第77話:リーゼロッテの現状確認

『これはいったいどういう状態なんだよ?』

手のリサイズでスケスケなリーゼロッテ。もちろん触ることは出来ない。

私はリーゼロッテに触れないみたいだけど、そっちはどうなの?

『あれ?どちら様なんだよ?』

今更!?

あたしは真白小麦。リーゼロッテの言うところの神様よ。

『神様は男の人だったはずなんだよ?』

ってことは、リーゼロッテにとっての神様は橋本真一だったのか・・・

『神様の世界はみんな巨人なんだよ?』

むしろあなたが手乗りサイズなのよ?

「それにしてもお嬢様にそっくりですね」

多分だけど全く同じ姿よ?

「マスター、リーゼロッテ死んだ?」

現状を見る限りそんな感じよね・・・

『それは困るんだよ!?』

でも、これじゃあねぇ?

「それにしても、モノに触れない割には地面に沈んでいかないっすね?」

どういう仕組みなのかしら?

『アンドーはバカなんじゃないかな?地面に沈むわけなんか無いんだよ?』

物に触れないなら地面にも触れないんじゃないの?

『???』

リーゼロッテが混乱しちゃったみたいね。

『まあ、ゴーストとかの幽霊の人なら宙に浮かぶことが出来るはずなんだよ』

そう言うとリーゼロッテがふよふよと浮かび上がった。

何というファンタジー存在・・・


『それにしても困ったんだよ・・・』

世界のことはアンドーに任せておけば大丈夫よ?

『そんなことよりもせっかく神様の世界なのに食べ物が食べられないんだよ!』

どこでも考えるのはまずそこなのね・・・

『だって食べ物は大事なんだよ?』

ええ、それも理解してるわ。ここにだってわざわざカニを食べに来たんだし。

『私もカニが食べたいんだよ!』


-駄々をこねるのが一人増えたっす-

-小さいお嬢様もかわいいです-

-空中でじたばたしてる-


それにこれから駅弁を食べに食ところだったのに、リーゼロッテのせいで中止になったのよ?

『それはごめんなさいなんだよ。ところでえきべんって何なんだよ?』

電車の中で食べるお弁当よ。

ちなみに電車って言うのは馬車の客車部分をたくさん繋げたような感じの物ね。

『景色が変わっていく中で食べるお弁当なんだよ?』

そうよ!さすがリーゼロッテよくわかってるじゃない!

もちろん、普通に食べてもおいしいお弁当よ?

でもね、移り行く景色を見ながら食べるって言うのがいいのよ。

『食べるときの雰囲気でも味が何倍も変わるんだよ!』

それなのにみんなわかってくれないのよ!

『それはみんながダメダメなんだよ。神様が正しいと思うんだよ』

神様って言う呼び方もあれね・・・私のことは小姫って呼んで。

『分かったんだよ!コヒメ』


さてと、どうしましょうか?

リーゼロッテの世界は一刻も早く直したいけど、直すための道具はここにはないのよ。

『そうなの?』

さっきカニを食べに来たって言ったでしょ?旅行中だったのよ。

『アイテムボックスに入れてないんだよ?』

私はアイテムボックスは使えないのよ。それどころかこの世界ではだれも使えないわ。

『それはとても不便なんだよ・・・私なんか生きていけないくらいなんだよ・・・』

生きていくも何も死んでる状態みたいだけど、世界が直ったとして帰れるのかしら?

元の世界に戻ったところで幽霊状態なんじゃないかしら?

『それも困るんだよ!お薬!まだ間に合うかな?』

間に合うって?

『蘇生のお薬なんだよ!』

蘇生薬?このリーゼロッテはそんなものまで作れるの?

ちなみに私の中のリーゼロッテはそんなもの作れなかった。


『アイテムボックスからお薬を出して・・・』

アイテムボックスはこの世界じゃ使えないわよ?

って、何やらタルが出てきたわね・・・

どこから?まさかアイテムボックス?そんなバカな・・・

『でも、あんまりかけると若返り効果で若返り死ぬんだよ・・・』

若返り?そんな薬も?

やはり、私の知ってるリーゼロッテとは違う。

『そうだ、その前にステータスの確認なんだよ』

ステータスの確認?

『システムコール:ステータスオープン!』

リーゼロッテが呪文を唱えると空中にステータスが表示された。

どういうこと、この世界で魔法が使える?

『ん?死んでるんじゃないね。状態異常なんだよ。だったら弱いお薬で大丈夫かな?』

状態異常?

どれどれ?

『部位欠損:身体って書いてあるんだよ』

身体が欠損ってどういう状態よ・・・

『魂だけの状態だと思うんだよ?』

リーゼロッテ的にはそう言う解釈になるのね・・・

『でも、これなら治りそうなんだよ!』

リーゼロッテはばしゃばしゃ薬を振りかけてるけど、何の変化もない。

『あれー?ダメなんだよ・・・』


それってどうすれば部位欠損が治るの?

『おててが取れちゃったときとかは傷口にかければ生えてきたんだよ?』

じゃあ、この場合はどこにかけるのかしら?

かけるべき場所が無いんじゃない?

『その通りなんだよ・・・身体が無いからかけられないんだよ・・・』

どうやら想定外だったようね・・・

『もしかしてこれはまずい状態なんだよ?』

どんなにすごい薬でもかけられないのなら効果はないからね。

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