第03話:文章力って必要ないですよね?

 はい、今回は「文章力」についてです。って、文章力と言われても意味不明ですよね? てことで色々調べたことを無理矢理まとめてみますね。


 文章力とは、文章を書く際に持つ能力やスキル。コミュニケーションや情報伝達の重要なファクターで主に下記6点の項目があるそうです。


 ①表現力: 考えや感情を的確かつ魅力的に伝えるために適切な表現を選ぶ力

 ②論理的構成力:これはまんんまです。 話に対する論理的な構成力

 ③情報伝達力:必要な情報を正確に分かりやすく伝える力

 ④多様性:異なる視点やスタイルで読み手の背景や興味に合わせる力

 ⑤文法力:適切な日本語を使う力

 ⑥説得力:自説を読み手に説得する力


 うーん、もっともらしいですね。皆さんは、この視点で見た時に自分の文章の何が欠けているかわかります? ちなみに私は③、④、⑤がダメですね。なので④を鍛えるために女性主人公の物語を一人称や三人称で書いて練習しているんですよね。


 で、次回作は③を鍛えるためにミステリーを書くという訳です。あ、もちろん男性主人公ですよ。苦手なところは一つずつ克服していかないとだめですしね。え? ⑤はどうするって? ごめんなさい。そこは本当に苦手でして、だれか克服する手段を教えてください。


 てことで話がそれてしまいましたが、この文章力って、今、界隈で求められているんですかね? 私はちょっと懐疑的なんですよ。結論から先に言えば、今、求められているのは③だけじゃないかなって、特にKADOKAWAが求めているのは③だけじゃないかな? って思っています。ということで、いつも通り数字を基に考えていきましょう。


 ちょっと古いですが、KADOKAWAの2022年3Q(7月〜9月)の売り上げは、映像が32億4200万円、ゲームが36億1500万円、出版が63億3200万円。お!さすがKADOKAWA、出版の売り上げが多いと思うじゃないですか? 小説に勝ち目があるとおもうじゃないですか? でも、現実は違います。


 でもKADOKAWAの漫画と文庫と文芸の売り上げが分らなかったので、本の市場の2020年の売り上げのデータを使って、KADOKAWAも同じ比率だと仮定することをお許しください。えっと、本全体として2020年のコミックの売り上げは4298億円、文庫(ラノベはここのカテゴリー)は1287億円、私が勝負している文芸は790億円です。あ、余談ですが、1話の私の文で「文芸」が「ラノベ」のマーケットを奪ったかもって部分で、エビデンスがないというつっこみを受けましたので、回答すると、2019年の文庫の売り上げは1405億円で、2020年で約1割減っていますが、文芸は2019年768億円なので、2020年で約0.5割増えているんですね。だから、第一回の時に文芸がラノベのマーケットを少し食ったのかも? みたいな表現をしました。


 って、話をもどしてですね。これを見ればわかるんですが、小説なんて企業からしてみたら売り上げなんて些細なものなんですよ。それよりも「コミック」の方が売れるし儲かるんですよ。で、そこのマーケットに対して弱いKADOKAWAが考え出したのが、Comic Walkerというわけなんですよ。これ、株とかやってると決算書とか読んですぐ気がつくんですが、普通はなかなか気がつかないですよね。


 てことで、出版社はコミックに力をいれたいわけです。この仮説がただしいことなんてすぐに分かりますよ。出版業界の1位は集英社、2位は講談社なんですもの。ちなみにKADOKAWAは3位です。


 で、結局、KADOKAWAはコミックで儲けるためにはどうするか? って考えた

と思うんですね。でも「一流の漫画家」という人は、大手の漫画雑誌に抑えられているわけです。そこから引き抜くなんてなかなかできないんですよ。そして、漫画家として一流の人ってなかなかいないんですよ。そりゃそうですよね。漫画家って「絵を描く能力」と「物語を創る能力」の2つの能力を兼ね備える必要があるんですもの。そりゃ無理ですよ。大谷翔平じゃあるまいし。


 でも出版社は「金もうけ」がしやすいコミックをたくさん世に出したいわけです。そこで考えたのが分業です。絵の能力は一流だが、話を創るのが苦手な人に原作を与えることができれば「コミック」を増やせるのではないか? ってね。そして、売れたコミックからアニメ化して映像部門でも相乗効果を狙うって感じなんだと思うんですよね。


 そう、これがComic Walker賞の正体というわけです。あと、やたら投稿サイトで応募している「漫画の原作募集」というものの正体というわけです。もう、最初っから売り上げが望めない小説で勝負する気はないんですよ、今の出版社って。


 あ、もちろん異論があるのはわかります。ただ、私がこう思っているだけですし、真実はその会社しかわかりませんからね、ここの真実を追求するのは時間の無駄ですので、この仮説が正しいとして話を進めますね。


 となるとですよ? コミックで売るのが目的の小説に「文章力」が必要か? って話ですよ。特に①表現力、こんなのいらないですよ。漫画で絵で表現するんだし、心情描写も絵に落としづらいから、こんなのもいらないです。売れるコミックの原作に必要なものは「物語のアイディアとしての面白さ」と「作画の先生に伝わるレベルの最低限の表現力」なのです。要するに、原作者に求められるのは「アイディア」だけなのです。そのアイディアを基に、あとは仕上げてコミックにしておくってのが今の出版業界の考え方なのだと思います。


 おいおい、そんな原作者を軽視するなんてありえないだろう? と思うかもしれませんが、それが顕著に表れている例があって、どこの出版社か言うのは避けますが、原作コンテストで賞をとった先生の作品があるんですが、絵を描いている漫画家は「先生」と呼ぶんですが、原作者は「さん」と呼ぶんです。そして、印税も原作者の方が低いことが多いみたいなんですよね。


 私は、それはちょっとと思うんですが、この現実ってキツイですよね。漫画家の先生は「絵を描く」技術があるから、いくらでも原作者を変えて食っていくことができますが、原作者のアイディアなんて限りがありますもんね。赤川次郎みたいに無限にアイディアが浮いてくる人なんて少数派なんですよね。なんというか、厳しい世界ですよね。作家業って。

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