第8話 冬の朝



冬の朝


冬は四季の中で、一番人気のない季節なのだそうです。

「好きな季節ランキング」では、いつも最下位。

「嫌いな季節ランキング」では、いつもダントツの1位。


これほど冬が嫌われる理由は、はやり「寒さ」でしょうか。

冷え性の方には、とかく辛い季節の冬。

特に冬の朝は寒く、冷え性でなくても、布団からなかなか出られないという人も、多いのではないでしょうか。


でも、この「なかなか布団から出られない」という現象は、

なにも「布団の中が気持ちいいから」というだけではないようなんです。


実は、これには、眠りの質が関係しているのです。


冬は太陽の日差しも弱く、日照(にっしょう)時間も短いため、セロトニンというホルモンが不足しがちになります。

このセロトニンは、気持ちを落ち着かせる作用があり、これが不足すると、気が滅入(めい)ったり、不安になったりします。

また、セロトニンが不足すると、睡眠ホルモンと言われるメラトニンという物質も分泌されにくくなり、

心地よい睡眠(すいみん)がとれなくなるそうです。


このセロトニンの不足は、人によっては、気づかないうちに

「季節性感情障害(きせつせい かんじょう しょうがい)」

になってしまう事もあるのです。

この「季節性感情障害」は、

「冬季(とうき)うつ」

ですとか、

「ウィンター・ブルー」

なんて呼ばれる事もあります。


原因はそれだけではありません。

冬はとかく運動不足になりがちですが、

この運動不足も、睡眠に必要な「適度な疲れ」が得られず、なかなか寝付けないといった症状を引き起こしてしまいます。


そして、寒い冬の夜は、部屋の温度も低くなってしまいますが、

この「部屋の温度が低い」というのも、睡眠の大敵(たいてき)なのです。

人は眠る時に、体温を少しずつ下げていきながら、眠りにつくのですが、

部屋の温度が低く、最初から体温が下がってしまっていると、体温調整がうまく行かずに、睡眠障害を起こしてしまうようです。


他にも、冬は部屋の空気が乾燥している為、喉が乾燥して寝苦しくなるというのもあるようです。


このように、冬は快適な眠りを妨(さまた)げる条件が幾つもそろっているのです。

こういった条件が、眠りの質を下げてしまい、十分な眠りが得られずに、睡眠不足のような状態になってしまうというのが

冬の朝に「なかなか布団から出られない」原因のようですね。


では、どうすれば、冬でも快適な眠りが出来るのでしょうか?

一説には、こんな対策をとる事で、質の高い眠りが出来ると言われています。


まず、睡眠の1、2時間前に、あまり熱すぎない、40度前後のお風呂にゆっくり入る。

そして、寝室の温度を20度前後、湿度は40%から60%くらいに保つのです。


これによって、お風呂で温まった体が、少しずつ冷めていき、心地よい眠気(ねむけ)を誘う事ができるようです。

いつも布団から出られないという方は、試してみるのもいいかもしれませんね。



ところで、

寒い冬の朝といえば、外に出た時に「息が白くなる」という現象がありますが、

これは、誰もが経験した事があるのではないでしょうか。


この息が白くなる現象は、息の中に含まれている水蒸気が、外の寒さで急激に冷やされて、

小さな水滴となって目に見える形になる事で、まるで息が白くなったように見えるものです。

ちなみに、息が白くなる為の気温は、だいたい13度以下と言われています。


でも、この「息が白くなる」という現象は、南極では起きないという事をご存じでしたか?


南極はとても寒く、気温は夏でもマイナス1度、冬になるとマイナス20度まで下がります。

それでも南極では、息が白くならないのです。


実は、寒い時に息が白くなる原因は、温度だけではないのです。

息が白くなるためには、エアロゾルと呼ばれる、空気中に漂う非常に小さな粒、いわゆる「汚(よご)れ」が必要なのです。

日本では、どれだけ空気が綺麗だと思うような場所でも、エアロゾルは存在するのです。


ですが、南極の空気は綺麗すぎて、このエアロゾルが殆どないのです。

ですから、南極では、寒くても息が白くならないのですね。

もし、南極で息が白くなるようになったら、地球環境にとっては注意信号かもしれませんね。


ちなみに、南極でもマイナス50度になると、吐いた息が水蒸気ではなく、氷になるために、白くなるという事です。


いかがでしたか

冬は過ごしにくい季節ですが、今年の冬は、いろんな工夫をして快適に過ごしたいですね。


それでは、またお会い致しましょう。

さようなら

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