第50話 主犯
卒業生を調べるのは簡単だった。そしてその名前を検索して、ある程度有名になっている人を発見。
その人の調査から始まり、地元にまだ住んでいる元在学生を片っ端から調べていく。
大抵は空振りに終わった。大学には何百人も在籍しているのだから、一発で情報に行き着くなんて思っていない。
調査開始から5日で必要な情報に行き着いたのは、とてもラッキーだったと言えるだろう。
「
そりゃ
「でも、なんか途中から
「……1年、ですか?」休学していたのだろうか。「……なんで1年も……」
「……これは噂でしかないけどな……」男性は声を落として、「妊娠してたんじゃないかって話だ」
妊娠……
約20年前……
そのとき
そして……そして……
「もしかして……相手は……」
「……これも噂でしかないが……
つまり
「
……そうだろうな。
私も
「だが……他にも変な噂があったことは知ってる」
「変な噂……?」
「
「学生……」それはもしかして……「
母親を襲った2人に復讐をしたのだろうか。それが今回の事件の動機だったのだろうか。
「1人はそんな名前だった気もするな……」
「……1人は……?」
「ああ。
「主犯、ですか?」
「……ああ……」男性はため息をついて、「
……
見て見ぬふりは罪なのだろうか。私にはわからない。ただの自己防衛のような気もする。
「ともあれ、名前は詳しく覚えてねぇよ。あくまでも噂だったし、もう20年も前のことだからな。申し訳ないが……これ以上は力になれん」
「いえ……ありがとうございました」
もうわかった。
これで必要な情報は十分だ。
私は探偵でもなんでもない。ただの……
できることは、1つしかない。
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