第82話:味覚の確認
「普通のアジよりも特上アジの方が脂が乗ってるんだよ!トロとかそんな感じ?」
なるほど。
そういうことを聞くと、特上アジでアジフライとか食べてみたいわね。
「アジフライってなんなんだよ?」
揚げ物は食べたことがない?トンカツとかコロッケとか。
「トンカツは食べたことあるんだよ!」
あんな感じでアジを揚げた食べ物よ。
「それは美味しそうなんだよ!」
リーゼロッテは魚が好きなの?
「お魚も大好きなんだよ!でも、堅パンや塩スープも好きなんだよ?」
なんでも好きなのかしら?
考えてみれば、あたしも特別好きって程の食べ物はないわね・・・
佳乃は毎回美味しいものを作ってくれてるから不満はないけど・・・
外食してるときでもどれもおいしかったし・・・もしかして何でもいい感じなのかしら?
実は結構味音痴?何食べてもおいしいって言ってる気がしてきたわ・・・
「マスター、今は駅弁に集中!」
そうね、花子の言う通りよ。まずは目の前の駅弁をじっくりと味わいましょう!
金目鯛の西京焼き:おいしい
フキの煮物:いまいち
ニンジンの煮物:おいしい
シイタケの煮物:おいしい
レンコン:おいしい
ひじきの佃煮:おいしい
サクラエビの素揚げ:おいしい
錦糸卵:おいしい
高菜:ちょっと辛いけど大丈夫
漬物:おいしい
味付けご飯:おいしい
うん、フキがあんまり好きじゃないという事を発見したわ。
食べられないことはないのよ?
そして、この高菜程度なら大丈夫だけどこれ以上辛いとちょっと苦手かも?
そもそもこの高菜は油いためだからもともとそれほど辛い味付けじゃないはず。
ピリ辛程度なら平気だけど辛口はダメって感じかしら?
ん?もしかして単純に舌が子供向きになってる感じでは?
ブラックコーヒーも飲めなくなったし、甘いものは好きになったし。
ワサビは鼻がもげるかと思ったし・・・
答え合わせをしてみよう。
リーゼロッテはコーヒーって知ってる?
「苦いのは苦手なんだよ。ミルクを山盛り入れて飲むんだよ・・・」
やはり。そしてコーヒーはあるのか。そして飲むのか・・・
お寿司のワサビは大丈夫?
「あれも苦手なんだよ、鼻がもげるかと思ったんだよ!」
予想通りの答えが返ってきた。
味覚がリーゼロッテと同じなのね。
という事は・・・
リーゼロッテも辛いものはダメ?
「辛いのを食べるとお口が痛くなるんだよ!」
よし、間違いない。
味覚の変化はリーゼロッテのファンタジーボディーの影響だ。
多少の違いはあるかもしれないけど、おおよそ同じ味覚だと思って間違いない。
そんなことを思いながら景色を眺める。
「これってすごく速いけど、リズほどではないんだよ・・・」
あんな音速の何倍も出るような龍神と比べられても困る。
あれに勝てる乗り物は現時点では存在しない。
強いて言うならH-Ⅱロケットくらいか?
あんな速度を低空で出せば普通なら地面が抉れるだろう。
ファンタジー世界でなければ衝撃波だけで世界が滅びる。
こっちの世界にはドラゴンはいないけど、空を飛ぶ乗り物はあるのよ?
「それも乗ってみたいんだよ!」
まあ、そのうち乗せてあげるわ。
とは言ってもパスポートが用意出来そうもないから国内よね・・・
さてと、お弁当も食べ終わったし、あとどれくらいで到着するのかしら?
やはり、電車の中で食べるって言うのがよかったのか、いつもなら食べきれないサイズのお弁当を完食なんだよ!
「ごちそうさまなんだよ!景色を見ながらお弁当を食べると食べ過ぎちゃうんだよ・・・」
リーゼロッテも完食。
小ぶりのお弁当とは言え、やはりいつもよりも分量は多かったはず。
「やっぱり、初めて食べたものってのもあると思うけど、いつもの倍近く食べちゃったんだよ!」
そうだな・・・あたしもいつもならこの半分でも満足出来る。
-マモナク、イズアタガワニトウチャクイタシマス-
-オオリノオキャクサマハ、オワスレモノナイヨウオシタククダサイ-
-イズアタガワノツギハイズイナトリニテイシャイタシマス-
あら?もう着いちゃうの?食べ終わるのがギリギリだったわ・・・
「次が下りる場所なんだよ?」
次の駅で降りたらすぐそばにあるみたいね。
「それにしても電車ってのはすごいんだよ!」
決まった場所にしか行けないけど速くて便利なのよ。
「ところで、ここには何があるんだよ?」
バナナワニ園よ!
「そこはどんなところなんだよ?」
ワニって知ってる?
「知らないんだよ?」
水辺に居るオオトカゲみたいな感じの生き物なのよ。
「ふーん、でもバナナは知ってるんだよ!美味しい果物なんだよ!」
そのバナナとワニを展示している施設なのよ。
「見るだけ?」
バナナは食べられるんじゃないかしら?もちろんお金は必要だけど。
それと、ワニはリーゼロッテの感覚だとそれほど大きくないと思うけど、この世界では結構大きい生き物なのよ。
「ちっさいとか言っちゃダメっていう感じなんだよ?」
まあね。
「お嬢様、チケットを購入してきました」
相変わらず佳乃は自発的に何でもやってくれるから頼りになるわ。
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