕事を引き受けてくれた優しい後輩だ。


「とにかくありがとう、助かったよ」

「今は、仕事頑張るしかないっすよね」

「そうだな」


いつまでも彼に甘えるわけにもいかない。

それに、そうやって気を紛らわすしか思いつかないのだから、彼の言う通りだ。

下手な同情よりは、何倍もありがたいアドバイスである。

見た目と言葉遣いはさておき、合理的な判断ができる優秀な男である。


「そうだ、俺、いいもの使ってるんすよ」

「これ、ロボット掃除機」


といって、買った記念に撮ったという彼の掃除機の動画を見せてくれた。


「今、こうして会社いる間に、俺の部屋中掃除しといてくれるんすよ」

「薄くて小型だから、ソファーとか、ベッドとかの下ももぐっていって」

「すごいっすよね、今どきのは」


「確かに、俺には必要・・・だな・・・」


妻が生きているときに何故買ってあげられなかったのか?後悔がよぎる。


「先輩もぜひ使ってみてくださいよ」

「そうだな。考えとくよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る