第88話:リーゼロッテとお子様ランチ

「コヒメ、暇なんだよ・・・」

あら?

佳乃は料理をしてるとして、花子と遊んでたら?

「ハナコもヨシノと買い物に行っちゃったんだよ」

あらら、小麦は作業中だし・・・それであたしのところにきたのね?

「温泉のところにあったテーブルは持ってないんだよ?」

テーブル?ああ、ゲーム筐体ね。

あれは無いわ。実はあれって骨董品なのよ。

あれの最新のやつはあるけど、操作が難しいからちょっと無理ね。

「温泉のところのやつも難しかったんだよ・・・」


何か暇つぶしになるものはないかしら?

リーゼロッテは文字は読めるわよね?

「この世界の文字はどうだか知らないけど、大概なんでも読めると思うんだよ?」


じゃあ、これはどうかしら?

「石版?ダンジョンの操作をするやつに似てるんだよ」

これはタブレット。まあ、魔法の石板だと思っていいわ。

そして、これよ!

「絵がたくさん出てきたんだよ!」

この絵が全部本なのよ!

「本?これが全部?」

まあ、これは花子のなんだけど、あたしのはリーゼロッテには理解出来ない本ばかりだし・・・


「この本はどうやって読むんだよ?」

まずはこの絵の中から読みたい本を選ぶんだけど・・・

花子の本も偏ってるのよね・・・

「どれどれ『勇者パーティーをクビになったけど、辺境でのんびり暮らします』もしかしてザマァのお話なんだよ?」

なんでそんな話を知ってるのかは置いといて、選んだ本の絵に触ると・・・

「本の表紙が表示されたんだよ?」

それで、左側を触ると・・・ページが捲れるのよ。右側で前のページに戻るわ。


ぺしぺしぺし・・・パラッパラッパラッ


「これはすごいんだよ!」

そんな感じで本を読んで待ってて。


「それにしてもポーターは追放される運命なのかな?」


パラッ


「ポーターの価値を理解出来ない人が多すぎだね。まあ、そういうお話だからだと思うんだよ・・・」

一般的なポーターのイメージは大きなリュックに入るだけの荷物を持つ人なのよ。

「だとしても、アイテムボックス的なスキルを持ってる人を追放するのは馬鹿すぎなんだよ!」

たいてい、この手の話は魔法の鞄とかを手に入れたら追放するのよ。

魔法の杖を手に入れても魔法使いは追放しないのにね。

「道具は持ってるだけじゃダメなんだよ?」

戦ってる最中に道具を取り出せないことは考えればわかるんだけどね。

「そういうことを考えない馬鹿だから追放なんかするんだよ・・・」

そんな馬鹿を考えないと話が面白くならないのよ?

「それもそうなんだよ。お話を考える人は頭がいいんだよ!」

読み終わったら、ここをこうすると元の画面に戻るのよ?

「本の一覧に戻ったんだよ!」

全部で500冊くらいあるから少しは暇つぶしになるでしょ?


「お嬢様、夕飯の支度が出来ました」

ほら、リーゼロッテ。そこで一旦やめてご飯食べましょ?


「おお!すごいごちそうなんだよ!」

昨日食べたごちそうもおいしかったけど、佳乃の料理だって負けてないのよ?

「これは知ってるんだよ!ハンバーグなんだよ!それとスパゲッティと・・・オムレツ?」

似てるけど、これはオムライスよ。中にお米が入ったオムレツね。

「オムライスに旗が立ってるんだよ?」

ウサギを模したマークの旗が刺さってる。

「白ウサ王国の国旗でございます」

あたしの時はマシロ王国の国旗だったわね・・・

「そ、その国はまだ極秘の機密情報なんだよ!?」

あら?なんかうろたえてるわね?


「それにしてもこのお料理はお高そうな予感なんだよ・・・銀貨10枚ほどのお値段だと思うんだよ・・・」

そんなことないわよ?

「ヨシノが作ったからお手軽価格で食べられるんだよ?」

街の食堂でも銀貨1枚でおつりがくるようなお値段よ?

「だまされないんだよ?」

ちなみに昨日のカニは銀貨50枚よ!

「あれと比べれば安いかもしれないけど、結構なお値段がしてもおかしくないんだよ!」

でも、この建物の1階で普通に売ってる食材で作ったのよ?

「え?この下にお店があるんだよ!?」

料理とか食材とか、他にも色々売ってるわよ?


「ちなみにこれくらいの値段っすよ?」

小麦が画像検索した結果をリーゼロッテに見せる。

「890って書いてあるんだよ?」

銅貨89枚ね。ね?銀貨でおつりが出るでしょ?

「こっちなんか銅貨50枚分っす」

ファミレスのかしら?


そんなことよりも冷めないうちに食べましょ?

「とっても美味しいんだよ!ヨシノは天才だと思うんだよ!」

夢中で食べてるわね。

「おなか一杯なんだよ・・・ゲフゥ」

リーゼロッテは満腹で眠くなったのか、船をこいでいる。

ほら、寝る前にお風呂に入って!


「うわぁ、とんでもないお風呂なんだよ・・・」

佳乃の趣味なのよ。

「お湯がボコボコいってるんだよ?」

ジェットバスって言うのよ?

「これは気持ちのいいものです。さあ、入りましょう!」

佳乃に抱えられてリーゼロッテが湯船につかる。


お風呂から出たリーゼロッテはぐったりとベッドに横になっている。

「うぅ、お風呂に入ったのに疲れた気分なんだよ・・・」

本来は疲れをとるためのものだしね。

佳乃が勢いを強くし過ぎたのよ・・・

「もしかしてみんなこのベッドで寝るんだよ?」

そうよ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る