第33話 先輩パーティーと共に


 重徳は急いで仕度を整えるとダンジョンに向かう。カウンターで大急ぎで入場手続きを済ませてからゲートの手前でヘルメットやプロテクターを身に着けて転移魔法陣に飛び込んでいく。頭の中で4階層と念じればそこに運んでくれる謎の技術は本当にありがたい。



「到着したな。さて、先輩たちは何処だろう?」


 独り言を呟きながら気配察知のスキルで周囲を探ると、30メートル離れた辺りに複数の気配がある。ほとんど動きがないところをみると、おそらくは重徳の到着を待っている先輩たちだろう。真っ直ぐに進んで角をひとつ曲がれば行き会うはず。そして予想通りに先輩たちはひと塊になってそこにいる。



「四條君、ずいぶん時間が掛かったな。ここで君を待っている間にもう魔物と5回ぐらい遭遇したんだぞ」


 転移魔法陣付近は魔物との遭遇率が低いからこの程度で済んだのだろう。もうちょっと先に進むとそれこそ5分おきのエンカウントが待ち受けている。



「お待たせしてすみませんでした。1年生の仲間を実家に連れて行ったものですから」


「ああ、そうだったのか。君の家はこのすぐ近くらしいな。そのうちにダンジョン部の溜り場になるぞ」


「広さだけは十分にあるので問題ありません。先輩方もダンジョンの帰りに寄ってみますか?」


「そのうち挨拶をさせてもらおう。さて、それでは本格的に探索を開始しようか。四條君はどうするんだ?」


「先輩方のフォーメーションの邪魔になりたくないので、最初は後方から様子見します」


「いいだろう。後ろから見て気が付いたことは意見してくれ」


 こうして重徳は先輩の後ろから付いていくような形でダンジョンの通路を進んでいく。先日初めて先輩たちと会ったのは4階層の南エリアだったが、今日は西エリアを探索するという話がまとまっている。


 周辺には魔物の気配がまだ見当たらないので、重徳は今まで気になっていた件を聞いてみることにする。



「ところで稲盛先輩、このパーティーのMBGという名称は何の略ですか?」


「なんだか当ててみろ」


 そう言われても急には思い付かない。彼の頭に浮かぶのは…


(ダンジョンに関係することかな? ひょっとしてMは魔物という意味かな?) 



「わかりました! M(魔物)B(ぶっ殺し)G(ガールズ)ですね!」


「違ーーーう! 何で君の発想はそんなに物騒なんだい? 本当に意味がわからないよ。正解はM(モテモテ)B(ベッピン)G(ガールズ)だ。ガールズしか合っていないじゃないか!」


「……」


「四條君、確認しておきたいが、なぜそこでリアクションがないのかな?」


(すいません、先輩方。けっして意図してリアクションを取らなかった訳ではありません! ドストレートに安直すぎて言葉に詰まっただけです。そうは言ってもなんだか先輩たちから立ち昇る空気が不穏なムードになっているな。ここはひとつ皆さんを持ち上げて機嫌を直してもらおう)



「そりゃあそうですよね! 先輩方は美人でモテモテですよ。もちろん彼氏とか居るんでしょうね。いや~、羨ましいなぁ~」


「「「「「……」」」」」


(あれれ? 先輩たちから立ち上る空気が一層険悪になっているように感じているのは気のせいか? これはもしかして地雷を思いっきり踏み抜いたというやつだろうか?)



「四條君、君は入部したての1年生でありながら中々の根性をしているな。ここに居るのは彼氏ができなかったり、ついこの間フラれたばかりの五人だよ」


「デスヨネー!」(棒)


「何が『デスヨネー』だ! しかも思いっきり棒読みをしているじゃないか。人の心をそこまで鋭く抉って君は満足なのか?」


(稲盛先輩が涙ぐんでいるな。きっと最近失恋したばかりなんだろう。お可愛そうに、せっかくパーティー名どおりに可愛いのにな。ここはしっかりとフォローしないと益々雰囲気が悪くなってしまうぞ)


 重徳にしては珍しく仏心を出している。これが更なる地雷を踏み抜くとも知らずに…



「大変失礼しました。先輩方は皆さんとってもきれいな人ばかりなので、てっきり決まった人が居るのかと思い込んでいました。それにしてももったいないですね。こんなきれいな人を放って置くなんて」


「そうだろう! やっぱり四條君は私たちが見込んだとおりの人物だ。寂しい女心もちゃんとわかってくれる」


(なんだ? 急に稲盛先輩が立ち直っているぞ。女心なんてそんな複雑怪奇なものは俺如きにわかって堪るか! それがわかれば俺だって歩美さんの気持ちをだな、もっとこう… いや、今はこれ以上はヤメておこう)


 重徳としては嫌な予感しかしない。そんな彼の胸中などお構いなしに、先輩たちは包囲網を徐々に狭めてくる。



「それでは四條君の厚意に甘えて私たち五人は君を都合のいい彼氏代理に任命してあげよう。本物の彼氏ができるまでは寂しい私たちを慰めるんだよ」


「先輩、さすがにそれは勘弁してください」


「あれだけ人の心を傷つけておいて拒否するつもりなのかな?」


「無理だから! 絶対に無理ですから!」


「ハハハハハ、冗談だよ。こんな話にホイホイ乗ってくる男のほうが信用できないだろう」


 盛大に息を吐き出す重徳がいる。あまりにも無体な先輩たちの言い草に一瞬どうしたものかと考えてしまっただけに、からかわれただけと気付いてなんともやるせない気持ちを抱くと同時にホッと胸を撫で下ろしている。 


(冗談で良かったよ! 稲盛先輩以外の方々が堪え切れない様子で一斉にプッと吹き出している。どうやら俺は先輩たちに遊ばれたらしい。それにしてもあそこで「はい、わかりました」なんて返事をしなくて本当によかった。ちょっと待ってくれ! 笑い声に紛れて誰か絶対に「チッ!」と舌打ちしたよな。まあ聞こえなかったことにしておこう。この先輩方を相手にして、いちいち気にしたら身が持たない)


 そういえば先日は義人が思いっ切りこの人たちのオモチャにされていたのを思い出す重徳。やっとの思いで入部してくれた後輩を彼女たちなりに可愛がっているのか… はたまたどこかの高木さんのようにからかい上手なのだろうか。


 さて重徳がひと安心したところで、第8ダンジョン部所属のパーティーMBGのメンバー紹介していこう。



 稲森真由美  リーダー、片手剣と小型の盾を使用、職業は戦乙女。明るくてさっぱりとした性格で、このパーティーと第8ダンジョン部の要となっている。レベル13


 里中ひかり  前衛担当、短槍を手にして魔物に直接攻撃を加える。職業は槍士で、あまり多くを語らないタイプ。Dクラスでレベル11


 谷口 藍   後衛でサブリーダー。魔法使いで得意魔法は氷属性と風属性。冷静に戦況を把握しながら後方から指示を出す。Cクラスでレベル11


 有栖川 芹奈  後衛担当、魔法使いで支援系の魔法を用いる。防御結界を構築したり、味方の攻撃力アップを担当。いかにも良家の出といった上品でで柔らかな雰囲気を持っている。Cクラスでレベル10


 野田 弘美  斥候、ガイド担当。短剣を所持しているものの攻撃力は低い。戦闘中は後方に下がって周囲の警戒に務めている。少々お調子者である点が玉にきず。気配察知のスキルを持っている。Eクラスでレベル9



 これが先輩たちから教えてもらった戦闘時の役割と、あとは重徳の主観が入った彼女たちの印象となっている。通路を歩く時は野口先輩が一番前で気配を探り、その後ろに稲盛先輩と里中先輩が並び、最後方を魔法使いが固める布陣らしいが、今日はその後ろに更に重徳がいる形。


 転移魔法陣から離れること7~8分もすると、魔物が頻繁に登場するゾーンに足を踏み込む。



「真由美、前方に魔物の気配! 2,3体居そうだ」


「オーケー! 弘美はすぐに退避、後方にもしっかりと注意を配って! 藍は魔法の準備を! ひかりはいつでも飛び出せるようにして!」


「オーケー」


「魔法は中央にぶち込むわよ!」


「真由美に攻撃力強化の魔法を掛ける」


「お願い」


 普段から一緒に活動しているだけあってこうした連携はしっかりと取れている。各自が自分の責任を果たすべくキビキビ動いて彼女たちが迎撃の準備を整えたその時、通路の先から現れたのは剣を手にしたゴブリンソルジャーが3体。ゴブリンは性欲が旺盛と言われている。そこに女性ばかり五人現れたとなると、欲望剥き出しの表情で襲い掛からんと迫ってくる。



「壁際に退避! 藍、魔法を撃って!」


「いくよー! アイスアロー」


 藍先輩の右手から1メートル近いツララ状に先が尖った氷の槍が生み出される。重徳は初めて目にする魔法に目を丸くしている。そんなことはお構いなしにアイスアローは中央を突進してくるゴブリンソルジャーの腹部を貫いて、この時点で3体のうちの1体が戦闘から脱落。



「ひかり、いくよ!」


 2体となった魔物に対して稲盛先輩とひかり先輩が得物を手にして切り掛かる。だがそれは一撃で決めるような剣や槍ではなくて、ゴブリンの突進を押し留めるのが目的のよう。前衛の二人が魔物を釘付けにしつつ弱らせて最後に魔法でトドメを刺すというのがこのパーティーの戦法らしい。剣と剣、剣と槍がぶつかり合う音が通路に響いて火花を散らしている。


(ふむふむ、真由美先輩やひかり先輩の技術は安全第一で魔物の剣を受け止める方向に特化しているな。レベルにも因るだろうけど女性の腕力ではゴブリンソルジャーを圧倒するのは中々困難なことだろう。だからしっかりと剣を受けてから相手の隙を作り出した上で、最後のトドメは魔法という流れになるんだな)


 重徳はMBGの戦闘パターンを熱心に見入っている。こうして複数のメンバーが協力して魔物を仕留めるというやり方を実際目にするのが初めてだけに、かなり興味を惹かれつつ戦闘行動の分析まで始める。


(芹奈先輩の支援魔法がひかり先輩にも掛けられたようだな。はっきりと見て取れる程に動きが良くなっているぞ。互角の打ち合いだったのが、勢いを増したひかり先輩が押し気味に進めているな)


 ここで魔法の準備が整った藍先輩の声…



「ひかり、退避して!」


 ひかり先輩が壁際に身を寄せると、先程と同じようにアイスアローが飛び出していく。


(見事にゴブリンソルジャーの腹を突き破っているな。これで前衛が二人に対して魔物が1体か。圧倒的にこちらが優位になったな)


 そして最後は後ろからひかり先輩の槍がゴブリンの背中に突き刺さり3体全てが討伐される。戦闘開始から3分近く経過しているか。その間剣と槍をずっと振り回していた前衛の二人は肩で息をしている。


(おそらくこのような手法で魔物を倒すのが一般的な冒険者パーティーなんだろうと思う。俺とカレンのパーティーとは手法がだいぶ違うよな。もっとも俺のやり方を最初に見た時にはカレンも呆れていたけど。ともあれ学園のメンバーとパーティーを組んだ時の参考になるのは間違いない)


 ペットボトルの水を飲んで息を整えた真由美先輩が重徳に声を掛けてくる。息は整ったもののまだ額には汗が滲んでいる様子。



「四條君、私たちの戦い方について意見はないか? 後ろから見て気が付いたことをありのままに話して欲しい」


「そうですね、安全第一の戦い方で堅実だとは思いますが、前衛の二人は連戦になるとキツくないですか?」


 この4階層では魔物が5分に1回のペースで現れてくる。つまりこうして疲れを癒すインターバルは2分しかないということになる。重徳がその点を指摘しているのは、当然稲森先輩にもわかっているよう。



「その点が私たちの一番のネックになっているんだ。したがって戦いの最中でも常にセーフティーゾーンの位置を気にしてそこに飛び込んで休む時間が必要になってくる」


(やはりそうなのか、一度の魔物との戦いであれだけ息が上がってしまうと、少なくとも10分くらい休まないと次に備えられないよな。セーフティーゾーンを上手に使うのもダンジョン攻略のひとつの方法というわけだな)


 重徳としても勉強になった思い。セーフティーゾーンを上手に利用するなど、これまでの彼のダンジョンでの戦闘時にはほとんどなかった考え方といえよう。



「前衛が1体仕留めるのに時間が掛かりすぎるのが難点なんですよね。だったら空いている人が手を貸せばいいんですよ」


「このパーティーに手を貸せる人員は居ないぞ」


「いえ、弘美先輩が余っているじゃないですか」


「戦闘力が低い弘美に短剣で加勢しろと言うのか?」


「何も短剣だけが武器ではないですよ。もっと遠距離から支援出来る武器がいいと思います。弓は狭いダンジョンでは扱いにくいし技術が必要だからスリングショットなんかどうでしょうか?」


「「「「「スリングショット?」」」」」


 先輩たちは頭に???を浮かべている。重徳はもうちょっと詳しく説明しようと話を進めていく。



「通称パチンコと呼ばれるゴムを使った簡単な投擲機ですよ。市販されている物でも威力は十分だし鉛玉も売られていますからゴブリンの注意を引くには十分なはずです。威力が高いモノになると重ねたベニヤ板を楽々貫通するらしいです」


「なるほど、弘美が魔物の注意を引いてその隙に前衛が仕留めることも可能になるのか。それはいいアイデアだな。弘美はどう思う?」


「練習してみたいわね。外に出たら早速調べてみようかしら」


 話を聞くと先輩たちも以前弘美先輩に何らかの武器を持たせるのを検討したそう。一番良いのはピストルだったが、これは法律で禁止されているので手には入らない。しかもダンジョン内の狭い通路では警察や自衛隊すらも跳弾や同士討ちの危険を考慮して使用を躊躇しているそう。その他に弓等も候補に挙がったのだが、さすがにスリングショットは子供の玩具という認識しか持っていなかったらしい。


 この他にもスリングショットのメリットはある。それは伸ばしたゴムの反発力で威力が決まるので、使用者のレベルや体力に関係なく一定のダメージを魔物に与えることが可能な点。最近では玉をセットする箇所に磁石が付いた物まであって、散弾銃のように複数の玉を飛ばせるという上級者向けまであるらしい。



「弘美先輩が牽制して足止めをすれば、そのまま魔法で仕留めるのも可能になるかもしれないですよ。それにスリングショットで上手く敵にダメージを与えられたら魔法の節約にもなるだろうし」


 重徳のアドバイスに先輩全員が感心した表情を向けている。たった1回のゴブリンとの戦闘でここまでパーティーの課題を見抜いている彼の戦いに関するセンスに脱帽状態のよう。



「四條君、他にもっと気付いたことはないか?」


「そうですね… もし前衛のお二人を突破された際には後衛がほぼ丸腰のままで魔物の前に晒されてしまいます。藍先輩は攻撃魔法に専念するので余裕はないでしょうが、芹奈先輩は補助魔法をかけた後は手持無沙汰ですよね」


「その通りだな」


「だったら芹奈先輩にも何らかの武装を用意したほうがいいです」


「えっ、でも私武器の訓練なんてほとんどしていないのよ」


「確かにアリスは近接戦闘の心得がまったくないし、これは少々時間が必要だな」


 補助魔法の使い手というのはこういう時に手詰まりになってしまうケースが多い。要はメンバーとしての遣い勝手が悪い… もうちょっとソフトな物言いをすれば、使いどころが限られているといえよう。


 ちなみに芹奈先輩は仲間から「アリス」と呼ばれているらしい。苗字が有栖川なので、おそらくそこからきているのだろう。重徳も彼女のことを「アリス先輩」と呼ぶことに決めたよう。



「アリス先輩、そんなに構えなくても大丈夫です。ちょっと工夫すればいいだけですから。え~と、少し待っててください」


 重徳は一旦パーティーメンバーから離脱。ついでに後方から接近するゴブリンたちを瞬殺しておく。こうしておけばあと5分時間を稼げる。やや離れて角を曲がって彼女たちから見えない場所でマジックバッグから取り出すのは例の雑草焼きバーナー。作動を確認すると手にしたまま先輩たちの元に戻っていく。



「こんなモノがあるんですよ」


「四條君、それは何だい? というか、どこから取り出したんだ?」


「あまり詮索しないでもらえると助かります。これはホームセンターで売っている雑草焼きバーナーです。でもこれって火炎放射器の代用になるんですよ」


 重徳は先輩たちからちょっと離れた場所でスイッチを入れてみると、ノズルの先端から勢いよく炎が吹き出していく。



「四條君はあれだけ強いのにこんなアイテムまで用意していたのか」


「稲盛先輩、戦いは事前の準備で半分決まりますから、入念に用意しておくに越したことはありません。アリス先輩、これを貸しますから今日のうちに練習してみませんか?」


「えっ、いいの? それじゃあ遠慮なく使わせてもらうわ」


 重徳から手渡された雑草焼きバーナーの操作を確認するアリス先輩がいる。手元のスイッチを押すだけで強力な炎が吹き出すので、操作自体はさほど難しくはない。ただし炎が届く範囲がそれほど広くはないので、アリス先輩がある程度魔物に接近する必要がある。この辺は実際の戦闘でタイミングを計って体で覚えるしかないだろう。



「これならすぐに実戦で使えそう。四條君って戦闘のプロフェッショナルみたいね」


 アリス先輩から最大級の賛辞を受け取る重徳。他の先輩たちからも口々に褒められてさすがにちょっと照れてしまう重徳がいる。



「さすがは戦闘の専門家だけあるな。四條君の意見を聞いて良かったよ。それでは次に魔物が出てきたらアリスにも直接戦闘に参加してもらおう」


 ということで再びMBGはゴブリンに挑んでいく。初っ端に藍先輩の氷魔法とアリス先輩のバーナーで相手にダメージを与えてから、前衛の二人が斬り込んでいく形で戦闘を進めると想像以上に手早く片付いていく。さらにこの体制に弘美先輩のスリングショットまで加わったら、攻撃的な布陣は今までよりもかなり厚くなるはず。


 こうして何度かゴブリンとの戦いを繰り返していく。インターバルも十分確保できるので連戦による疲労もそれほど問題はないよう。



「うん、中々いい感じの新しいコンビネーションが出来上がったな。まさかホームセンターで手に入る道具がここまで役立つとは思わなかったよ。色々レクチャーしてくれた四條君には感謝しかない。さて、私たちはだいぶお疲れなので、今から30分間通路に出てくる魔物は四條君に任せるからよろしく頼む」


(絶対にウソだ! このままでももう3戦くらいなら魔物と戦えそうな表情なのに稲盛先輩は俺に丸投げを決め込んでいる。要はちょっと楽をしたいんですね。仕方がないから俺が先輩方のために一肌脱ぎましょう! せっかくダンジョンに来て何もしないのももったいないですからね)


 そこからきっかり30分、重徳のワンマンショーが開催されていく。ゴブリンだろうがコボルトだろうがオークだろうが、登場してくれた魔物はバールの一振りで薙ぎ倒していく。それはまさに秒殺の連続。



「何度見ても四條君の戦いぶりは絶対にマネできないな。その恐ろしいまでの手際の良さはレベル17の恩恵なのか?」


「レベルは単にパワーアップに貢献しているだけですよ。俺の戦いのベースは全てが四條流の技術ですから」


「そうか、道場の息子は伊達ではないということだな。せっかくだからもう少し私たちの用心棒を務めてもらおうか」


「わかりました」


 こうして先輩たちの間では重徳のニックネームが用心棒君と決定する。ああ、直後に稲盛先輩が1ヶ月ぶりにレベルアップして大喜びするという出来事も起きる。せっかくなんだから他の先輩たちにしたように抱きついてくれれば良かったのに、ハイタッチだけで終わったのは重徳としてはちょっと残念だった。



   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



重徳のアドバイスと助力で見違えるように戦闘の効率がアップした先輩たち。この調子なら4階層はもとよりさらに下の階層にもいずれ挑戦できるかもしれません。さて次回は今まで秘密に包まれていたあの人物がベールを脱いで…


この続きは出来上がり次第投稿します。どうぞお楽しみに!


「面白い」「続きが早く読みたい」「重徳とカレンは本当に弟とお姉さん的な関係のままなのか?」


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