第5話 麻雀で大勝ちで乾杯!

「今年も1年、お疲れ様でしたー!! カンパーイ!!!」


(グラスが小気味よくぶつかる音)


「(ヒサメさんが喉をごくごく鳴らしながらビールを流し込む音)…っぷはぁ♪ へ、全然まだまだ折り返し地点? 細かい事は気にしない気にしない☆ 今宵は僕の奢りだからね、好きなだけ注文してくれたまえよ! はーっはっはっはっは!!」


(網に乗せたカルビやハラミがジュワジュワ小さく焼けていく音)


「…僕が勝ったのを初めて見た? (滅茶苦茶楽しそうに)ハハハ、そんな事ぁないよ。去年の春頃…確か天皇賞だったと思うけれど、単勝に打ち込んだ3桁万円が5倍になって帰って来たからね〜♪ あの時もこうして2人っきりで六本木のお高〜い牛カツを食べたじゃあないか! …その時はまだ会っていない? (冷静なこえで)そだっけ!?」


(ひっくり返したお肉から垂れた脂でジュワジュワと炎が鳴く音)


「(半分以上残っているビールを一気飲みするヒサメさん)……っはぁ。(落ち着いた声音で)そうか、君と出会ってからまだあまり日は経っていないんだったっけ? 不思議とそんな感じはしないけれどね。…ありがとう、いただくよ。(ほどよく焼けた肉をヒサメさんが咀嚼する音)…おいひ〜〜♪ 焼肉奉行の君が焼いてくれたからか格段に旨味が増している感じがするよ。…僕はいつも焼き過ぎて焦げちゃってる? ハハハ、確かに」


(空になったお皿と入れ替えで新しい料理の皿が運ばれてくる音)


「(他所行きのイケボ)お姉さんありがとう♪ ついでに取り皿を2つ頂けるかな? うん、ありがとう。(普段の感じに戻る)…そういえば最近ずっと君の部屋にいるし、疲れてる時に色々してくれるけどどうして?」


(ヒサメさんがトングをカチカチしながらニンニクのホイル焼きを網に置く音)


「(新しく来たビールを豪快に飲むヒサメさんの喉の音)…ふぅ。(冷静で淡々とした調子で)本当は話したいというか、君にはそろそろ話しておこうかなと思っているんだけどもね。(小さな声で口元を押さえながら)酒の席で話すと凄く冗談っぽく聞こえてしまうのと、僕ってアルコールがそこそこ入ると記憶が飛んだりするから出来ないんだよね〜。…そんなに胡散臭い人を見るような目線を向けないでおくれよ☆」


(ヒサメさんがジュウジュウと焼けて来た肉をひっくり返す音)


「それは近いうちにするとして…(酔っ払いみたいなテンションに戻る)まさか半荘ハンチャン4回の内に3回も役満をアがれるとは思わなかったよ〜♪♪ 50年に1回あるかないかくらいの確率だと思うけれどね。結構ツキに見放された僕にしては大変な神引きだったと思うよ☆ 今日で引退する斉藤のじっちゃんには申し訳ない気もしたけれど、やられた〜〜!!って大泣き笑いしてたし、ハハハ!! 」


(ニンニクがグツグツと焼けて来た音)


「…役満ってどれくらい凄いのか? そうだねー、君がいつもやっているゲームのガチャ…1番上のレアの奴…そうそうSSRだっけ。あれが単独で0.3%とかだったから、10回ガチャを回してその内の6-7枚がSSRだったくらいの凄い確率かな。(凄く面白そうに)アッハッハハハハハ!! そんなに目を見開かなくてもいいだろう!! ックフフ、その顔メチャクチャウケるよ!!! フフッフフッ…ふぅ。(イケボの呟き)本当に君はカワイイなぁ♪」


(ニンニクを回収して取り分けた分の皿をくれるヒサメさん)


「〜〜〜ハァ、やっぱりニンニクは堪らんですなぁ♪(ビールを流し込むヒサメさんの喉)っっぷはぁあ〜〜、ビール最高っーーー!! …ん、こんあにテンションの高い僕は生まれて初めて見た?か (誰もいないヒサメさんの隣の席に向かって)聞きました〜奥さん? 一つ屋根の下で過ごして来た相手のテンアゲ姿を初めて見ましたっですって〜〜! …うえ、大丈夫だいじょーふ♪ (どう見ても酔っ払いの調子で)全然酔ってらいから〜!!」


(新しくホルモンを焼き始める貴方)


「…程々にしておきなさい? はーい、お母さん♪ フフ、何だいその苦虫を噛んだみたいな顔。いやいや、思い出してごらんよ? (高かったテンションが段々と下がり穏やかで照れくさそうに)僕のとっ散らかった部屋のゴミを片付けて綺麗にしたり〜、突然帰ってきた僕に対して用意していたかのようにご飯作ってくれるしー、休日に押し掛けてもしっかり、構ってくれるし…(黙りこくる)」


(ホルモンから滴る脂がジュワジュワした小さな音と気まずそうなヒサメさんの息遣いだけが暫く続く)


「…今日の僕、変かなやっぱり。…大丈夫、いつも通り? (落ち着いた様子で)フフ、それはそれで君の認識を改めさせないと…(ビールを流し込むヒサメさん)…ぷはぁ〜♪ (酔っ払いに戻る)ほらー、ホルモンもそろそろ頃合だよ! あ、僕が取ってあげるよ♪ …そうだ、あれをやってあげよう 」


「(猫撫で声で)はい、あ〜〜〜ん♪」



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