第14話 エンドロール

エンドロール


みなさんは「エンドロール」というものをご存じですか?


「エンドロール」とは、映画の終わりに、キャストや、スタッフなどの名前が書かれた一覧が流れる映像の事です。

映画を見た事のある方であれば、一度は、ご覧になった事があるかと思います。


この「エンドロール」ですが、実は、海外では「エンドロール」とは言わないという事をご存じでしょうか?

海外では「エンドクレジット」などと呼ぶそうです。


映画に限らず、制作に関わった、キャストやスタッフの名前、使用された音楽の情報、関連企業などを表記(ひょうき)したものを、「クレジット」と言います。


昔の映画は、映画の最初に、キャストや、少数の主要(しゅよう)スタッフのクレジットが流れて、

映画の最後には「The End(ジ・エンド)」などの、映画の終わりを意味する文字が映(うつ)されるだけ、というものが殆(ほとん)どでした。


これが、1970年以降になると、アメリカの著作権法の関係もあって、クレジットはどんどん長くなってしまい、映画の最後に流されるようになりました。


海外では、この、クレジットが映画の最初に流れるものを「オープニングクレジット」、最後に流れるものを「エンドクレジット」と呼ぶのです。


では、なぜ日本では、これを「エンドロール」と呼ぶのでしょうか?

これには、諸説あるのですが


そもそも映写(えいしゃ)の世界には「エンドロール」という別の意味の言葉がありました。


この場合の「ロール」とは、フィルムの事です。

今の主要な映画は、デジタル映像を使用していますが、昔の映画はフィルムを使用していました。

映画のフィルムは、長さがとても長く、10分程度でも、約300メートル、2時間なら、3キロメートルを超えてしまいます。


これ程長いフィルムは、取り扱いに困るので、約10分くらいで小分けにして、順番に映写していくのです。

この小分けにしたフィルムの、一つ一つを、ロールと呼び、一番最後に映写されるロールを「エンドロール」と呼んでいました。


また、それとは別に、スタッフの名前を連ねたものの事を「スタッフロール」と呼ぶのですが、

この場合の「ロール」とは、フィルムではなく、巻物(まきもの)の事。


これは、映画の中に、スタッフの名前が書かれた巻物を、順にスクロールしながら見せる映像を入れた事が、元になったと言われています。


これらの、エンドロールという別の意味の言葉や、スタッフロールという言葉から、日本独自の「エンドロール」という言葉が生まれたのではないかと言われています。



ところで

1970年以降、ハリウッド映画を中心に、クレジットが映画の最後に流れるようになりましたが、

当時のクレジットは、動かない背景に、音楽と文字が流れて、それが終わると画面が暗くなるというものでした。


しかし、クレジットが映画の最後になった事で、

エンドロールが流れ始めるのと同時に、お客さんが席を立って帰るようになってしまいました。


エンドロールは、映画製作に携(たずさ)わった人達が、名を連ねていますから、映画関係者としては、是非エンドロールは最後まで見て欲しいところ。


その苦肉の策(さく)として、1979年に公開された「チャンス」や、1981年に公開された「キャノンボール」という映画の中で、エンドロール中に、NGシーンが流されました。


それが評判となり、以降の映画で、エンドロール中に、NG集や制作風景などの秘蔵映像や、エンドロールが終わった後に、オマケのシーンを流すようになったようです。


今ではすっかり定番となった、エンドロール中の映像や、最後のオマケシーンには、そういった制作秘話(ひわ)があったのですね。



さて、話は少し変わりますが、

「エンドロール」と言えば、なにも、映画やゲームなどの、映像関係の作品ばかりではありません。


最近では、結婚式の披露宴(ひろうえん)などの最後に、映画をまねて、参加者の名前が書かれたエンドロールを流して、雰囲気を盛り上げるという演出にも、使われたりするそうですね。


やはり、誰しも、エンドロールが流れると、何かが終わるんだなぁという感覚になるんですね。


いかがでしたか

「始まりがあれば、終わりがある」と言われますが、映画だけではなく、何かが終わる時に、もしエンドロールが流れるとしたら、

そこには、何が書かれていて、あなたの胸には、どんな想いが湧き上がってくるのでしょうか?


それでは

またいつか、みなさんにお会い出来る日がある事を願っております。

ありがとうございました。


さようなら

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