第11話 お正月
お正月
「もう、いくつ寝るとお正月」と歌われるように、日本人の誰もが、待ちわびるのが、お正月ですね。
では、この「お正月」とは、そもそも、どんなものなのでしょうか?
お正月とは、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を齎(もたら)す、とされている「歳神様(としがみさま)」をお迎(むか)えし、
小正月(こしょうがつ)と言われる1月15日までの間、家の中に滞在(たいざい)して頂くというものです。
「正月事始め(しょうがつことはじめ)」と言われる12月13日から、「大晦日(おおみそか)」の12月31日までの間に、
煤払い(すすはらい)と言われる、大掃除をしたり、門松や、しめ縄などの「正月飾り」の材料を集めたり、
お正月に振舞(ふるま)う、料理の仕込みをしたりと、歳神様をもてなす為の、いろいろな準備をします。
また、この時に準備をする、正月飾りについてですが、
「門松」は、歳神様が家にやって来る為の、目印として、
「しめ縄」は、神様が来る神聖な場所のシンボルとして、
「鏡餅(かがみもち)」は、歳神様に滞在していただく為の、依り代(よりしろ)としての意味を持つと言われています。
そして、元旦になると、歳神様が降臨(こうりん)して、鏡餅に宿り、お正月が始まるのです。
ちなみに、みなさんは、元日(がんじつ)と元旦(がんたん)の違いはご存じですか?
元日とは、一年で最初の日、つまり1月1日の事ですが、元旦とは、1月1日の朝、つまり、日の出の時刻の事です。
歳神様は、夜明けと共に降臨するとされていますので、元日(がんじつ)よりも、元旦(がんたん)に降臨すると言ったほうが、より正確と言えますね。
そして、元日といえば、新年のご挨拶。
みなさんは、新年の挨拶に、どんな言葉を使いますか?
「明けましておめでとう」ですか、それとも「ハッピー・ニューイヤー」でしょうか?
日本では、同じように使われている、この2つの言葉ですが、実は、海外では、微妙に意味が違っている事をご存じですか?
「明けましておめでとう」は、皆さんも良く知っているように、日本独自の言葉で、新年が明けた後に使う言葉ですね。
しかし、「ハッピー・ニューイヤー」は、海外では、年が明ける前から使われる言葉なのです。
クリスマスカードなどに、「メリー・クリスマス & ハッピー・ニューイヤー」と書かれているのを、見た事はありませんか?
そうなんです。
海外では、「ハッピー・ニューイヤー」という言葉を「おめでとう」というよりは「良いお年を」というようなニュアンスで使う事が多いようなんです。
同じ言葉でも、国が変わると意味も変わってくるんですね。
さて、みなさん、お正月といえば、なんと言っても「お年玉」ですね。
子供にとっては、嬉しいお年玉ですが、大人になり、お年玉を渡す立場になると、「おめでたい」ばかりでは無くなってきますね。
大人を悩ます、この「お年玉」
もともとは「お金」ではなく「お餅」だった事をご存じですか?
先程、年末に飾る、鏡餅(かがみもち)が、歳神様がお正月の間に宿る依り代(よりしろ)になるという話をしましたが、
お年玉は、1月15日が過ぎ、歳神様が帰った後に、この鏡餅を割って、家の主人が家族全員に配るというものだったのです。
お年玉の語源については、歳神様の魂(たましい)を頂くという事で、「としだま」と言ったという説や
その年の最初に賜(たまわ)るものなので、「年賜(としたま)」と呼んだという説など、諸悦あるのですが、
いずれにしても、お正月になって直ぐに貰えるものではなかったようですね。
また、「餅を配る」という風習が、今のような「お金を配る」ように変わったのは、それ程、古い話ではないのです。
これは、昭和30年代の高度成長期に入ったぐらいから、都市部を中心として、徐々にお金へと変わって行き、
渡す相手も、家族全員から、子供中心へと変わっていったようですね。
ちなみに、お年玉を入れる、小さな紙の袋を「ポチ袋(ぶくろ)」と言いますが、
ポチ袋は、ご祝儀袋(しゅうぎぶくろ)よりも少ないお金を入れる袋の事で、
ポチ袋の「ポチ」とは、「ほんのわずかな」ことを意味する「これっぽっち」の「ぽっち」から来ているのです。
ですから、「お年玉は少しでいいのです」なんて言ったら、怒られてしまいそうですね。
いかがでしたか
お正月は、日本古来から伝わる古い風習ですが、時代と共に少しずつ変化しているのですね。
さて、新しい年は、みなさんにとって、どんな年になるのでしょうか。
それでは、またお会い致しましょう。
さようなら
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