第75話:結局グダグダ

「で、めんたいパークなんかはどうっすか?」

かねふくの工場でしょ?小麦は工場見学したいの?

「お嬢様、工場ではなくテーマパークのようです」

そうなの?

ちなみにどんなところ?

「色々な明太子の料理が食べられるみたいです」

ダメじゃん。

ちょっと気になるけどダメじゃん。

駅弁食べられなくなっちゃうんだよ!


「猫の博物館と言うのがあるようです」

猫はかわいいんだよ!

で、それはどこにあるの?

「最寄りは城ヶ崎海岸駅でしょうか?熱川よりも手前ですね」

ふーん。

「黒音は、その近くのオートマタ美術館も気になる・・・」

オートマタ?からくり人形かしら?

「他にも色々と近くにあるみたいっすね。万華鏡館とか・・・」

何なのそこは・・・

どれどれ?

確かに美術館やら博物館が色々と密集してる感じね・・・

悩んでても仕方ないし、とりあえず行ってみましょう!


そう思ったけど、一瞬だけ思いとどまる。

ちょっと待って、駅弁はどのタイミングで食べるの?

「あっ」

考えてなかったわね?

「城ヶ崎海岸駅には各駅停車しか停まらないみたいですね」

それって駅弁食べられる電車?

「多分無理」

本来の目的を失っちゃダメなのよ?

「踊り子号なら大丈夫なようです。やはり熱川まで行くのがよさそうですね」

だとすると、それまでは熱海で待機したほうがよさそうね。

下手に移動してお昼の時間に電車に乗れないと意味ないし。


そうと決まれば電車の予約をしないと!

それとそれまでの時間は温泉とマッサージとかね!

「では、ここに行ってみたいです!」

そう言って佳乃がタブレットの画面を見せる。

どれどれ?射的とスマートボールのお店?レトロなゲーセンって感じかしら?

「ダメっす、そこはお昼からの営業っす」

残念。

そこは帰ってきてからね。


「それよりも残念なお知らせがあります。熱海駅にはシウマイ弁当は売ってないようです」

そんな馬鹿な!?

すぐに確認しに行くわよ!


「崎陽軒のだろ?うちでは扱ってないよ?」

なんてことなの・・・確かに熱海駅の駅弁売り場にはなかった。

どうしようかしら?

「新幹線の車内販売でも売って無いみたいですね・・・」

ここから一番近い売り場は?


「それにしてもなんでシウマイ弁当にこだわるんすか?」

まあ、確かに他にも色々な駅弁はあるわよ?

でもね、とにかくシウマイ弁当が食べたいんだよ!


-食べたいのはリーゼロッテだった-

-多分テレビでCMを見たっすよ-

-おそらく、ぶらり途中下車の旅です-

-この前キラキラした目で見てた-

-それで電車の旅と駅弁なんすね-


「シウマイ弁当は今度会社の帰りに買ってくるっすよ。確か、改札の目の前の売店で売ってたっす」

そうか、会社の最寄りの駅には売ってたはず、それどころか崎陽軒の店舗すらどこかにあったような?

「それ以前に自宅の目の前でも売ってる。駅ビルに店舗がある」

え?

そんなバカな・・・

「確かにアトレの2階にありますね」

知らなかった・・・

「探していた幸せの青い鳥は自分ちに居るパターンっすね・・・」

え?じゃあ、もしかしていつでも食べられる?

「定休日以外なら大丈夫なはず」

特別なお弁当だと思ってたのに・・・

「普段電車に乗らない黒音でも知ってた。マスターはどれだけ引きこもり?」

バス通学の花子ですら知っていることをあたしが知らなかったなんて・・・

確かに平日は部屋から一歩も出ないことも多い。


じゃあ、シウマイ弁当は今度にするとして、それでも電車で駅弁は譲れないわ!


-あれ?先輩も駅弁自体は食べたいんすね?-

-お弁当は毎日作っていますのに-

-弁当本体じゃなく電車で食べることが大事-


「お嬢様、バナナワニ園はどうしますか?」

なんとなく気になる程度ね。

駅弁さえ食べられるなら他の場所でも問題ないのよ。

むしろ、猫の博物館が気になるかしら?

でも、あそこだと駅弁が食べられないでしょ?

だから、いったん忘れることにするわ。


-圧倒的に駅弁の優先度が高いっす-

-出かけて帰りに駅弁を食べるプランを練ります-

-現地での観光時間も考慮すべき-


決まらないならとりあえずマッサージに行かない?

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