第02話:小説の新人賞がなくなっちゃう?

「近い将来、小説の新人賞がなくなる」


 ネットの海をさまよっていると、時々こんな論調みますよね。つまり投稿サイトが新人賞の役割を果たすから、もう投稿サイトの拾い上げでいいんじゃないか? 新人賞なんてやらなくてもいいんじゃないか? なんて論調です。


 てことで調べてみました。いやいや、そんなことはないじゃないですか。まぁ、ここで具体的な本の名前を出しちゃうとあれなので控えますが、各本屋チェーンの売り上げ見ましたがラノベは1位ではないですし、新人賞をとった文芸も強かったです。なので、これはラノベの世界の話かな? と私は思っています。


 ということで、ラノベを調べてみると確かにその通り。新人賞より拾い上げの方が売り上げが多く見えます。まぁ直近3年、しかも適当に調べたので、自信はないですが、一応事実みたいです。


 で、ラノベのマーケットでなんでこんな現象が起きるのか? ってのが不思議に思うじゃないですか? それでよく言われるのが「ラノベを大人向け」にしたから従来の「メインターゲットの中高生」が読まなくなったって話です。


 確かに、それもあると思います。だって中高生が「おっさんが異世界転生して無双」するテンプレ読みたいと思いますか? あれはリアルのおっさんが、おっさんとしての苦しみがあるから、一番輝いている青春時代に、自分の都合よく青春ができるという現実逃避をするためのテンプレだと思うんですよ。だいたい、青春真っ盛りの中高生にデスマとかサビ残とかの苦しみがわかるか! って話ですよ。だから、最近、各社はラノベの若返りとして児童文庫に力を入れているというわけなんですね。


 というのが、この世界の定説。でも、これっておかしくないですか? この話で、なんで「新人賞の小説」の売り上げが低くて、「投稿サイトの拾い上げの小説」の方が読まれるか、という説明になっていないんですよね? わりとこの論説を張っているサイトとかみましたが、こんな感じの論調が多かったです。ということで、私はこの定説?に「あえて」異論を唱えてみようと思います。


 私は「本」という媒体自体が飽きられてきていると思っています。皆さんは本を読んでいる人達ってどういうイメージありますか? きっと「頭がいい」とか「まじめ」とか、そんなイメージあるでしょ? じゃ、なんでそんなイメージが付いたんですかね。


 てことで、大手出版社に入っている学生の出身大学を調べてみましょうね。って、もうこの時点でわかる。インテリだらけなんですよ。文系の化け物ばかりです。まぁ上位10%にはいるエリートばかりなんです。そんな人たちが「選ぶ小説」は、当然上位10%にしか「刺さらない」小説なんですよ。それが本屋で溢れていれば、それを楽しんで読める人は上位10%の人っていうわけです。


 そんな人が本を読む理由って、知的好奇心を満たすためってのもあるんですよ。でも、知的好奇心を満たす手段って、今、本ですか? 違いますよね? ネットですよね。だから、本の売り上げ、文芸の本の売り上げが激減してるんですよ。この文芸本の売り上げの激減は、高学歴の人が招いたおごりの結果なんですよね。


 で、それを突き崩したのが「投稿サイト」です。投稿サイトで書かれている小説って色々なものがありますが、読まれている小説の多くは「簡単」で「わかりやすい」ものなのです。それが今まで本を読んでいない人に刺さったのです。


 つまり、本を読む人が、文芸を読むのを辞めてラノベを読み始めたというわけではなく、いままで本を読まなかった人がラノベを読むようになったのです。本全体として見ると、本を読む人は減っていますが、唯一「投稿サイト発のラノベ」の分野だけ、新規顧客、つまり、本を読む人が増えているのです!


 というのが私の仮説です。だから私の新人賞に対する結論はこんな感じになっています。


 ①今まで本を読まなかった人をターゲットにしている本(ラノベ等)は、拾い上げのカタチで出版されると売り上げがいい傾向がある


 ②従来の新人賞は、高学歴の人が決めますので、高学歴向きが強い。特に文芸はそんな傾向があります。


 ③ラノベの新人賞は、その出版社の特徴が出るので、出版社の特徴をちゃんと考えて新人賞に応募した方がいい。ラノベのレーベルを研究すると、ほんと面白いくらい傾向があります。あと、ラノベを書きたいのなら、まちがっても文芸のお堅い出版社に応募してはいけない。これはハードSFを「賢いヒロイン」に出した私が身をもって経験しています。ほんとレーベル研究大事ですw


 ③従来の文芸の新人賞は、従来のターゲット層を狙って出版するので、大丈夫。しかし、そのマーケットは縮小している。ちなみに日販営業推進室出版流通学院「出版物販売額の実態2021」掲載のグラフによれば2011年から2021年の間で半減しています。


 てことで、私の仮説が正しければ新人賞はなくなりません。そして、今までの本の形はどんどん変わっていくのだと思います。まぁ私が勝負している文芸の世界のマーケットがシュリンクしているのは悲しいことなんですが、私も最近本読んでないですからね。だから文句は言えないですw


 でも面白いと思える本って、本当に少なくなりましたよね。そこに対する考察もしてあって、仮説も立てているんですが、まぁそれはまた今度ということで。


 ということで次回は「文章力は本当に必要なのか?」について考えてみる予定です。あ、でも予定ですから本気にしちゃだめですよ。実は「本格ファンタジーw」についても言いたいことあるので、そっちを書いちゃうかもです。タブーだって知っているんですが、まぁそこらへんが私が私らしいところというところでw。では次回をお楽しみにw

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