第86話:幻の名酒

「食べ過ぎたんだよ・・・」

でも、やっぱりカニはおいしいわね!

「北海道のカニはもっと美味しいのでしょうか?」

そう言えば今日食べたカニはどこ産だったのかしら?

目の前に海はあるけど、ここは別にカニの産地ってわけではないわよね?

「有名なのはやっぱり北海道っすよね?」

まあ、確かにそんなイメージなんだよ・・・

「あとは越前ガニとか言うくらいだから北陸も有名」

花子は物知りね。


とりあえず、のんびりと温泉に浸かって早めに寝ましょう。

佳乃、明日の新幹線は何時のを予約してあるの?

「11時5分の『ひかり』ですが、時間の変更が必要でしょうか?」

もう少し早い時間のはないかしら?

朝ごはん食べたらすぐ出るような感じの。

「そうですね『ひかり』はそれが一番早い時間ですが、『こだま』ならもっと早い時間のがありますね」

どうせそれほど時間は変わらないでしょ?駅数少ないんだし。

「8時17分発の『こだま』で行くと乗り換えが少ないですね」

上野東京ラインのタイミングがいい感じ?

「それなら品川乗り換えにしましょう。始発なので空いているかもしれません」

なるほど。

じゃあ、それで手配をお願いね。リーゼロッテの分も忘れないでよ?

「どちらにしても、リーゼロッテの分はありませんでしたからね。予約を変更しました」


「朝に時間が無いと思うからお土産を買いたい」

なるほど、花子の言うとおりね。

「売店が閉まっちゃう前に急いだ方が良いっすよ?」

最悪、営業時間を延長させるわよ?

「ズルはよくないんだよ!」

意外と融通が利かないのね・・・


そんなわけで、昨日も見たと思うけど、それほど特殊なものは無いわよ?

「見たことないものがいっぱいなんだよ!」

まあ、リーゼロッテはそうでしょうね・・・


「こっちのテーブルはなんなんだよ?」

パックマンよ。

「ガラスのテーブルに絵が写ってるんだよ?」

このレバーでこの黄色いやつを動かすのよ。

で、お化けを避けながらこの粒々を全部食べると勝ちなのよ。

「うーん、なんだかよく分からないけど一度試してみたいんだよ・・・」

じゃあ、やってみる?


ここにお金を入れるのよ。

「タダじゃないんだよ?」


チャリン


「お化けから逃げるんだよ!」


バクバクバクバク・・・


「うわぁぁぁぁん、挟まれたんだよ!?」


ふよょょょょ・・・


「死んじゃったんだよ・・・」

まあ、初めてじゃそんなもんよ。

ほらほら、あと2回出来るわよ?

「今度こそ負けないんだよ!」


バク・バクバク・・・


「4対1はずるいんだよ!」

そこで、この少し大きい粒々を食べるのよ!

「お化けが青くなったんだよ!?」

この状態だとお化けを退治出来るのよ!

「逆転のチャンスなんだよ!」

早くしないと元に戻っちゃうわよ?

「あ、あ、あ、間に合わなかったんだよ・・・」


ふよょょょょ・・・


「また死んじゃったんだよ・・・」

ほらほら、最後の1回よ。

「もう、お化けの動きは見切ったんだよ!」


バク・バク・・・バク・・・バクバク・・・


「残り1個なんだよ!」


ふよょょょょ・・・


「ギリギリ間に合わなかったんだよ・・・」

そうね、右じゃなくて左から回り込めば大丈夫だったかもね。

「もっかいやりたいんだよ!」

大丈夫よ。これなら家に戻っても出来るから。

それに、他のテーブルも見てみて?

「他のテーブルは違う絵が映ってるんだよ!?」

でしょ?

もっと色々な種類があるのよ?

「そうなの!?」


花子、お土産は選び終わった?

「マスター、すでに購入済み」

あら?

言ってくれれば買ってあげたのに。

佳乃と違って花子はお小遣い制だ。

「先輩、じゃあこれ買ってほしいっす!」

小麦は自分で働いてお給料もらってるでしょ?

「うぅ、じゃあ諦めるっす・・・」

そう言って、小麦は酒瓶を棚に戻す。

まったく、しかも日本酒?小麦ってお酒飲むのかしら?

「こんな名前の日本酒初めて見たっす」

ああ、それはこっちで再現した異世界のお酒ね。

「あ、『龍殺し』なんだよ!あれはリズでもぐでんぐでんになるんだよ!」

なんか特殊な製法で通常の日本酒の3倍くらいのアルコール度数らしいわよ?

「値段も通常の3倍以上っすよ・・・」

まあ、ここでしか買えないしね。

「ちょっと無理してでもやっぱり買うっす!」

そう言ってレジに酒瓶を持って行った。

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