第3話 校舎裏の騒動

 四人の勇者たちの後についてやって来たのはお馴染みの校舎裏。いい加減高校に入学したらもうここへは来ないだろうと重徳は考えていたが「入学したその日にまたもや来てしまったか」というある意味デジャブーにも似た感慨が浮かんでいる。それはともかくとして、このような状況に場慣れしている重徳としてはあくまで冷静に考えを巡らせている。


(ひとまずは俺をここに連れてきた理由でも聞いてみようか。闇雲にぶん殴るのはちょっと気が引けるし)


 このようなことをツラツラ思い巡らせる余裕があるよう。



「それで、俺に何の用があるんだ?」


「決まっているだろうが! クラスにお前みたいなゴミがいるのが気に食わないんだよ!」


「お前を追い出してから、もうひとりの一般人の女を俺たちがオモチャにしてやるぜ。精々遊んでから放り出してやる」


 なるほど… と合点がいく重徳。どうやらこいつらの目的は歩美にあるよう。重徳と彼女たちがさっきちょっと喋っていたのが気に食わないのだろうか。大方「一般人のくせに生意気な」程度の話をコジらせた結果、このような行動に出ているのであろう。それよりもこの連中に屈すると歩美にに危機が迫るという状況である以上、重徳も本腰を入れなければならないと気持ちを引き締めている。だがその口から飛び出す言葉はいかにも相手を煽り立てるがごとし。



「さて、それはどうだかな? お前らみたいに揃いも揃ってアホ面を晒しているようでは、彼女が気を許すとは思えないぞ」


「女がどう思うかなんて関係ないんだよ。隙を見て人目につかない場所に連れ込んで好き勝手に扱ってやるだけだ!」


「いずれは俺たちの言いなりになるしかないんだよ!」


「たっぷりと調教してやるぜ!」


「うちのクラスで一般人の役目って、肉便器かサンドバッグくらいしかないだろう!」


「ギャハハハハ、そのとおりだな。それじゃあサンドバッグ君には今から頑張ってもらおうか」


 好き勝手言い始める腐れ勇者たち。やはりロリ長の発言は的を射ていたらしい。勇者という強い力に見合った精神とか倫理観といったものはまったく備わっていないよう。人間性がここまでゲスいとあれば、これはもう紛れもなく勇者失格だろう。ロリ長もある意味倫理観が欠如している最右翼だが、彼ははそれでも他人の意思は尊重するからまだマシ。そうでなければ今目の前に立っているこいつら以下の存在に成り下がってしまうし。



「よくわかった、それじゃあどちらがサンドバッグか今から立場をはっきりとさせようか。好きに掛かってきていいぞ」


 重徳は自然体で構えて四人の出方を伺う。臨戦態勢に入った勇者はどんなもんだろうとその動きの詳細を漏らさずに観察している。だがそこでわかったことはただ1つだった。


(何だ、こいつら全くの素人じゃないか)


 身体スペックこそ高いものの、まともな戦闘経験がない人間の構えしか取れないよう。重心がブレているし、手の位置が全然定まっていない。それはガードなのか攻撃に移行する準備なのかまことに中途半端。さぞかし手強いのだろうと色々と戦法を考えて損した気分になる重徳。これじゃあ中学時代に散々やりあったヤンキーたちのほうが喧嘩慣れしている分だけまだ歯応えを感じるというもの。



「どうしたんだ? さっさとかかって来い」


「望みどおりにギタギタにしてやるよ、オラー、死ねやー!」


 面倒になった重徳が挑発する声を上げると、その声に乗せられたひとりの勇者がコブシで顔面を殴り付けるかのように踏み込んでくる。今まで経験してきた喧嘩の相手とはその速度や勢いは段違いだが、どこを狙っているのかあからさま過ぎて避けるのは簡単。重徳はコブシが顔に迫ってくるギリギリで体を沈めて回避しながら、そのまま相手の懐に飛び込む。構えるのは肘打ちで照準は相手の肋骨。右手を鋭角に曲げてグーに握ると、パーにした左手を合わせていく。そして相手のコブシが頭上を通過した瞬間、ガラ空きの脇目掛けて左手をコブシを握った右手に強く当てていく。



「ウゲーーー!」


 ゴキリという人体の骨格を破壊した手応えと呻くような悲鳴を上げて一人目が崩れ去る。痛みと折れた肋骨が肺を圧迫する影響で満足に呼吸ができずに、見る見るその顔がチアノーゼを引き起こしている。


 肘の攻撃にも色々と種類があるが、今のはカウンターで相手の肋骨を破壊する方法。重徳の流派ではこの時右手は形に固定したままで動かさない。肘打ちの威力を出すのはグーにした右手を押し出す左手の力と相手の突進してくる勢いに任せる形。相手の突進速度が速ければ速い程威力が増すかなりエグい攻撃といえる。インパクトの瞬間に体を斜めにつつ両足でしっかり踏ん張って、腰の回転まで加えるとパーフェクト。


 地面で喚き散らしている勇者の醜態を見下ろしながら重徳は呆れている。いくら素人が相手とはいえ、こうも鮮やかに決まるとは思わなかった様子。中学時代の喧嘩慣れしている不良連中の方がもう少し何らかの抵抗してきた気がしてくる。彼らは動きが変則的だから時々予期しない方向から金属バットが飛んでくることもままあっただけに、中々油断が出来なかった記憶がある。


 さて、残りは三人。なるべく時間を掛けずに片付けたいと考える重徳は、倒れたヤツには目もくれずに、残った勇者たちの出方を伺う。



「テメー、一般人の分際で偶然とはいえ良治をやりやがったな! 俺たちは中学の時は負け知らずで一般人は教師も含めて奴隷のように扱ってやったんだぞ!」


「俺たちから見れば一般人なんて価値のない生き物だ。女だって手当たり次第に好きにヤリ捲くってやったからな! 無意味な抵抗をしながら泣き喚く声が最高なんだぜ」


「おまけに俺の父親は政府の高官だ。多少の事件は揉み消せるから被害者は全員泣き寝入りさ。この学校でも面白おかしく過ごすためにまずはお前とあの女を奴隷にしてやる。そうだ! せっかくだからどっちが先に自殺するか賭けようぜ!」


「それは面白いな! 中学の時にもやったけど、あの女たちは二人で一緒にマンションから飛び降りたから賭けが成立しなかったな」


「俺は女が先だな。弱そうだし」


「そうだな、こいつはちょっとしぶとそうだから少しは抵抗するんじゃないのか?」


「なんだよ! それじゃあ賭けが成立しないぞ!」


「賭けを面白くするためにこいつをもっとハードにイジメるってのはどうだ?」


「よし、それでいこう!」


(好き勝手言っている勇者たちだが、本当にどこに目を付けているのか問い質してやりたくなるな。俺のカウンターの肘打ちが偶然に見えているらしい。さすがにここまでレベルが低いとは思っても見なかったぞ。その口振りからすると四人とも同じ中学校の出身なのだろうか? それにしてもこいつらが在籍した中学校の周囲の生徒が気の毒になってくる。校内で勇者の肩書をかさにして横暴の限りを尽くし、教師の制止など歯牙にも掛けずに周りの生徒をイジメ捲くっていたんだろうな。勇者の名を借りた暴力団顔負けの悪逆非道な連中には制裁を食らわせるべき。自分たちが一番価値がないゴミ以下の存在なんだとこの場で身をもってわからせてやろう)


 ここにいるのはバッタモノの勇者、つまりはお受験戦争を潜り抜けてきたボンボンに相違ない。どうせ甘やかされて育ってきたせいで自分の欲求が全て押し通せると思い込んでいるのだろう。おまけに他人の気持ちとかには全く無頓着だから、言ってみれば頭から他人を見下す重徳が一番嫌いな人種というわけ。お坊ちゃんらしくこんな所にいないでママの胸の中でぬくぬくとしていればいいものを、自分からこうしてわざわざ怪我をしにくるんだから救いようがない。まあ自業自得なんだから観念するしかないだろう。


(さて、こいつらには俺自身のためだけじゃなくて歩美さんの安全を守るためにも少々きつい教育が必要だな。命までは取るつもりはないが、しばらくは病院のベッドでの生活を余儀なくされる程度のペナルティーを与えてやろう)


 短い時間の中で重徳はここまで決意を固める。



「くだらないおしゃべりは終わったのか? しょうがないから俺もその賭けに乗ってやるよ。次に死ぬのはお前たち三人のうちの誰かだ。ほら好きなタイミングでかかって来い」


「ゴミの分際でナメるなよ!」


「良治の隣の地面に這い蹲らせてやる!」


「お前を素直な奴隷にしたら次はあの女の番だぜ!」


 どうやら重徳の足元で体をピクピクさせているのは良治という名前らしい。名前とは違ってやっていることはちっとも良くない。このまま寝かせておいても仕方がないので、ここでひとつ役立ってもらおうともう1発お仕置きを食らわす。肋骨が折れた箇所に軽く蹴りを入れると、声にならない呻きを上げて足をバタつかせる。そりゃあ痛いだろう。肋骨2本は確実に折れているはずなのだから。



「どうするんだ? 早くしないとこいつが余計痛い思いをするだけだぞ」


 これは『人の痛みがわかる人間になれ』という重徳からのプレゼント。まずは痛みとはどのようなモノかを理解しないと、他人の痛みなんかわからない。この程度で過去に犯した罪が消えるとも思えないが。


 まだバタバタする元気があるみたいだからと、重徳はもう1発脇腹を蹴り付ける。この辺から彼本来の鬼畜の本性がいかんなく発揮される。蹴られは側はといえば、どうにも呆気ないく口から泡を吹き出して意識を失っている。


(痛みに耐えかねて白目を剥いて気を失ったか。まったく最近の若者は軟弱で困るぞ。この程度の怪我なんてウチの道場では毎日当たり前の光景だからな)


 重徳の心の声。その内容はちょっと聞きかじっただけでも恐ろしい。むしろ門弟の誰かが怪我をしない日の方が「何か不吉な前触れではないか」と皆がうろたえるくらいという噂もある。 



「なんて汚いヤローだ! これだから一般人のゴミってやつは救いようがないな。素直に俺たちの奴隷になっていればいいのに無駄な抵抗をするだけ苦しむんだぞ!」


「こいつは良治を人質に取っているつもりなのか? 本当に極悪非道なやつだな」


「良治の分まで死んだ方がマシなくらいにボコボコにしてやる! しつけは大切だからな」


「おいおい、どこから突っ込んでいいのかわからないぞ。どこの誰が汚いやつだって? よくもまあ自分たちがやっていることをそうやって棚に上げられるな。その甘ったれたクソガキみたいな精神構造を一度病院で診てもらうのを勧めるぞ。ぜひともお薬は多めに出してもらうのを忘れないようにするんだな」


 重徳が勇者たちを煽りに煽る。ここまで小バカにされた経験がない彼らは額に青筋を立てて怒りを露にしている。そんなところにもってきて、重徳がさらに追加で煽り散らす。



「なんだ、やっぱり勇者なんてものは所詮は口ばかりなんだな」


「殺してやる!」


(はい! バカがもうひとり釣れました)


 内心でニンマリする重徳。コブシを握り締めて彼に殴り掛かろうとするが、バカのひとつ覚えじゃないんだからもうちょっと気が効いた攻撃は出来ないのかと疑問が湧き起こる。


(ああ、バカだから仕方がないのか)


 変に納得する重徳。この性格も大概にしてほしいと考えるのは間違いだろうか?


 素人丸出しの大きなモーションで殴り掛かってくる二人目、その握り締めたコブシを伸ばした瞬間、ヒョイと右手で手首の辺りを左手で肘の手前を掴む。そのまま後ろ向きに体を翻して体重移動しながら腰を相手の懐に入りこませると、型通りの一本背負いの出来上がり。重徳に殴り掛かったつもりだったのに、いつの間にか二人目の体が宙に浮いて背中と地面がもう少しでくっつきそう。


 だがその瞬間重徳の真横からもうひとりが飛び掛ってくる。


(ちょっと待てよ! 今俺が手を離すと投げられているやつは頭から地面に突っ込んで首の骨を折るぞ。なんてタイミングが悪いやつだ! 仲間のためにあと0.5秒だけ待っててやれないのか? )


 首の骨を折られてはさすがに寝ざめが悪いと判断した結果、仕方がないから重徳は投げを打っている不十分な体勢から左足で迎え撃つ準備を開始。



「オラーー! 喰らえー!」


 またもや殴り掛かってくる三人目だが、迎え撃つ重徳は冷静な表情で見つめるだけ。


(さあここで単純な算数の問題。お前の腕と俺の脚ではどちらがより遠くまで届くでしょうか? ポクポクポク・・・チーン! 正解は俺の脚でしたー!)



「ゴワッ!」


「ゲフッ!」


 投げられて背中からきれいに地面に落ちた二人目と、腹のど真ん中に蹴りが入った三人目が同時にくぐもった声を上げて悶絶している。両者とも一人目と同様に自分が突進してきた勢いがそのまま攻撃の威力に変換されているから、口から泡を吹いて気を失っている。相手の力を利用するのは四條流が最も得意とするところ。どんなに防御力の数値が高くてもまともに食らったら一溜まりもない。


 だが不十分な体勢で片足を上げた重徳も突進してくる三人目の勢いで真横に撥ね飛ばされている。バッタモノとは言っても勇者のパワーはそれなりのモノがある。その勢いは体感的には150キロの力士の突進と同じくらいだろうか。飛ばされた重徳は勢いに逆らわずに地面をゴロゴロと転がりながら減速してスタッと立ち上がる。やはりまともにぶつかり合っては持っている体力差からいってどうしても不利なよう。



「死ねーー!」


 重徳が立ち上がった刹那、どこから取り出したのかわからない鞘付の剣を振り翳して最後のひとりが迫ってくる。


(悪い判断じゃないな、得物が手にあるなら使うのは当たり前だ。だけど知っているか? 四條流の古武術というのは矢尽き刀が折れた際に無手で武器を持つ相手と渡り合うために発達したんだぞ。剣だろうが金属バットだろうが当たらなければ意味はない。そのための体の捌きはジイさんによって骨の髄まで叩き込まれている。もういつでも無意識に体が動くくらいに)



 ヒュンと音がする勢いで大上段から剣が振り下ろされるが、重徳は体を左側に開いて皮一枚の差で避けていく。


(それにしてもこいつは剣の取り回しの基礎が全く疎かだな。振った剣はすぐに引き戻さないと隙だらけじゃないか。しかも全然腰が入っていない手振りだから、そのうち腕が上がらなくなるぞ。せっかく実戦に近い稽古が出来るからしばらくは付き合ってやるか)



「ハハハハハ! どうした、俺の剣が怖くて攻撃が出来ないのか? さっきから避けてばかりだぞ!」


 大笑いしながら表情を歪める最後のひとりは重徳が自らの鍛錬に有効活用しているとも知らずに盛んに剣を繰り出している。右からの横薙ぎ、袈裟斬り、下方向からの払い、再び袈裟斬りとずいぶん頑張ってくれているが、いずれも掠りもしないで躱されていく。


(もう剣筋は見切っているからこのままいくらでも避けていられるぞ。ほらほら、もっと頑張りましょうね)


 心の中で重徳に応援されているとも知らずに、一旦距離を取って剣を構え直す四人目。その目は重徳を捉え切れないせいで苛立った光を宿している。



「なぜだ? これだけ攻撃しているのになぜ当たらないんだ?!」


「俺が避けているからに決まっているだろう。さて、四條流に武器を向けてきたからには死ぬ覚悟があると見做していいんだよな。素手でのお遊びとは違うんだぞ」


 三人目までは重徳からすると本当に遊びの領域だった。だが武器を手にする相手となると多少本気を出さざるを得ない。その結果として死にはしないまでも相当な大怪我を負う可能性はある。



「当たりさえすれば俺が勝つんだ! 黙ってその場で俺の剣を受るんだ! 死ねーー!」


 苛立ちのせいでますます乱れた剣筋で、もはや闇雲に振り回すレベルで打ち下ろしてくる。こうなるとチェックメートまであと一歩。無駄な力が入っているから勢いがあるようには見えるが、重徳からしたら大振りで避けやすい。


 重徳が余裕のある動きで躱していると、次第に相手の剣が下がってくる。


(だから言わんこっちゃない! 腕の力だけで重たい剣を振るから限界が来ているんだよ。その証拠に剣先が盛大にブレ始めているぞ。しっかりと握れなくなっているから、まるでプルプル震えているようだな。さて、そろそろ遊びは終わりにしてやろうか)


 またもや左からの袈裟斬りが飛んでくるが、だいぶ剣速が鈍っている。重徳はサッと左側に躱してから相手が剣を持つ手首に自分の右腕を上から力を込めて重ねる。こうして力を加えると、持っている剣は簡単には持ち上がらなくなる。戦闘が開始された序盤ならまだしも、疲れて腕に力が入らない状態でこれをやられるのは剣士にとっては非常に困るはず。



「このゴミが! 離せ! その手を離しやがれ!」


「うるさい口だな、黙れよ!」

 

 重徳は空いている左手を軽く握って相手の鼻先に向かって裏拳を放つ。この時に手を軽く握るのがコツ。ギュッと握るよりも手首をムチのようにしならせた方が威力が増す。



「ウゴボー!」


 本日2度めのゴキッという手応えが重徳の手に伝わる。当然鼻骨が折れている。大量の鼻血を撒き散らしながら四人目が蹲っており、剣は手放してしまってカランという音を立てて地面に転がっている。最後はおまけで鼻を押さえている両手の隙間から顎にひと蹴り加えたらお仕舞。またもやゴキリという音を立てつつ、四人目は後方に引っくり返って白目を剥いている。たぶん顎の骨も逝っているだろう。しばらくは流動食の生活が続くが、どうか頑張ってもらいたい。



「一般人に負ける勇者か」


 そう言い残して重徳はその場を去っていく。これだけ痛い目に遭わせておけば、もう二度とくだらないチョッカイを掛けてはこないはず。それよりも歩美が安全に学校生活を送れるのは何より… このような考えを抱きつつ、重徳がリュックを取りに教室に戻っていくと…



 ポツンと1人でロリ長が待っている。



「四條、心配はしなかったけど結構時間が掛かったな」


「まさか待っているとは思わなかったぞ。時間が掛かったのは最後に剣を持った相手と実戦訓練をしたせいだ」


(こいつは中々いいやつじゃないか! さっき下方修正した評価を『義理堅い変態セクハラ勇者』に改めてやろうか)


 重徳が本日二度目のロリ長の評価を上方修正。上がったり下がったり実に忙しい。



「剣を持つ相手と実戦訓練? それは何の話だい?」


 重徳が掻い摘んで四人とのバトルの様子を報告するとロリ長は呆れた様子で彼の顔をまじまじと見ている。


(俺の顔に何か付いているんだろうか? そんなに男に見つめられても嬉しくもなんともないぞ! いや、むしろウザいくらいだ)


 重徳の率直な感想。彼は男子に対して恩義や友情は感じるが、間違っても愛情は持ちえないタイプの人間。



「ということは四條はあいつらを利用して自分の訓練をして来たのかい? バッタモノとは言っても勇者四人を相手にして?」


「まあそうだな。中学の時に金属バットを持った不良相手に腕を磨いた経験が生かせたな」


 あっけらかんと話す重徳に対してロリ長はますます呆れ顔をしている。


(何でだろうな? せっかくのいい実戦訓練の機会なのに)



「まあいいか、それよりも僕の目が正しいことが証明された訳だし」


「信長の目が正しい… 何の話だ?」


「ほら、四條はこのクラスで5本の指に入る実力者だっていう話だよ」


「ああ、その話か。そうだな、俺も実際に相手をしてみて勇者というのは意外と大したことないと感じている」


「だから言っただろう。彼らは所詮はバッタモノだよ。勇者の資格を持つこと自体が目的だから、目的を達成したらそのあとは真面目に訓練なんかしないんだ」


(ああ、そういう訳なんだ。学校に入学するのが目的になって、入学してから何をするのか全く考えていないんだな。そんな連中が大半を占めているこのクラスは色々と前途多難だな。せっかく女の子と知り合いになったのは良かったけど、果たしてクラスの中で俺は上手くやっていけるんだろうか?)


 そんな不安を抱えながら入学初日を終えて帰宅する重徳だった。



  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



入学初日から派手に暴れた重徳。おまけに勇者4名をノックアウトしているのだから、このまま無事に済むとは思えず… この続きは出来上がり次第投稿いたします。どうぞお楽しみに!


 それから読者の皆様にお願いです。


「面白かった! 続きが気になる! 早く投稿して!」


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