第54話 不問にするとしよう
そう思って私は目をつぶった。
そして包丁が振り下ろされて――
「……まったく……」男性の呆れたような声が聞こえてきた。「その場にとどまれと忠告しただろう……手間をかけさせる」
「……?」私は目を開けて、その人物を確認する。「……
突然現れた
彼は汗だくで、大きく肩で息をしていた。よほどの勢いで走ってきたらしく、呼吸を乱していた。
包丁を止められた
「……黒猫先輩……邪魔しないでくださいよ。もう少しで終わったのに」
「自分を殺して終わりか?」
そう……包丁の向きがおかしかった。
寸前のところだった。服は切れていて……少し腹部から血が出ている。あと1秒でも遅ければ、その包丁は
「
なんで
「さて」
すべて……
このオンランに会議殺人事件のすべて。
「僕の忠告を聞かずに動いたことは、まぁ不問にするとしよう。わかりやすい場所にいてくれたからね」
「……わかりやすいって……」
「キミが最期の場所を選ぶなら、ここしかないだろう」
301号室。
その場所で死ねるなら嬉しいと思った。
その思考を読まれていたらしい。だから
だから間に合った。私は
役者が違う。この人には、敵わない。
「しばらくの間、僕の推理を披露させてもらおう」先輩は息を整えながら、「キミたちが巻き込んだんだ。それくらい付き合ってもらうよ」
巻き込んだ……
そうだよな。
ならこの推理は聞くしかないだろう。ここで推理を無視したら……さすがに先輩が不憫すぎる。
それに……私も気になる。謎の内容はあんまり興味無いけれど……
呼吸を整えてから、
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