第8話 不可能だと思います
冤罪事件というものを聞いたことがある。
真犯人は別にいて、関係のない他の人が逮捕されてしまう。
私も……そんな状態になってしまうのだろうか。
少なくとも……警察官たちが私を疑っているのは確かだ。逮捕まで行き着くことはないと思うけれど……
心がモヤモヤしてきた。
そんなとき、私はいつも親友2人と通話をする。
「――ってことがあって……」私は自宅に警察官が来たことを説明して、「私……疑われてるんだよね……」
『疑われているというより……全体的な捜査ってだけだと思います』
「
『はい……というより、あの事件の日に学校にいた人が重点的に調査されてるみたいですね』
なるほど……私のところにだけ来たわけじゃないんだな。
考えてみれば当然か。むしろ怪しいのは、あの事件当日に学校にいた人だろう。
学校でオンライン授業を受けている人は、結構多かったと聞く。その人たちすべてに話を聞いているのだとしたら、警察も大変だな。
私のところになんて来なければ、少しは楽だろうに。
ともあれ……事件当日に学校にいなかった私のところに来るあたり……私が疑われているというのはたしかなようだ。
疑われているというのは少しばかり緊張してしまう事柄だ。もしかしたら逮捕されるかもしれないと思うと気が気じゃない。
だけれど……こうして親友2人と話していると落ち着いてくる。
せっかくなので、気になっていたことを聞いてみた。
「ニュース……というか、ワイドショーを見た?」
『オンライン会議殺人事件、ですか?』
「そう、それ」
『……オンラインで人を殺すことが、ですか?』
「うん」
『不可能だと思います……そんな事ができたら、世界が大混乱になっちゃいますよ』
そりゃそうだ。現在オンライン会議は世界で普及している。
そんなオンライン会議が殺人の道具に使えるとなれば……大混乱するのは間違いない。ヘタをすると……こうして通話しているだけで危ないかもしれないのだ。
「そういえば……」これも気になっていたことだ。「えっと……
3人でのグループ通話のはずだが、
いつもなら……
そんな
『ああ……』ようやく聞こえた
「なるほど……私のところに来た人も、なんだか喧嘩腰だったよ」
『私もですよ』
……
とはいえ
なんにせよ……やたら横暴な警察官が調査してるみたいだな。殺人の調査なのだから、それくらいの強引さが必要なのだろうか?
……早く解決すると良いな……こうやって私たちが疑われていると肩身が狭い。
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