第13話 ひな祭り

ひな祭り


明かりをつけましょ、ぼんぼりに。


3月のイベントといえば、ひな祭りですね。

三月三日(みっか)は、上巳(じょうし)の節句(せっく)、または、桃(もも)の節句ともいい

女子の健(すこ)やかな成長を祈る、ひな祭りを行う日です。


ちなみに、この「節句」とは、一年の節目となる日の事。

日本には、古来から、一年のうちに、幾つもの節句があったようですが、江戸時代に、幕府によって

一月七日(なのか)の人日(じんじつ)

三月三日(みっか)の上巳(じょうし)

五月五日(いつか)の端午(たんご)

七月七日(なのか)の七夕(しちせき)

九月九日(ここのか)の重陽(ちょうよう)

この5つを、五節句とし、季節の変わり目に、邪気を払い、無病息災(むびょうそくさい)を願う行事を行う祝日と定めた事に始まります。


この五節句には、それぞれ、ゆかりの花と食べ物があり、

上巳の花が、桃(もも)である事から、「桃の節句」とも呼ばれるようになりました。


でも、皆さんの中に、「どうして3月に桃の花なのだろう」と思った人はいませんか?

普通、3月初旬に桃の花は咲かないですからね。


これは、そもそも旧暦の三月三日の行事を、新暦の三月三日に行うようになってしまったからなのです。

旧暦の三月三日は、新暦でいえば4月頃になります。

こう考えれば、「桃の節句」というのも頷(うなづ)けるのではないでしょうか。



ところで、ひな祭りといえば、やはり「お雛様」ですよね。


みなさんは、ひな人形を、いつから、いつまで飾るものかをご存じですか?

知らないという方もいると思いますので、ここでご紹介いたしましょう。


まず、飾りつけをする日ですが、

これは、大きく2つに分かれるようです。

1つは、立春(りっしゅん)

立春とは、節分の次の日だけだと思われるかもしれませんが、二十四節気(にじゅうしせっき)という考え方でいう立春とは、

節分の次の日から2週間程の期間の事をいいます。

節分で、鬼を払い、福を招いた良い状態の時期に、雛を飾るという考え方ですね。


そして、もう一つは、雨水(うすい)

雨水とは、二十四節気でいう、立春の次の節気で、雪が雨に変わるという意味の時期です。

ひな祭りは、そもそも「流し雛(びな)」と言って、紙にかいた雛を川に流して厄(やく)を払う行事が始まりと言われていますので、

水に関わるこの時期が良いという考え方です。


ですが、雨水は、期間中に三月三日を含んでいるため、雨水の場合は、立春から雨水に切り替わった早めの時期を指(さ)すようですね。


特に、ひな祭りの前日の、三月二日(ふつか)に飾るのは、一夜飾り(いちやかざり)といって、

お通夜(つや)やお葬儀(そうぎ)と同じ作法として、してはいけない事だとされています。



次に、片づけをする日ですが、

みなさんも「ひな人形を早く片付けないと、お嫁に行けなくなる」と言う話は、聞いた事があると思います。


これには、幾つか理由があるようですが、主たる理由は、

片付けが出来ない『だらしなさ』を戒(いまし)める、躾(しつ)けの意味があるようですね。

しかし、これは、昭和の時代に言われ始めた事で、昔から言われている訳ではないようです。


そもそも、ひな祭りは

三月二日を、宵節句(よいぜっく)、三月三日を、本節句(ほんぜっく)、三月四日を、送り節句(おくりぜっく)という、三日間のお祭りで、

本節句が済んだ後には、厄除けを感謝し、雛にお供え物をするという習(なら)わしなのです。


また、早く片付けられない時には、「雛を後ろ向きにすれば大丈夫」と言われる地域もありますが、

これも、ひな人形は、子供の厄除(やくよ)けであり、それを裏に向けるのは、お守りを裏返しに張り付けるようなもので、

神事(しんじ)的には、あまり、褒(ほ)められた行為ではありません。


では、ひな人形は、いつ頃片づければよいのでしょうか?


これも地域によって違い、いつまで飾ってもいいとか、旧暦のひな祭り、つまり4月までとか、いろいろあるようですが、

多くは、二十四節気(にじゅうしせっき)の一つである「啓蟄(けいちつ)」です。

これは、ひな祭りが済んでから、「春分(しゅんぶん)」の日までの期間です。


ひな人形は、湿気に弱いので、この啓蟄(けいちつ)の期間の天気の良い日に、片づければよいという事のようです。



いかがでしたか

一年に一度のひな祭りですから、今年は、やはり、準備から片付け、宵節句から送り節句まで、全部楽しみたいですね。



それでは、またお会い致しましょう。

さようなら

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