第09話:あなたは小説を通して何を伝えたいですか?

 今回はちょっと真面目な話、そして自分語りです。私の自分語りはうざいとTwitterで言われたことがあるので、こういう話が嫌いな人はブラバ推奨です。


 さて私は小学生の頃、あと大学生の頃、本気で自殺を考えたことがありました。その時私を救ってくれたのは本でした。1冊は「レ・ミゼラブル」、もう1冊は「智恵子抄」です。私は高村光太郎がメチャクチャ好きで、尊敬する作家であり、彫刻家であり、もう好きで好きでたまらない芸術家です。なのでこれは別の機会に触れるとして、今日は「レ・ミゼラブル」の話です。


 私は、小学生の頃から変わった子供でした。なんというかな、人と合わすことはできないし、人と違うことばかりに興味を持っていました。友達はいるんですが、私を嫌う人もたくさんいました。ま、敵が多いのは今でも変わらないんですけどね。


 だから悩んだものです。自分はどうして人に嫌われるのだろう? とか、どうして私は人と同じことができないんだろう? ってね。本当にヤバかったですね、あの時。で、そんな時に出会ったのが「レ・ミゼラブル」です。


 あ、もちろん児童用に簡単にした本ですよ。内容には触れないですが、私はこの本を読んで本当に感動したものです。なんというかな、人間愛とか、人生の理不尽とか、贖罪とか、そして人間の持つ心の力とかですね。私はジャン・バルジャンの生き方を読んで自分自身がいかに甘っちょろかったかを思い知りました。そして人生は立ち向かうものだということを学びました。これが本当に大きかったのです。


 残念ながら私の人生は幸福と呼べるものではありません。でも、それでも、幸福を目指すことは諦めていませんし、今でも必死にもがいて、頑張って、前に進む足を止めたことはありません。それが「人生」だと思っているからです。「幸せになる」のが「人生の目的」ではなくて、「幸せになるために歩き続けること」が「人生の目的」だと思っているからです。


 だから私は、自分の小説に必ずこのテーマは織り込みます。私は、SFとかファンタジーとか色々書きますが、どんなに苦しくても、どんなことがあっても必ず前を向いて歩くというテーマを必ず織り込んで小説を書きます。


 それは、私が書くもので、今、前に進めなくて苦しくて悩んでいる人に、一筋でもいいから光を与えることができればと思っているからです。凍えきって、人生を諦めてしまった人の心に火を入れることができたらと思っているからです。


 ショートショートはちょっと違いますが、長編小説の場合、私はこれからもストーリーが破綻しないかぎりこのテーマを必ず織り込むと思いますし、それは一生変わることはないと思います。私は書籍化作家を目指していますが、それは「人生を諦めてしまった人の心に火を入れたい」という目的を達成するための手段にすぎないのです。だから拝金主義者の私が、効率厨の私が、効率が悪いと知っていても小説を書くのです。私は自分を救ってくれた本に対する恩返しとして、誰かの心を一人でもいいから救ってみたいと本気で考えているのです。それは私の心からの本心なのです。


 ということで、これが私が小説を通じて読者さまにお伝えしたいことでしたが、皆さまは小説を通じて伝えたいことってありますか? こだわりってありますか?

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